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手話言語能力喪失に関する判例解説

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平成24年 7月24日:初稿
○「手話言語能力喪失に関する判例紹介1」で紹介した平成21年11月25日名古屋地裁判決(判例時報2071号71頁)についての私なりの解説です。

事案概要
・原告は、身体障害1級の聴覚障害者で他者とのコミュニケーション手段は手話でした。
・平成16年7月29日発生交通事故で右肋骨骨折,右鎖骨骨折,左橈骨遠位端骨折の傷害を受け、入通院治療の結果、平成18年3月24日、症状固定し、
右肩関節の機能障害 12級6号
右鎖骨の変形障害 12級5号
左手関節神経障害 14級9号
の併合11級の後遺障害認定を受けた。
・この肩と手の運動障害により、手話言語能力が著しい障害を受け、口話での言語障害6級2号に相当するので、原告の後遺障害程度は併合5級相当であると主張

口話での言語障害についての後遺障害等級
3級2号「言語の機能を廃したもの」
4級3号「咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの」
6級3号「言語の機能に著しい障害を残すもの」
9級3号「咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの」
10級3号「言語の機能に障害を残すもの」

後遺障害等級認定基準
 語音は,母音と子音とに区別され、子音を構音部位に分類すると,次の4種類となります。
 口唇音(ま行音,ぱ行音,ば行音,わ行音,ふ)
 歯舌音(な行音,た行音,だ行音,ら行音,さ行音,しゅ,し,ざ行音,じゅ)
 口蓋音(か行音,が行音,や行音,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)
 喉頭音(は行音)

4,6級相当の「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは,4種の語音(口唇音,歯舌音,口蓋音,喉頭音)のうち2種の発音不能のもの又は綴音機能(語音を一定の順序に連結すること)に障害のため言語のみを用いては意思を疎通することができないもの。
9,10級相当の「言語の機能に障害を残すもの」とは,4種の語音のうち1種の発音不能のもの。

被告側手話言語能力の著しい障害についての反論
上記の通り、口話言語の機能障害についての等級は明確かつ厳格な基準に基づいているが、手話言語についてはこのような基準がなく、口話の場合,声帯麻痺による著しいかすれ声は12級を準用されるが,原告の手話による会話が困難となった程度は,両手両腕により多くの単語を表現することができ,単語は指文字を使って表現でき,12級に相当するレベルのものとはいえない。

名古屋地裁判断
聴覚障害者において,手話は相手方と意思を疎通する伝達手段であり,健常者の口話による意思疎通の伝達手段に相当するものであって,手,肩に傷害を負って後遺障害が残り,手話に影響が及んだ場合には,その程度によって後遺障害と扱うのが相当である。
 そして,訴訟での後遺障害等級認定は,自賠責後遺障害の等級を参考にするものの,口話と手話の手段の違いに照らし,意思疎通が可能かどうか,手話能力がどの程度失われているかを中心に個別的に判断するのが相当である。また,機能障害と言語障害と両方を評価したとしても,原告の主張するように口話の言語障害の場合にもありうることであり,手話特有の問題ではなく,また,労働能力喪失率の割合及び慰謝料額は必ずしも等級からそのまま導かれるものではないこともあり,これをもって手話につき後遺障害を認めることを否定するものではない。

とし,原告の障害の程度を12級と認定

この判決と口話言語能力障害判定基準を合わせるての手話言語能力の後遺障害等級判断基準
手話能力及び意思疎通ができるかどうかをメルクマールとし,
6級以上の言語機能に著しい障害を残すものとは,手話能力に障害を残し,意思疎通に(半分以上)支障のあるもの
9級,10級の言語機能に障害を残すものとは,手話能力に障害を残し,意思疎通に(一部)支障のあるもの
12級相当とは、手話能力に障害を残し,分かりにくいものとなったもの
と分類できそうですが、問題は、意思疎通の障害の程度判定基準が口話言語能力障害判定基準のように明確なものがないことです。肩関節、肘関節、手首関節、手指関節等の関節可動域制限状況等から総合的に判断することになるでしょう。
以上:1,666文字

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