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無保険車・人身傷害保険に関する平成21年7月9日名古屋高裁判決紹介

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平成27年 1月24日:初稿
○「無保険車・人身傷害保険に関する平成20年12月2日名古屋地裁判決紹介2」に引き続き、その控訴審判決である平成21年7月9日名古屋高裁判決「裁判所の判断部分」全文を紹介します。
一審名古屋地裁判決は、原告請求額約1億7538万円のところ、約1億2951万円認容しましたが、名古屋高裁では、認容額が約1億1888万円と約1063万円減額となり、その後の平成24年4月27日最高裁判決では、約1億1583万円と更に約305万円減額されています。この名古屋高裁判決とさらに別コンテンツで紹介予定の最高裁判決を精読した上で、別コンテンツで認容金額変動の理由を説明します。

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第三 当裁判所の判断
 当裁判所は、
①控訴人花子の本件請求は、1億1888万0615円(保険金残金1億1583万6731円とその一部に対する平成21年4月15日現在の確定遅延損害金304万3884円の合計)及びうち4465万2618円(保険金残金の一部)に対する平成21年4月16日から、うち7118万4113円(保険金残金の残部)に対する弁済期の翌日である平成18年3月21日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がなく、また、控訴人花子が当審において追加した請求は理由がなく、
②控訴人三郎及び控訴人春子の本件請求は、それぞれ、保険金205万円及びこれに対する弁済期の翌日である平成18年3月21日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余は理由がなく、
③控訴人夏子の本件請求は、保険金105万円及びこれに対する弁済期の翌日である平成18年3月21日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余は理由がないと判断する。

 その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「事実及び理由」中の「第四 当裁判所の判断」の「1」ないし「6」記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決書16頁の1行目から2行目にかけての「また、その間の付添看護費は」を「そして、前示の控訴人花子の受傷の程度、症状経過、年齢等からすれば、入院付添看護費の額を」と改める。

2 同18頁10行目の末尾の次に、「なお、後遺障害による逸失利益の算定に当たり、生活費の控除(控訴人花子の活動が健常者よりも相当程度制限されることによるもの)をしていないことは、将来の雑費(紙おむつ代等)の必要性及びその額に関する上記判断を何ら左右するものではない。」を加える。

3 同18頁14行目の「898万4666円」を「804万8442円」と改め、同19頁13行目の冒頭から同24頁1行目の末尾までを次のとおり改める。
「イ 被控訴人の提出した調査報告書には、控訴人らの提出した見積書記載の改造工事の必要性、相当性につき、個別的に理由及び算定根拠を挙げて上記アのとおり指摘する記載がある。そして、その内容を逐一検討しても、その指摘するところが明らかに失当であるとはいえないし、本件全証拠によっても、見積書の内容が、調査報告書の内容よりも適切なものであると判断すべき十分な根拠があるとは認められない。
 そうすると、控訴人ら提出の見積書の記載をにわかに採用することはできないというべきであるから、家屋の改造工事費用としては、調査報告書によって認められる804万8442円の限度で、これを認めるのが相当である。」

4 同26頁13行目の冒頭から同頁24行目の末尾までを次のとおり改める。
「(12) 弁護士費用等(その理由につき、後記2で判示する。)
ア 控訴人花子 300万円
 己川に対する損害賠償請求訴訟の提起、遂行に要した弁護士費用として300万円
イ その余の控訴人ら 各5万円
 己川に対する損害賠償請求訴訟の提起、遂行に要した弁護士費用
(13) 以上の控訴人らの損害額の合計は、次のとおりである。
 ア 控訴人花子 1億5981万3922円
 イ 控訴人三郎、控訴人春子 各205万円
 ウ 控訴人夏子 105万円

(14) 本件保険金の内払金311万8612円は、上記(13)アの控訴人花子の損害金(元本)に充当されたから(争いがない)、これを控除した残額は、1億5669万5310円となる。」

5 同28頁1行目の「しかし」から同頁5行目の末尾までを次のとおり改める。
「そうすると、交通事故の被害者(保険金請求権者)が加害者(賠償義務者)に対する損害賠償請求訴訟の提起、遂行のために要した弁護士費用については、前示の本件保険約款第4章(無保険車傷害条項)9条にいう賠償義務者が法律上負担すべき損害賠償責任の額に含まれるものというべきである。」

