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68歳女子女性労働者全年齢平均賃金で勤労可能年数11年の判例紹介

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平成26年 8月21日:初稿
○死亡や後遺障害が残った事案では、将来の得られる収入減少即ち逸失利益が損害として認められ、全損害の内大きな部分を占めます。この逸失利益の労働能力喪失期間について男女差があることを注意すべきであることは「逸失利益算定における労働能力喪失期間の男女差に注意」、「同2」に記載したとおりです。

○女子については、青本・赤本に参考資料として掲載されている自賠責保険別表Ⅱ-1の「就労可能年数とライプニッツ係数表」の数字を鵜呑みにしないで、シッカリ、平均余命の2分1を計算し直して算出する注意が必要ですが、この注意が重要と再認識する判決が出ています。「祇園軽ワゴン車暴走事故」として広く社会の耳目を集めた事件についての平成26年2月4日京都地方裁判所判決(ウエストロー・ジャパン、判例秘書)です。

○68歳女子について、就労可能年数を平均余命(21.03年)の半分強11年を認め、且つ、逸失利益の算定基礎収入額を平成23年度産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額金355万9000円全額認めています。68歳位になると逸失利益の算定基礎収入額は全年齢平均女子賃金から一定割合控除される例が多いのですが、事案によっては全額認められます。この判例では、慰謝料も68歳女子では珍しく一家の支柱並みの金額である2700万円が認められています。
以下、この判例の逸失利益及び慰謝料認定部分全文を紹介します。

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(4)逸失利益 2143万9287円
ア 家事分

 証拠(甲1,3の5,27,28,原告X1)によれば,本件事故当時,Bは68歳の主婦であり,夫である原告X1(69歳),長男である原告X2(42歳),二男である原告X3(39歳)の3人と同居し,家事一切をBが担っていたこと,原告X2は,平成21年に急性骨髄性白血病を発症し,抗ガン剤治療や骨髄移植のために入通院を繰り返し,本件事故当時も2週間に1度の通院治療を要する状態にあったところ,その付添看護は主にBが行っていたことが認められる。

 このような原告X2の付添看護を含むBの家事労働の内容にかんがみれば,逸失利益の算定基礎収入額は,平成23年度産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計・全年齢平均賃金額である355万9000円により,就労可能年数を平均余命(21.03年)の約半分である11年とみるのが相当である。

 また,証拠(原告X1)によれば,本件事故当時,原告X2の病状は寛解に向かっていたことが認められ,原告X2や原告X3が独立した後は,原告X1とBの2人暮らしとなっていたであろうことも併せ考慮すれば,家事分にかかる生活費控除率は50パーセントとみるのが相当である。

 これをもとに家事分の逸失利益を算定すると,下記のとおり1478万1238円(1円未満切捨て,以下同じ。)となる。
  算定基礎収入 355万9000円
  就労可能年数 11年(平均余命21.03年の約2分の1)
   これに対応するライプニッツ係数8.3064
  生活費控除 50%
   355万9000円×(1-0.5)×8.3064=1478万1238円

イ 年金分
 証拠(甲7,原告X1)によれば,本件事故当時,Bは,老齢厚生・基礎年金として年額103万8600円の支給を受けていたこと,このほか原告X1も年金を受給していたこと,原告X3は毎月3万円を生活費として家に入れていたこと,療養中の原告X2は稼働先を解雇されて収入がなく,経済的にも原告X1とBを頼らざるを得ない状況にあったこと,もっとも原告X1とBにはそれぞれの年金のほかに家賃収入があり,一家4人の生活費は,上記原告X1とBの年金,家賃収入および原告X3が家に入れる月3万円の生活費でまかなわれていたことが認められる。

 このような一家の収入および生活状況,並びに前記のとおり原告X2の病状が寛解に向かっており,原告X2や原告X3の独立も予想されることを併せ考慮すれば,Bの年金分にかかる生活費控除率は50パーセントとみるのが相当である。

 これをもとに年金分の逸失利益を算定すると,下記のとおり665万8049円となる。
  年金額 103万8600円
  平均余命 21.03年
   21年に対応するライプニッツ係数12.8212
  生活費控除 50%
   103万8600円×(1-0.5)×12.8212=665万8049円

ウ 以上により,Bの逸失利益はアおよびイの合計である前記金額となる。

5)死亡慰謝料 2700万0000円
 前記1で認定した本件事故態様,証拠(原告X1)および弁論の全趣旨によれば,Bは,本件事故当時68歳の健康な主婦であり,夫と2人の息子の家事一切を1人で担うとともに,平成21年に急性骨髄性白血病を発症し療養中であった原告X2の付添看護を主に担っていたこと,本件事故当日は,主婦業の合間,友人とともに花見のため京都を訪れ,本件交差点の南詰横断歩道を青信号にしたがい横断歩行中,制限速度を超える速度で赤信号を無視して本件交差点に進入してきたA運転にかかる加害車両にはねられ,病院に救急搬送されるも蘇生することのないまま,約1時間後に死亡するに至ったことが認められる。

 制限速度を超える速度で,かつ赤信号を無視して歩行者が多数横断中の本件交差点に加害車両を進入させ,横断中のBをはねて負傷させながら,加害車両を停止させて救護する等の措置を講じることもなかったAには重大な過失があり,他方,横断歩道を青信号にしたがい歩行していたBには何らの落ち度もなく,事故態様は悪質である。

 楽しい花見のはずが一転,このような事故に巻き込まれて重傷を負い,蘇生もかなわず,家族に別れを告げるいとまもないまま命を奪われ,夫や子らとりわけ病気療養中の子の将来を見届けることができなかったBの苦痛や無念,心残りは図り知れず,同人の被った損害を慰謝するには上記金額が相当である。
以上:2,474文字

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