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加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介11

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平成26年 4月18日:初稿
○「加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介10」を続けます。別紙も含めて43頁に及ぶ長文判決ですが、これが最終結論です。



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(5)また,被告日新は,原告の訴外Bに対する第2事故に係る損害賠償請求権について,民法724条所定の消滅時効が完成したとしてこれを援用した上,本件行使期限条項の「損害賠償請求権者の被保険者に対する損害賠償請求権が時効によって消滅した場合」に該当するから,原告は,被告日新に対し,任意保険の直接請求権を行使できないと主張する。そこで,被告日新に対する関係において,本件行使期限条項の適用があるか否かについて検討する。 

ア 前示のとおり,原告は,第2事故の加害者(被保険者)である訴外Bに対しては,これまで何らの請求をしておらず,本件訴えにおいても,訴外Bを被告とせず,任意保険会社である被告日新のみを被告として,本件約款の本件直接請求権条項に基づく請求をしたところ,証拠(甲14の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,被告日新は,本件示談等代行条項に基づき,原告に対し,第2事故に関する治療費,通院交通費,休業損害及ぴ傷害慰謝料として82万8428円(物損を除く人損分は68万1060円(前記4(8)エ参照))を支払い,その後,訴外Bは,平成19年3月9日,原告に対し,第2事故の損害賠償として原告に支払うぺき金員が,上記の既払金を除き67万5506円を超えて存在しないことの確認を求める訴えを提起したが,その後,原告がいつまで低髄液圧症候群の治療を継続するか不明であり訴訟の進展が望めないとして,当該訴えを取り下げた(ただし,訴外Bは,当該訴えにおいて,第1事故の寄与の内容によっては債務額に影響が生じ得ることを留保する趣旨の主張もしていた。)ことが認められる。以上によると,訴外Bは,平成19年3月9日,原告に対し,多くとも,上記の既払額のほか,67万5506円(以下「訴外B自認額」という。)を限度として,第2事故に関する損害賠償債務を承認したにとどまり,残余の債務の存在については争ったというべきであるから,訴外Bによる債務の承認の効力は,その限度で発生し得るにすぎないと解するのが相当である。

イ そうすると,原告の訴外Bに対する損害賠償請求権(第2事故関係)のうち,訴外B自認額については,平成19年3月9日,消滅時効が中断したが,その後3年が経過したことにより消滅時効が完成したと認められる。また,その余の既払金を除く債権額についても,症状固定日の同年2月3日から3年が経過したことにより消滅時効が完成したと認められる。そして,被告日新は,原告に対し,遅くとも第1審の弁論準備手続終結までに,原告の訴外Bに対する上記損害賠償請求権について消滅時効を援用するとの意思表示をしたと認められるから(当裁判所に顕著),本件行使期限条項により,原告は,被告日新に対し,本件直接請求権条項に基づく請求をすることができないというべきである。

(6)原告の主張について
ア 原告は,被告三井住友が原告の訴外Aに対する損害賠償請求権について消滅時効を援用したのは,本件提訴日から4年近くを経過した後であるから,明らかに時機に後れ,重大な過失があり,これを却下しなけれぱ訴訟の完結を遅延させるとして,民事訴訟法1 5 7条1項に基づき,被告三井住友による上記の攻撃防御方法(以下「本件主張」という。)を却下すべきことを申し立てた。
 しかしながら,被告三井住友が本件主張を提出した時期は,第1審の弁論準備手続終結より前であること,本件主張の当否を判断するためには,既に取調ぺ済みの証拠及ぴ弁論の全趣旨に基づいて評価すれば足り,訴訟を遅延させることになるとは認められないことに鑑みれぱ,本件主張は時機に後れた攻撃防御方法とはいえないから,原告の上記申立てを却下すべきである。

イ 原告は,本件示談等代行条項によれぱ,被告三井住友は本件の訴訟追行について訴外Aの同意を得ているはずであるから,被告三井住友は,訴外Aの代理人として本件訴訟を追行しており,訴外Aの代理人である被告三井住友に対して本件訴えを提起することにより,訴外Aに対して損害賠償請求訴訟を提起したのと同視でき,訴外Aとの関係でも消滅時効が中断すると主張する。

 しかしながら,被告三井住友が本件訴訟を追行することについては,訴外Aのためにする側面があるとしても,訴外Aの代理人として訴訟追行しているものでないことは明らかである上,原告の訴外Aに対する不法行為に基づく損害賠償鶴求権と原告の被告三井住友に対する任意保険の直接請求権とは,別個の独立した権利であるから,原告が被告三井住友に対し後者の権利について訴訟を提起したからといって,訴外Aに対する請求と同視すべきであるとはいえない。
 この点に関する原告の主張は採用できない。

ウ 原告は,被告三井住友は答弁書において木件示談提示の提示額を認めており,金額はともかくとして原告に対する債務を承認したというぺきであるから,被告三井住友ないし訴外Aとの関係において消滅時効が中断すると主張する。
 しかしながら,被告三井住友は,答弁書において,本件約款に基づく直接請求権を原告が行使できることを争った上で,予備的に前記の既払分の限度で債務を承認したにすぎず,残余の損害賠償債務の存在については明確に否認しているのであるから,残余の損害賠償債務について時効は中断しないと解すべきである。
 この点に関する原告の主張は採用できない。

エ 原告は,自賠責保険会社としての被告三井住友は,原告の後遺障害認定申請に基づき,原告に対し,自賠法の損害賠償額として75万円を支払ったから,任意保険会社としてもはや消滅時効を援用することは許されないと主張する。

 しかしながら,被害者の自賠責保険会社に対する自賠法16条の被害者請求権と被害者の加害者に対する損害賠償請求権とは,別個独立して併存する権利であり,両債務の関係は不真正連帯債務と解されるから,被害者が自賠責保険会社に対して自賠法16条の被害者請求をし,自賠法の損害賠償額が支払われたからといって,直ちに被害者の加害者に対する損害賠償請求権の時効中断事由になるものではない。そして,他に被告三井住友が,自賠責保険会社として原告の被害者請求に応じて自賠法の損害賠償額75万円を支払ったことをもって,原告の訴外Aに対する損害賠償請求権の時効が中断したと認めるぺき事情は見出し難い。
  この点に関する原告の主張は採用できない。

オ 原告は,被告三井住友が,本件訴訟の第1審の終盤になって初めて消滅時効を援用したこと(本件主張)は,信義に反し許されないとも主張する。

 しかしながら,第1審の終盤に消滅時効を援用することが直ちに信義に反し許されないとはいえず,本件の個別事情を踏まえても,被告三井住友の本件主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下すぺきでないことは前示のとおりである上,他に本件主張が信義に反し許されないと認めるに足りる事情は見出し難い。
 この点に関する原告の主張は採用できない。

第4 結論
 以上によれぱ,争点6(任童保険の直接請求権に関する他の条件充足の有無)について判断するまでもなく原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。

仙台地方裁判所第3民事部
裁判官 工 藤 哲 郎
以上:3,103文字

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