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自賠法被害者請求の労災補償保険法請求優先を認めた裁判例まとめ

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令和 1年 6月15日(土):初稿
○「自賠法被害者請求の労災補償保険法請求優先を認めた差戻高裁判決紹介」の続きで、この一連の裁判例のまとめです。

○一審判決は、後遺障害等級併合第12級として、労災保険給付につき損害のてん補をすると、傷害の損害の残額は436万7655円((計算式)=847万4910円-410万7255円)であり、後遺障害の残額は156万6821((計算式)=654万9311円-498万1490円)であり、原告は、被告に対し、120万円(傷害)及び156万7821円(後遺障害)の合計276万7821円を認定。

○控訴審判決は、一審原告の損害残額は、傷害関係が303万5476円、後遺障害関係が290万円で、これらはいずれも自賠責保険の上限金額(傷害120万円、後遺障害224万円(後遺障害等級12級))を上回るから、同上限金額が一審原告に支払うべき保険金の額となり、これらを合計すると、344万円と認定。

○上告審は、被害者の直接請求権の額と労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合には,被害者は,その直接請求権の額が上記合計額に対して占める割合に応じて案分された自賠責保険金額の限度で損害賠償額の支払を受けることができるにとどまるとの上告人主張に対し、被害者は、国に優先して自賠責保険の保険会社から自賠責保険金額の限度で自賠法16条1項に基づき損害賠償額の支払を受けることができると認定。

○差戻審判決は、本件における遅延損害金の起算日は平成27年11月25日となり,その終期は平成30年11月2日(元本344万円の本旨弁済日)であるから,第一審原告の元本344万円受領後の請求は,遅延損害金50万5632円(3,440,000×0.05×〔2+343/365〕)と認定。

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第一審平成28年8月29日東京地裁判決(自保ジャーナル1992号49頁)
主   文
1 被告は、原告に対し、276万7821円及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを5分し、その2を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 被告は、原告に対し、581万円及びこれに対する平成27年2月20日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は、原告が、Cが運転する自動車との交通事故により負傷し、Cが加入する自賠責保険会社である被告に対し、自動車損害賠償法(自賠法)16条1項に基づき、損害賠償額の支払と遅延損害金(起算日は訴状送達の日の翌日である。)の支払を求める(被害者請求)事案である。
2 争いのない事実等(証拠等により認めた事実はその証拠等を記載した。その他の事実は弁論の全趣旨等により認められる。)


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控訴審平成28年12月22日東京高裁判決(自保ジャーナル1992号40頁)
主   文
1 一審原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
(1)一審被告は、一審原告に対し、344万円及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)一審原告のその余の請求を棄却する。
2 一審被告の控訴を棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを5分し、その2を一審原告の負担とし、その余を一審被告の負担とする。

事実及び理由
第一 各控訴の趣旨
1 一審原告
(1)原判決を次のとおり変更する。
(2)一審被告は、一審原告に対し、581万円及びこれに対する平成27年2月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 一審被告
(1)原判決中、一審被告敗訴部分を取り消す。
(2)上記取消部分について一審原告の請求を棄却する。

第二 事案の概要(略称は原判決のものを用いる。)
1 本件は、一審原告が、平成25年9月8日に発生した一審原告運転の中型貨物自動車(控訴人トラック)とC(C)が運転する軽自動車(C車)が正面衝突した事故(本件事故)により負傷し、左肩、右肩及び頸部に後遺障害等級併合9級に該当する後遺障害が残り、傷害による慰謝料160万円及び休業損害689万4910円並びに後遺障害による慰謝料550万円及び逸失利益703万7958円の合計2,103万2868円から労働者災害補償保険(労災保険)より給付を受けた休業(補償)給付410万7255円及び障害(補償)一時金498万1490円の合計908万8745円を控除した1194万4123円の損害があるとして、Cが加入する自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険者(自賠責保険会社)である一審被告に対し、自動車損害賠償保障法(自賠法)16条1項に基づき、自賠責保険金として、傷害の上限金額120万円及び後遺障害等級10級の上限金額461万円の合計581万円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年2月20日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。


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上告審平成30年9月27日最高裁判決(判タ1458号100頁)

主  文
1 第一審被告の上告を棄却する。
2 原判決中,344万円に対する平成27年2月20日から本判決確定の日の前日までの遅延損害金の支払請求を棄却した部分を破棄し,同部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
3 第一審原告のその余の上告を棄却する。
4 第1項に関する上告費用は第一審被告の負担とし,前項に関する上告費用は第一審原告の負担とする。 

理  由
第1 事案の概要
1 本件は,自動車同士の衝突事故により被害を受けた第一審原告が,加害車両を被保険自動車とする自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の保険会社である第一審被告に対し,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)16条1項に基づき,保険金額の限度における損害賠償額及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める事案である。


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差戻控訴審平成31年1月16日東京高裁判決(労働開発研究会/TKC)

主   文
1 第一審判決を次のとおり変更する。
(1)第一審被告は,第一審原告に対し,50万5632円を支払え。
(2)第一審原告のその余の請求を棄却する。
2 訴訟の総費用(上告審判決主文第4項に記載されたものを除く。)は,これを5分し,その2を第一審原告の負担とし,その余を第一審被告の負担とする。
3 この判決は,第1項の(1)に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 第一審判決を次のとおり変更する。
2 第一審被告は,第一審原告に対し,54万9458円(自賠責保険金344万円に対する平成27年8月25日から平成30年11月2日まで年5分の割合による遅延損害金)及びこれに対する平成30年11月14日付け訴え変更申立書送達の日の翌日である同月15日から支払済みまで民事法定利率年5分の割合による遅延損害金を支払え。
3 訴訟費用は,第一審,差戻し前の控訴審,上告審及び差戻し後の控訴審を通じ,第一審被告の負担とする。

第2 事案の概要
1 本件は,自動車同士の衝突事故(本件事故)により被害を受けた第一審原告が,加害車両を被保険自動車とする自賠責保険の保険会社である第一審被告に対し,自賠法16条1項に基づき,自賠責保険金額の限度における損害賠償額581万円(傷害の上限金額120万円及び後遺障害等級10級の上限金額461万円の合計)及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成27年2月20日)から支払済みまで民事法定利率年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である



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