6 同28頁6行目の「本件において」から同頁17行目の末尾までを次のとおり改める。
「これを本件についてみるに、証拠(略)によれば、控訴人らは、原審においては、本件事故の加害者である己川に対する損害賠償請求訴訟を提起していなかった(なお、被控訴人の担当職員は、本件訴訟提起前に、控訴人ら訴訟代理人弁護士に対し、上記訴訟を提起するよう促していた。)が、原判決言渡後の平成21年1月30日ころ、上記訴訟を提起し、その手数料58万7000円、郵便切手等6,700円の合計59万3700円を控訴人花子において負担したこと、控訴人らは、上記訴訟の提起、遂行を控訴人ら訴訟代理人弁護士に委任し、その報酬として相当額の弁護士費用を支払う旨約したことが認められる。

 そして、上記訴訟の内容、認容額(控訴人花子につき元金1億5647万3941円と遅延損害金、その余の控訴人らにつき各220万円と遅延損害金。弁護士費用につき、控訴人花子が885万円、その余の控訴人らが各20万円とされた。)、審理経過その他本件審理に現れた一切の諸事情を総合すると上記弁護士費用及び手数料等のうち、本件事故と相当因果関係のある損害は、上記弁護士費用のうち、控訴人花子につき300万円、その余の控訴人らにつき各5万円(合計315万円)であるとするのが相当である。

 なお、上記訴訟において、己川に対し、公示送達による呼出しがされたが、己川は、その口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しなかったこと、書証の取調べのみが行われ、口頭弁論終結日の2週間後に控訴人らの請求を一部認容する判決が言い渡されたことからすれば、上記訴訟の提起、遂行につき格別困難な点はなかったものと認められるから、弁護士費用の額を定めるに当たって、前示の認容額を重視するのは相当でない。

 これに対し、被控訴人は、己川に対する損害賠償請求訴訟は、本件訴訟を有利に運ぶ目的で形式的に提起されたに過ぎないと主張するが、損害賠償請求権の消滅時効を妨げるなど加害者に対する損害賠償請求訴訟の必要性を否定することはできないから(なお、被控訴人の担当職員が、本件訴訟提起前に、控訴人ら訴訟代理人弁護士に対し、上記訴訟を提起するよう促しており、被控訴人においても、己川に対する損害賠償請求訴訟の提起の必要性を肯認していたものといえる。)、被控訴人の上記主張は、採用できない。

 なお、本件保険約款において、本件保険金についての損害額は、「保険金請求権者(交通事故の被害者)と賠償義務者(加害者)との間で損害賠償責任の額が定められているといないとにかかわらず」、保険会社と保険金請求権者との間の協議、訴訟等によって決定されるとされているから(第4章の第9条2項)、前示の本件保険約款第4章(無保険車傷害条項)9条にいう賠償義務者が法律上負担すべき損害賠償責任の額に含まれるべき弁護士費用の額は、上記の己川に対する損害賠償請求訴訟において認定された弁護士費用の額と、同額であるとは限らない(また、己川に対する損害賠償請求訴訟の既判力は、本件訴訟には及ばないから、弁護士費用の額についても、本件訴訟の資料から相当と認められるべき額を定めることになる。)。」

7 同29頁23行目の「認めることはできない」の次に、「(なお、控訴人らは、保険会社において、加害車両が無保険車であり、加害者に損害を賠償する意思、能力がないことを認識していたときは、無保険車傷害保険に係る保険金請求があったものというべきであると主張するが、保険会社(被控訴人)において、上記認識を有していたとまで認めるに足りる証拠がないし、仮に、保険会社(被控訴人)において、そのような認識があったとしても、そのことによって、無保険車傷害保険にかかる保険金の支払請求を受けたものと考えることは困難であり、控訴人らの主張は、採用できない。)」を加える。

8 同30頁6行目の冒頭から同31頁7行目の末尾までを次のとおり改める。
「無保険車傷害保険の保険金支払債務は、保険会社と当該保険の契約者との間に締結された保険契約によって生ずるものではあるが、無保険車傷害保険が実損てん補型の傷害保険であり、その保険金請求は、実質において、加害者(賠償義務者)に対する損害賠償請求と同じであることからすれば、約款の解釈として、その遅延損害金についても、加害者に対して請求できる以上に被保険者(被害者)に権利を付与することまでは予定されていないものと解すべきであるから、無保険車傷害保険金に係る遅延損害金の利率は、年5分であるとするのが相当である。」

