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弁護士費用特約に関する平成29年4月27日東京高裁判決紹介

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平成31年 2月22日(金):初稿
○「弁護士費用特約に関する平成28年10月27日東京地裁判決紹介」の続きで、その控訴審の平成29年4月27日東京高裁(自保ジャーナル2001号113頁)全文を紹介します。

○控訴人(原告)が、損害保険会社である被控訴人(被告)との間で弁護士費用特約が付帯された自動車保険契約を締結していたところ、交通事故で負傷し、これに関する交渉を控訴人訴訟代理人に委任し、同代理人が解決したにもかかわらず、被控訴人は弁護士報酬及び実費の合計金48万0490円支払をしないとして、控訴人が、被控訴人に対し、上記保険契約に基づき、上記弁護士報酬等を請求していました。

○原審が控訴人の請求を棄却したため、これを不服とした控訴人が控訴を提起しましたが、東京高裁も、実務上、被保険者が実際に支出していない場合にも、保険金の支払が行われることはあるが、これは保険者と被保険者との合意によるものと解されるから、上記の解釈を左右するものではなく、本件においてはそのような合意もないことからすると、本件特約には、被控訴人に対する保険金請求権は、保険金請求権者が弁護士費用等を支出した時から発生し、これを行使することができるものと明記されているから、被保険者が実際に費用を支出したことは保険金請求権の要件であると解すべきであるなどとして、控訴を棄却しました。

○控訴審では、既払金92万1374円を控除した経済的利益は204万1576円のLAC基準である16%を乗じた35万3276円の支払義務がある旨も主張していますが、判決は、保険金請求権の要件を欠き,被保険者が実際に支出をしていない場合にも保険金を支払う旨の合意もないから,その請求に理由がないとしています。35万3276円支払合意の存在を主張立証すれば結論は変わったかも知れません。

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主   文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
第一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,48万0490円及びこれに対する平成27年11月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

第二 事実関係
1 事案の概要

 本件は,控訴人が,損害保険会社である被控訴人との間で弁護士費用特約が付帯された自動車保険契約を締結していたところ,交通事故で負傷し,これに関する交渉を控訴人訴訟代理人に委任し,同代理人が解決したにもかかわらず,被控訴人は弁護士報酬及び実費の支払をしないとして,控訴人が,被控訴人に対し,上記保険契約に基づき,上記弁護士報酬等48万0490円及びこれに対する催告後の日である平成27年11月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求した事案である。
 原審が控訴人の請求を棄却したため,これを不服とした控訴人が控訴を提起した。

2 前提事実
 前提事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第二の1(原判決2頁15行目から4頁5行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。

(1)原判決3頁24行目の「1万8000円」を「1万0800円」に改める。

(2)同3頁26行目の「通じて,」の次に「交通事故の加害者と保険契約を締結していた」を加える。

3 争点及び当事者の主張
 争点及びこれについての当事者の主張は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第二の2(原判決4頁6行目から5頁10行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)原判決4頁11行目の「仮払金」の次に「(損害賠償額が確定する前に暫定的に支払われる金員であり,後に精算される可能性がある。)であって,既払金とは異なるもの」を加え,14行目から15行目の「被告との間で明示の合意」を「被控訴人の明示の同意」に,同行目の「黙示の合意」を「黙示の同意」に,18行目の「このこと」を「控訴人訴訟代理人は控訴人との間で委任契約を締結する時点でLAC基準の存在を知らなかったから,被控訴人の上記主張」にそれぞれ改める。

(2)同4頁26行目の「被告が」を「被控訴人において控訴人が請求する」に改め,5頁9行目の「明示されている」の次に「ところ,控訴人が主張する92万1,374円は,仮払金ではなく,既払金に当たり,上記経済的利益に含まれないものである」を加える。

第三 当裁判所の判断
 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないものと判断する。
 その理由は,次のとおり補正し,後記2のとおり控訴人の当審における主張についての判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第三の1及び2(原判決5頁12行目から8頁2行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決の補正
(1)原判決5頁19行目の「超える」の次に「報酬契約をすることは差し支えないが,この基準により算定される保険金を超える」を加え,22行目の「実費」を「実費等」に改める。

(2)同6頁11行目,12行目及び14行目の各「被告」をいずれも「b保険会社」に改める。

(3)同6頁20行目の「平成27年12月2日」の次に「,控訴人訴訟代理人が請求している報酬金額には応じられず,保険金の金額について」を加え,23行目の「の保険金を支払う」を「とする」に改める。

(4)同7頁6行目の「296万2950円の」を「296万2950円とした上その」に改め,11行目の「保険金」の次に「請求権の」を加え,13行目の「承諾」を「同意」に,14行目から15行目の「被告が承諾」を「被控訴人において同意」に,19行目の「被告」を「b保険会社」にそれぞれ改め,21行目末尾に次のとおり加える。
 「なお,控訴人は,b保険会社が控訴人に支払った92万1374円は,既払金ではなく,仮払金である旨主張するが,証拠(略)によれば,上記金員は,既払金であると認められ,控訴人訴訟代理人の委任事務処理によって控訴人が得た経済的利益には当たらないから,控訴人の上記主張は採用できない。」

(5)同7頁24行目の「当を得ない」の次に次のとおり加える。
 「(なお,控訴人は,この点に関し,控訴人訴訟代理人は控訴人との間で委任契約を締結する時点でLAC基準の存在を知らなかった旨主張するが,このことが上記合理性を左右するものではない。)」

2 控訴人の当審における主張についての判断
 控訴人は,保険金請求権の要件は,文言上は,〔1〕保険者の同意,及び〔2〕被保険者が実際に費用を支出したこととされているが,被保険者の賠償資力を保障するのが保険契約の本質的機能であり,被保険者に代わって保険者が支払うことを認めることによって責任保険による弁護士費用填補の機能が十分に発揮されることになるし,実務上も,被保険者が実際に支出していない場合にも,保険金の支払は行われているのであるから,上記〔2〕は不要であると解すべきであり,本件では上記〔1〕を満たしているから,控訴人の保険金請求権は発生する旨主張する。

 しかしながら,本件特約には,被控訴人に対する保険金請求権は,保険金請求権者が弁護士費用等を支出した時から発生し,これを行使することができるものと明記されているから,上記〔2〕は保険金請求権の要件であると解すべきである。
 確かに,実務上,被保険者が実際に支出していない場合にも,保険金の支払が行われることはあるが,これは保険者と被保険者との合意によるものと解されるから,上記の解釈を左右するものではなく,本件においてはそのような合意もない。


 なお,控訴人は,仮に,92万1374円を既払金として控除するとしても,控訴人が得られた経済的利益は204万1576円を下ることはないから,被控訴人は,少なくとも,これにLAC基準である16%を乗じた35万3276円の支払義務がある旨主張するが,上記の保険金請求権の要件を欠き,被保険者が実際に支出をしていない場合にも保険金を支払う旨の合意もないから,その請求に理由がないことに変わりはない。
 控訴人の主張は採用することができない。

3 まとめ
 以上によれば,控訴人の請求は理由がない。

第四 結論
 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官 阿部潤 裁判官 品田幸男 裁判官中園浩一郎は,転補のため,署名押印することができない。裁判長裁判官 阿部潤
以上:3,511文字

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