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職種により労働能力喪失率の増減はありうるとの判例要旨紹介

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平成23年12月 9日(金):初稿
○「自賠責保険認定後遺障害等級も絶対ではない」記載の通り、交通事故による傷害が原因で後遺障害が残った場合、自賠責保険会社に後遺障害診断書を添付して後遺障害認定申請をして、自賠責保険会社(実質は損害保険料率機構の設置した各地の自賠責損害調査事務所)が、1級から14級までの後遺障害等級を認定します。この後遺障害等級の認定により、1級の100%から14級の5%まで労働能力喪失率が決められています。

○この後遺障害等級毎の労働能力喪失率について、保険会社は、例えば12級の場合20%を、実質は10%としかないなど、低くして、逸失利益を算定してくることはよくありますが、12級認定で実質は40%などと、高くして逸失利益を算定してくることは先ずありません。被害者が12級だがこれによって実質仕事が出来なくなって収入が途絶えたので実質の労働能力喪失率は50%だと保険会社に主張しても先ず通りません。保険会社は、低くするときは実質を考慮しますが、実質考慮して高くすることはなく、後遺障害等級について回る労働能力喪失率を自己に都合良くしか解釈しません。

○しかし、裁判例では、後遺障害等級毎に決められた労働能力喪失率に拘束されることなく、自賠責認定の後遺障害等級とは異なる実質労働能力喪失率を判定することはよくあります。今回は、平成18年12月25日東京地裁判決(自動車保険ジャーナル・第1714号)要旨を紹介します。
 職種により喪失率の増減はありうると退職している49歳女子看護師の複視(10級)につき基準は27%のところ40%の労働能力喪失率で逸失利益認めたものです。

【判決要旨】
①49歳女子看護師が自転車搭乗中、乗用車に衝突され転倒し、硬膜下血腫、両眼の滑車神経麻痺等負い、両眼に7級4号後遺障害を残したとする事案につき、業務は医学的に不可能との判断もあり退職、アルバイト稼働しているが減収幅が大きいこと、自賠責は12級認定であるが、複視は10級該当で、職種により「労働能力喪失率は増減する場合もありうる」とし、原告にとっては「影響は大である」とし、労働能力喪失率40%と認定した。
②信号機のない交差点で、原告自転車が右から進入して被告乗用車と衝突の過失割合につき、原告の進路には「一時停止の規制がある」ことで、原告に40%の過失相殺を適用)。

【事案の概要】
 49歳女子看護師の原告は、平成15年6月18日午前8時30分ころ、川崎市高津区内の交差点を自転車で直進中、左方道路から進入してきた被告運転の乗用車に衝突されて転倒、硬膜下血腫、両眼の滑車神経麻痺等負い、約1年2か月後、両眼に7級4号後遺障害を残したとして、受領自賠責224万円を控除し、5,015万8,503円を求めて訴えを提起した。
 裁判所は、49歳女子看護師の10級複視後遺障害逸失利益につき、職種により労働能力喪失率の増減がありうると、40%の喪失率で算定した。
 両眼滑車神経麻痺は「稀有なケース」であるが、「複視を残すもの」としては等級表10級に該当するとし、看護「業務は不可能と医学的に判断できる」との指摘もあり、原告は退職、アルバイト稼働しているが、従前の収入に比較して減収幅は大きく、かつ、職業によっては自賠責等級表に定めた「労働能力喪失率が増減する場合がありうる」とし、原告にとっての複視影響は大きいことから、「労働能力を40%程度喪失した」と認定した。
 自転車と乗用車の衝突の過失割合は、右側から進入の原告自転車側には「一時停止の規制がある」ことで、「過失割合は原告40」%と認定した。
以上:1,474文字

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