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保険会社顧問医仰天意見書例-肩鎖関節脱臼後遺障害が五十肩

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平成23年10月30日:初稿
○交通事故による傷害を原因として後遺障害が発生したとして損害賠償請求をした場合に保険会社が出してくる抗弁の典型の一つに素因減額があります。その後遺障害の発生原因は、交通事故での傷害だけではなく、その被害者本人が本来持っていた病気も原因の重要な部分であると主張し、損害額の何割かをカットすべきであると主張します。

○私の扱った事件で仰天した例に、交通事故で肩部分を強打して肩鎖関節脱臼となり、脱臼回復の手術をするも完全に元に戻らず、肩関節関節可動域制限と疼痛の後遺障害を残した事案で、保険会社の顧問医が、肩部分のレントゲン写真にたまたま僅かに残っていた石灰沈着らしき影だけを根拠に、これは陳旧性の石灰沈着であるから五十肩の症状に間違いなく、交通事故での肩鎖関節脱臼とは無関係な症状であると断定してきたものがあります。

○この顧問医、被害者本人を直接診察することもなく、私の数十年に渡る長年の整形外科臨床医としての経験から、これは五十肩の症状に間違いないと断定していました。しかし、この被害者は、再度、仙台市内総合病院整形外科の診察を受け、直接問診、レントゲン写真撮影結果等から、診断医から五十肩の症状はないとの診断書を作成して頂き、その保険会社御用達医師の杜撰な意見書を打ち砕いたことがあります。

以下、その裁判での準備書面を一部訂正して紹介します。

************************************************

1 顧問医意見書(乙5)に基づく五十肩の主張-信用性全く無し
 被告顧問医は、原告の右肩写真に写っている石灰沈着らしきものだけを捉え、これを石灰沈着と断定し、原告本人を直接診断して五十肩診断のための各種検査を全くすることもなく、平成○年○月○日「以降の右肩の疼痛は肩鎖関節脱臼の疼痛とは異なる部位の肩の外側の部位のもので、X線写真に石灰沈着もみられることから、いわゆる五十肩の症状であり本外傷とは関係のないものである。」と断定している。

 しかし被告提出乙9「プライマリケアのための整形外科疼痛マニュアル」の「4-B『五十肩』の鑑別診断と治療」によると、「広義の五十肩」はさまざまな病態の混在した中年以降に生じる肩の痛みと運動障害を総称し、「狭義の五十肩」とは、さまざまな病態が重なり合い,結果として肩の痛みと動きの制限という臨床像を呈し、肩関節、隣接する臓器、全身に明らかな疾患がなく、外傷歴もない状態で生じる明らかな原因のない痛みと運動障害を言うとされている(乙9の242頁)。

 この五十肩の診断は,大変難しく、乙9の243頁以下によれば、先ず患者本人を詳しく問診し、その後、上半身裸になってもらい、肩の変形、位置の左右差等を詳しく視診し、更にその後、熱感・圧痛点等を詳しく触診し、可動域や筋力測定をして、必要に応じて特殊な肢位での検査を行い、その上で各種画像診断をして、最終的診断を下すものである。

 それを患者本人を直接診断することもなく、短期間の間に写ったり写らなかったりする曖昧な石灰沈着らしきX線像と僅かの医療記録の記載だけで肩鎖関節脱臼とは無関係の「五十肩」と断定的診断を下すなど、医師としての良心のかけらもない言語道断の姿勢であり、かような医師の意見書(乙5)などは一片の信用性もないことは明白である。その医師としての良心の欠如した保険会社べったりの姿勢にはただただ呆れるばかりである

2 原告右肩に五十肩症状は全く無し
 原告は、平成○年○月○日、○外科で診察を受け、右肩関節のレントゲン写真(甲13の39、40の写真)を撮影して貰った結果、石灰沈着も全く無く、五十肩症状などないと診断され、さらに甲17の紹介書記載の……宮城県内で最高の肩専門医として△病院A整形外科医を紹介された。

 そこで原告は、代理人小松弁護士作成お願い書(甲18)とA医師への照会事項書(甲19)を持参して、平成○年○月○日、△病院でA医師の診察を受け、詳細な検査と、6枚のX線写真撮影をして貰い、その結果、照会事項書への回答を頂き、その回答の結果は、以下の通りである(甲19)。
 
(引用開始、回答結果は「 」内に記載した)
1.自賠責診断書には、X(注;原告のこと)氏の右肩鎖関節について、「右鎖骨遠位端が(肩峰に対し)上方へ突出」と記載されていますが、現在の状態も変わりないでしょうか。この状態は、右肩鎖関節亜脱臼と評価されるものでしょうか。
「その通りです。約5㎜(健側と比較して)上方に転位しております。」

2.X氏の右肩関節可動域制限状況について
 測定結果及び問題点についてご教示お願い申し上げます。
「前回B医師が記載した状況と同様です。」
 外施が制限されております。
 右肩鎖関節部に運動時残痛が残存しています。」

3.X氏の右肩関節可動域制限と「右鎖骨遠位端が(肩峰に対し)上方へ突出」の関連をご教示お願い申し上げます。
「直接は関係がないと考えます。手術後の固定により
 可動域制限が生じたと考えます。」

4.X氏は、現在も右肩内側肩鎖関節近辺に常駐する違和感と、特に右肩の外旋時の痛みの強い増強、更に右肩を下にして横になったときの痛みの増強等を訴えていますが、これらの神経症状と「右鎖骨遠位端が(肩峰に対し)上方へ突出」の関連をご教示お願い申し上げます。
「関係あると思います。」

5.X氏の現在の右肩に石灰沈着性腱炎の症状或いはいわゆる五十肩と呼ばれる症状が存在しているでしょうか。
「ありません。」

6.自賠責診断書障害内容の増悪・緩解の見通し欄には「不変と存じます」と記載されていますが、現在のX氏の右肩鎖関節の状態と神経症状は、今後も「不変」と評価されるのでしょうか。
 「その通りです。」
(引用終了)

 ここで最も重要なことは、いわゆる五十肩の症状はないと明確に診断されたことであり、保険会社顧問医意見書の杜撰さ,信用性が全く無いことが完全に裏付けられた。
 また右肩には痛みが残存しており、右肩関節可動域制限は、「右鎖骨遠位端が(肩峰に対し)上方へ突出」と直接は関係しないが、「手術後の固定」により生じたもので、本件事故による傷害の後遺障害であることは明白となり、現在の原告右肩鎖関節の状態と神経症状は、今後も「不変」であると断定された。


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