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加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介5

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平成26年 4月17日:初稿
○「加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例全文紹介4」の続きです。


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ク 仙台医療センター(丁数のみで表記したものは、甲27の丁数である。)
(ア)原告は、平成19年3月27日、仙台医療センター脳神経外科を受診し、鈴木晋介医師(以下「鈴木医師」という。)は、「脳脊髄液減少症の疑い、頸椎捻挫」と診断した。鈴木医師は、同年4月17日、頭部MRI検査の結果(甲28の1、2)、大脳の下垂を疑い(15丁)、同日付けの医療記録に「起立性頭痛+」、「頭痛(寝ていると痛い)、頚部痛、左手のしびれ、嘔気+」と記載した(8丁)。原告は、同年5月21日、検査入院し、鈴木医師は、RI脳槽脊髄腔撮影(脳槽シンチグラフィ)の結果(甲29の1、2、甲36)、腰部に著明な髄液漏を認めたと判断した(15丁)。原告は、同年5月24日、1回目の硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)を受け、同年5月28日、症状軽快したとして退院した。鈴木医師は、同年7月10日、「平成18年7月3日の交通事故(第2事故)後より頭痛、頚部痛、手のしびれが出現し増悪した。MRI精査にて大脳の下垂が疑われ、RI脳槽脊髄腔撮影にて著明な髄液漏を認めた」として外傷後髄液漏と診断した(15丁、甲10の1)。

 原告は、その後、症状が増悪し、平成19年9月6日、入院して2回目の硬膜外自家血注入療法を受け、同年9月10日、症状軽快したとして退院したが、再び症状が増悪し、平成20年5月22日、入院して3回目の硬膜外自家血注入療法を受け、同年5月26日、症状軽快したとして退院したが、同年6月11日、再ぴ症状が増悪し、その後は、水分補給剤の点滴治療を受けるなどしている(甲42)。

(イ)鈴木医師が、原告訴訟代理人の照会を受けて、前記(ア)の診断について説明したところによれぱ、
①頭部MRI検査の結果により、小脳テント、大脳鎌と連続して硬膜造影を受けており、上矢状洞周囲の大脳の隙間があることが認められたことから、大脳の下垂を疑ったものであり、ただし、高度所見ではないので、頭部MRI画像からの診断だけでは脳の萎縮例との区別は付きにくい、
②RI脳槽脊髄腔撮影の両像については、検査実施から6時間後の画像において、腰部に左右非対称のRI異常集積が認められることから、脳脊髄波漏出の「疑」所見となるとされている。(甲39、41、弁論の全趣旨(原告第7準備書面))

(2)低髄液圧症侯群に関する医学的知見
ア 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症、脳脊髄液漏出症とも呼ばれる。国際頭痛分類の基準に従い、特に断りのない限り低髄液圧症候群と表記する。)は、一般に、脳脊髄液の漏出、減少により頭蓋内圧が低下し、脳組織が下方に牽引されて頭痛等が生ずる病態であるとされている。座位や立位では、頭の位置が髄液の漏出している部位よりも高くなることによって、臥位よりも髄液漏出が増大するため、頭痛が悪化するが、臥位になると頭痛が改善する(起立性頭痛)。低髄核圧症候群の症状には、起立性頭痛以外にも項部硬直、耳嗚り、聴力低下等があるが、それらの症状についても、臥位から座位又は立位になることによって顕著に増悪する特徴があるとされている。(甲31ないし35(枝番を含む。)、乙1、2、6、9、10 、弁論の全趣旨)

イ 低髄液圧症候群の診断基準
(ア)国際頭痛分類基準

 国際頭痛学会が2004年(平成16年)に公表した国際頭痛分類のうち、特発性低髄液圧性頭痛の診断基準(第2版)(以下、国際頭痛分類基準)という。)の概要は,。別紙1のとおりである。(乙2、弁論の全趣旨)
 なお、平成25年7月ころ、国際頭痛分類の第3版が公表された。(甲56、57の1、2)

