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法曹人口問題についての弁護士に対する厳しい目

平成20年 8月 8日:初稿
○日弁連のある委員会MLで生産性新聞なるものを知りました。グーグルで検索すると53万件近い関連HPが出てきます。そのトップページには、「我が国、社会経済の21世紀を拓く運動紙として、政治・行政をはじめ産業界・労使、学界の動向、産業・企業における生産性向上への取り組み事例紹介、産業教育に関する情報提供など、幅広い角度からの記事を掲載します。 」とあります。

○発行母体は、財団法人社会経済生産性本部で、「『生産性向上対策について』の閣議決定(1954年9月24日)に基づき1955年3月1日に設立された(財)日本生産性本部を母胎に、1973年11月12日に同生産性本部から 分離独立(社団法人認可1976年12月20日)し、1994年3月31日に解散した(社)社会経済国民会議を1994年4月1日に統合して発足した非営利法人」とのことです。

○この生産性新聞で、法曹人口問題について、弁護士に対し、大変厳しい評価をしています。「法科大学院では,弁護士倫理は必修科目であり,1学期に15回程度の講義でこれを解説し,卒業生は弁護士が従うべきルールを熟知しているが,既存の弁護士は,数年に一度,数時間の研修が弁護士会によって行われるのみで,多くの弁護士はルールを熟知しているとは言い難いため,旧来の教育制度で養成された弁護士の質は,新しい法科大学院の卒業生より劣っている」と主張しています。

○以下、その全文を引用しますが、要は現在の弁護士の質が本当に高いと言えるのかという現時点での弁護士評価についての根本的疑問です。「評価とは、他人がするもので、自らするものではない」と言うのが私の持論ですが、弁護士自ら自分で自分たちは質が高いと言っていることに対する痛烈な批判で耳が痛いところです。これほど厳しい評価があることを私自身少しは自覚すべきと思っております。この評価が完全な誤りであると言い切れる自信もありませんので。

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生産性新聞2008年8月5日号から
法曹人口問題 当事者だけでは解決できぬ

弁護士をはじめとする法律家(法曹)の数が、政治問題化しつつある。きっかけは、7月18日に日弁連が採択した、「法曹人口問題に関する緊急提言」だ。提言は、司法改革の柱として政府が決定した「2010年までに年間3000人の新規法曹」という目標の実質的変更を求めた。

政府方針に賛成していた日弁連が態度を変えた背景には、新人弁護士の就職難が表面化したことにある。しかし、ことは単なる就職問題にあるのではない。問題の根幹には、「弁護士のあり方」に対する対立がある。それは、訴訟業務を中心とした伝統的な弁護士のあり方を維持するのか、それとも、改革が目指す社会の様々な領域で活躍する「国民の社会生活上の医師」としてのあり方に転換するかの対立だ。
   
日本の弁護士のあり方は、世界的に見てかなり特異だ。どの国でも訴訟は、弁護士業務の重要な部分ではあるが、弁護士が提供するサービスの一部でしかない。しかし日本の現行制度は、少人数の訴訟弁護士を念頭に組み立てられている。訴訟実務の習得を主目的とする「司法修習」もそうであるし、月5万円以上という異常に高額な弁護士会費も然りだ。

そもそも、新人弁護士は、全員希望する職を見つけられるべきという主張も、少人数のギルド社会を前提にしてはじめて成り立つ議論だ。法曹人口の増加を阻止したいのであれば、日弁連が守りたいものは、まさにこれまでの弁護士のあり方自体にあるのだろう。
   
そうであれば、「増員により法曹の質が低下する」とする日弁連提言の主張にも注意が必要だ。日弁連提言は、現在の弁護士の質は高いということを当然の前提にしている。このような自己反省の少なさはともかく、幾つかの分野では、旧来の教育制度で養成された弁護士の質は、新しい法科大学院の卒業生より劣っている。

その一例は、国民にとって重要な「弁護士倫理」だ。日弁連は、2004年に弁護士職務基本規程という新しいルールを制定し、依頼者に対する規律を強化した。法科大学院では、弁護士倫理は必修科目であり、1学期に15回程度の講義でこれを解説し、卒業生は、弁護士が従うべきルールを熟知している。しかし、既存の弁護士に対しては、数年に一度、数時間の研修が弁護士会によって行われるのみで、多くの弁護士はルールを熟知しているとは言い難い。むしろ、法科大学院卒業生であれば、当然に常識としている事項につき、弁護士間で意見が対立する場合すら稀ではない。
   
「弁護士の質」を増員反対の口実に使うだけではなく、真に懸念しているのであれば、日弁連は、すべての弁護士に法科大学院における弁護士倫理の履修を義務付けるべきだろう。国民の目線に合わせた法の支配による透明で公正な社会作りにあるのだ。

さらには、3000人という目標を決定した司法制度改革審議会は、経済界・労働界・消費者団体など国民各層を代表する委員が参加した審議会においてであり、ある種の国民的な議論がそこでは行われた。このような経緯で決定された事項を、当事者の意見だけで変更できないことは明らかだろう。変更には、最低限、再度の国民的議論が必要である。
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