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日弁連法曹増員ペースダウン緊急提言雑感-受験生の立場

平成20年 7月23日:初稿
○平成20年7月18日、「司法試験合格者増員、日弁連がペースダウンを緊急提言」とのニュースが日経新聞社会面に大きく報道されましたが、日経新聞に限らず多くの紙面で取り上げられ、その殆どが日弁連に批判的であり、閣僚では、町村官房長官に続いて渡海紀三朗文部科学相も7月22日午前の記者会見で日弁連が見直しを求める緊急提言を採択したことに対し、「数を制限するという考え方は疑問だ」と批判しています。

○報道ではNHKニュースが、「与党内にも合格者の質の低下は問題だとして、合格者を減らすよう求める意見が出ており、今後、政府・与党内で議論が活発になりそうです。」と、また琉球新報平成20年7月22日社説では、「政府の立場からは計画の変更は避けたいだろう。だが『黒字』などの表現は不適切だ。感情的な対立をあおるだけでは司法改革の議論に何の益ももたらすまい。本質的議論を交わすべきだ。」と冷静な報道をしており、全文を後記します。

○日弁連は、法曹増員先送りを言い出した理由として合格者の質の低下を上げていますが、本音は弁護士資格取得者に就職先を確保してやれる体制にないことが一番の理由に感じます。これを町村官房長官のように「(弁護士業界の)黒字確保」のためと評価するかどうかは難しいところですが、折角資格を得ても、仕事がないでは、何のための資格取得かとなり、一見、今後の資格取得者のための提言にも見えます。

○実際、仙台弁護士会でも平成17年以前は年間数名だった新入会員数が、平成18年19名、平成19年25名の新入会員があり、平成20年も既に10名が決まったとの噂もあり、更に10名以上の入会希望者がいるところ、受入事務所が底を尽き就職先がない状況のようです。平成20年でこの状態では、平成21年以降の合格者の就職先確保は全く先が見えません。

○しかし、法科大学院を卒業し或いは在学中で平成21年以降合格を目指す受験者にとっては、目先の試験に合格することが最大の目標であり、その先仕事があるかどうかは二の次で合格後に考えればよいと思っているはずです。年間3000人合格させてやると言葉を信じて高いお金を費やして法科大学院に入学・卒業したものを今更引き返すわけにもいかず、今になって仕事がないから合格者を増やさないとなったのでは裏切られた思いでしょう。

○苦しい受験生活を続けている受験生にとっては、兎に角、早く合格したいとの思いで一杯であり、資格取得後仕事にあぶれないように合格者数を制限することは、有り難迷惑以外の何者でもありません。合格後のことはその時考えるから、兎に角、今は予定通りの人数を合格させて欲しいとの受験生の願いも無碍に出来ないところで、法曹増員問題は難問です。

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法曹増員問題「改革の実」を挙げるには
琉球新報2008年7月22日社説から

 日弁連が司法試験合格者を段階的に増やす政府計画について「ペースダウン」を求める緊急提言を採択した。裁判官や検察官、弁護士ら法曹養成システムが不十分であるほか、企業や官公庁での弁護士採用など基盤整備が進まない中で、合格者だけを計画通りに増員することは法曹の「質」の低下を招き、司法制度をゆがめる。そんな危機感を表明したものだ。

 法曹人口の拡大は司法改革の要だ。「2010年ごろには合格者数を年間3000人程度とする」政府目標は04年開校の法科大学院の大前提でもある。町村信孝官房長官は「司法改革に携わってきた立場をかなぐり捨てて、黒字が保てないとの観点から急にそういうことを言い出す見識を疑う」と批判した。

 政府の立場からは計画の変更は避けたいだろう。だが「黒字」などの表現は不適切だ。感情的な対立をあおるだけでは司法改革の議論に何の益ももたらすまい。本質的議論を交わすべきだ。

 緊急提言を日弁連の既得権益の問題とか、パイの縮小への不満表明といった方向へ矮小(わいしょう)化して議論する事態に陥らないよう気を付けねばならない。

 日弁連は「司法改革を後退させる気はない」(宮崎誠会長)と述べているほか、増員方針も変わらないとも説明している。してみれば、政府と日弁連の見解にそれほど差はないことになる。

 弁護士の不在地域の解消、容疑者・被告の国選弁護の拡大などに対処するには、弁護士の増員なくして解決はおぼつかないことも共通しているはずだ。

 今回の問題は医師不足問題とも重なる。医師の数をいくら増やしても医療崩壊の根本的解決にはつながらないのと同様に、増員だけで弁護士偏在などの問題がなくなるとは思われないからだ。なおざりにされてきた積年の問題が、増員の達成速度をきっかけに一気に噴出した印象だ。

 日弁連には増員ペースダウンの理由に掲げる「ひずみ解消」策について、国民に分かりやすい丁寧な説明を求めたい。

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