(イ)脳神経外傷学会基準
 日本脳神経外傷学会は、外傷性低髄液圧症候群の診断、治療等について医学的に合理的な見解を示すことを目的として「頭部外傷に伴う低髄液圧症候群作業部会」を設置し、同作業部会は、平成19年、中間報告を公表し、平成22年、同中間報告に「髄液漏出を示す画像所見」の基準を盛り込んだ「外傷に伴う低髄液圧症候群の判断基準」を公表した(以下「脳神経外傷学会基準」という。)。その概要は、別紙2のとおりである。(乙1、2、6)

(ウ)研究会ガイドライン
 国際頭痛分類基準及ぴ眉神経外傷学会基準とは異なる診断基準を提唱する医師らで構成される、脳脊髄液減少症研究会のガイドライン作成委員会(仙台医療センターの鈴木医師もとれに参加している。)は、平成19年、「脳脊髄液減少症研究会ガイドライン2007」を公表した(以下「研究会ガイドライン」という。)。その概要は、別紙3のとおりである1(甲35)。
 もっとも、研究会ガイドラインについては、不定愁訴を訴えるほとんどの人が該当するとの否定的な見解があるほか、その判断手法についても、早期膀胱内RI集積及びRIクリアランスの亢進(24時間後RI残存率の低値)は、それ自体、髄液漏出の直接所見ではないこと、膀胱内RI集積や脳脊髄液腔RI残存率の所要時間には個人差があること、脳脊髄液の循環及び吸収動態が正確に解明されておらず、これらを髄液漏出の判断基準とする科学的根拠がないとする指摘があるなど、医学界全般の支持を得るまでには至っていない。(弁論の全趣旨)

(エ)厚労省研究班基準
 平成22年度厚生労働料学研究費補助金障害者対策総合研究事業(神経・筋疾患分野)脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究班(以下「厚労省研究班」)という)は、平成23年4月、「脳脊髄液漏出症およぴ低髄液圧症の画像判定基準と解釈(案)」、「脳脊髄液漏出症およぴ低髄液圧症の画像診断基準(案)」(乙9)を公表し、同年10月、8学会(日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本整形外科学会,、日本頭痛学会、日本脳神経外傷学会、日本脊髄外科学会、日本脊椎脊髄病学会及ぴ日本脊髄障害医学会)が了承・承認したものとして、「脳脊髄液福出症の画像判定基準・画像診断基準」(乙10)を公表した(以下「厚労省研究班基準」という。)。その概要は、別紙4のとおりである。

ウ 低髄液圧症候群の治療方法等              ’
(ア)低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症、脳脊髄液漏出症)に対する治療方法として、保存的治療法(一定期間臥床安静を保ち、十分な水分補給を行う。)のほかに、硬膜外に患者自身から採取しだ血液を注入して癒着を形成させ、髄液が漏れている部分を塞ぐ硬膜外自家血注入療法(プラッドパッチ療法ともいう。)
がある。(甲31ないし35(枝番を含む。)、乙9)。

(イ)なお、硬膜外自家血注入療法は、平成24年6月1日、「厚生労働大臣の定める先進医療及ぴ施設基準」(平成20年厚生労働省告示第129号)の改正により先進医療の指定を受けており(同告示の第2の63)、硬膜外自家血注入療法の対象となる症状等としては、「脳脊髄液漏出症(起立性頭痛を有する患者に係るものであって、脳脊髄液漏出症の画像診断基鵬(社団法人日本整‘形外科学会、社団法人日本脳神経外科学会、一般社団法人日本神経学会、一般社団法人日本頭痛学会。一般社団法人日本脳神経外傷学会、一般社団法人日本脊髄外科学会、一般社団法人日本脊椎脊髄病学会及び日木脊髄障害医学会が認めたものをいう。)に基づき確実であると診断されたものをいう。)」と定められている。


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