9 同33頁1行目の「また」から同頁18行目の末尾までを次のとおり改める。
「また、同約款の第4章(無保険車傷害保険条項)の11条(支払保険金の計算)は、保険会社が支払う保険金の額を、9条の規定により決定される損害の額(前示のとおり、賠償義務者が賠償責任を負うべき交通事故と相当因果関係にある損害の額)及び10条の費用から、「自賠責保険等によって支払われる金額」(11条2号。自賠責保険等(自動車損害賠償保障法に基づく責任保険又は責任共済)又は自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償保障事業により支払われる金額をいう(3条3号、4号)。)、「保険金請求権者が賠償義務者からすでに取得した損害賠償金の額」(11条6号)などを差し引いた額とする旨定めている。この規定によれば、保険会社は、9条の規定により決定される損害の額のうち、「自賠責保険等によって支払われる金額」を超える部分につき、保険金(元本)を支払うこととされているものと認められ、そうすると、自賠責保険から支払われた4,000万円については、9条の規定により決定される損害の額(元本)からこれを差し引くのが相当である。

 次に、障害基礎年金については、前示の「保険金請求権者が賠償義務者からすでに取得した損害賠償金の額」には当たらないが、損害てん補の性質を有する点においては、同じであるから、これに準ずる扱いをするのが相当である。そして、「すでに取得した」とは、無保険車傷害保険に係る保険金の弁済期までに取得したことを意味するものと解されるから、上記弁済期までに取得した損害てん補の性質を有する給付額については、これを9条の規定により決定される損害の額(元本)から差し引くこととし、弁済期経過後の給付額については、9条の規定により決定される損害の額の遅延損害金、元本の順にこれを差し引くものとするのが相当である。」

10 同33頁20行目の冒頭から同35頁2行目の末尾までを次のとおり改める。
「前示したところによれば、内払金311万8612円及び自賠責保険金4000万円については、前示1(13)の控訴人花子の損害額1億5981万3922円の元本(全体)から差し引かれ、障害基礎年金については、本件保険金の弁済期までに取得したものは、上記元本のうち、休業損害及び逸失利益に係る部分から差し引かれ、上記弁済期後に取得したものは、当該部分の遅延損害金、元本から、この順に差し引かれることになる。

 前示1(13)の控訴人花子の損害額1億5981万3922円のうち、休業損害及び逸失利益に係る部分の額は、6232万7464円であるところ、次の算式のとおり(計算は、1円未満切捨て。以下同じ)、上記内払金、自賠責保険金の合計4311万8612円のうち、1681万6267円は、前示1(13)の控訴人花子の損害額1億5,981万3,922円のうち、休業損害及び逸失利益に係る損害部分(6232万7464円)から差し引かれることになり、その差引後の損害部分の残額は、4551万1197円となる。
 (算式) 4311万8612円×6232万7464円÷1億5981万3922円=1681万6267円

 そして、前示(前提事実)のとおり支給された障害基礎年金(当審の口頭弁論終結時までの受領分。なお、上記時点までに支給が確定した障害基礎年金の存在及びその金額を認めるに足りる証拠はない。)につき、本件保険金の弁済期までに取得(受領)したものは、休業損害及び逸失利益に係る損害部分の上記残元本(4551万1197円)から差し引かれ、上記弁済期後に取得したものは、その遅延損害金、元本から、この順に差し引かれるが、これを順次計算すると、別紙「計算表」記載のとおりであり、これによれば、最終の受領額(平成21年4月15日分の障害基礎年金)を差し引いた後において、休業損害及び逸失利益に係る損害部分の残元本の額は、4465万2618円となり、同日現在(受領後)の確定遅延損害金の額は、304万3884円となる。

 また、上記内払金、自賠責保険金の合計4311万8612円のうち、その余(休業損害及び逸失利益に係る損害部分から差し引かれたもの以外)の2630万2345円は、前示1(13)の控訴人花子の損害額1億5981万3922円のうち、その余(休業損害及び逸失利益に係る損害部分以外)の損害額(9748万6458円)から差し引かれることになり、その残額は、7118万4113円となる。
 そうすると、前示1(13)の控訴人花子の損害額1億5981万3922円から、内払金、自賠責保険金及び障害基礎年金を差し引いた後の損害額の元本は、1億1583万6731円となる。」

第四 結論
 よって、本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも一部理由があるから、原判決を変更し、控訴人が当審において追加した請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法67条1項本文、同条2項、64条、65条1項本文、61条を、仮執行の宣言につき同法310条を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結日 平成21年5月12日)

 名古屋高等裁判所民事第4部  裁判長裁判官 岡久幸治  裁判官 加島滋人  裁判官 鳥居俊一

以上:6,075文字

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