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逸失利益算定における労働能力喪失期間の男女差に注意

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平成25年 9月18日:初稿
○自賠責保険金の算出方法は大量事務処理のため公式に当てはめて機械的に行われのが一般です。そのため具体的なケースにそぐわない場合もあり、それを是正するのが司法判断です。
交通事故による傷害で、後遺障害が残って労働能力に悪影響を与えて招来の収入が低下することが確実になった場合の、招来の収入減少についての損害を填補するのが逸失利益です。この逸失利益の算定も自賠責保険金実務では、後遺障害等級と等級毎の労働能力喪失率を定め、更に将来の労働能力喪失期間もその年齢の平均余命期間から機械的に定められます。また、逸失利益は将来の損害を現在時点で受領するものですから、この先取り分の利息を中間利息として控除します。この中間利息控除方法は、現在は、ライプニッツ法(複利計算)が使用されています。

○逸失利益算定の対象となる将来の労働能力喪失期間は、就労可能年数とも呼ばれ、原則として症状固定による後遺障害確定時の年齢から67歳までの期間です。
以下、損害保険料率算出機構HPで公表されている逸失利益算定のための就労可能年数とそのライプニッツ係数の表です。



下方の説明部分の記載は、以下の通りです。
(注)1 18才未満の有職者および18才以上の者の場合の就労可能年数については、
(1)54才未満の者は、67才から被害者の年令を控除した年数とした。
(2)54才以上の者は、平均余命年数の1/2とし、端数は切上げた。

2 幼児・児童・生徒・18才未満の学生および働く意思と能力を有する者(有職者・家事従事者・18才以上の学生以外)の場合の就労可能年数およびライプニッツ係数は、下記(例)に準じて算出する。
(例)3才の場合
(1) 就労の終期(67才)までの年数64年(67年-3年)に対応する係数 19.119
(2) 就労の始期(18才)までの年数15年(18年-3年)に対応する係数 10.380
(3) 就労可能年数 49年(64年-15年)
(4) 適用する係数 8.739(19.119-10.380)


○注意すべきは、「54才以上の者は、平均余命年数の1/2とし、端数は切上げた。」としながら、男女の区別をしていない点です。
例えば、55歳は、男女区別なく就労可能年数14年とされ、ライプニッツ係数は9.899とされています。
しかし、以下の男女別平均余命年数とライプニッツ計数票によると、55歳男子の平均余命は26年、女子は32年で6年も差があります。

従って就労可能年数について「54才以上の者は、平均余命年数の1/2とし、端数は切上げた。」との基準に従えば、55歳男子就労可能年数は13年、女子就労可能年数は16年と3年の差が生じて然るべきです。然るに前記損害保険料率算出機構HPで公表されている逸失利益算定のための就労可能年数は、男女区別なく就労可能年数を14年としています。基準からは男子が1年有利に、女子が2年不利にカウントされています。

裁判例では、54歳以上の場合、就労可能年数を平均余命の2分の1とする例も多く、特に女子から損害賠償請求の依頼を受けた場合、損害保険料率算出機構HPで公表されている逸失利益算定のための就労可能年数を機械的に適用せず、平均余命を確認して、その2分の1の期間を就労可能年数とする配慮が必要です。但し、男子の場合は、有利なのでこれを機械的に適用した方が良いです(^^;)。



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