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交通事故での胸郭出口症候群等を認めた名古屋地裁判決紹介4

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平成23年 5月 9日:初稿





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カ C病院の池内隆人医師(以下「池内医師」という。)は,平成18年3月6日付けの診断書に,病名を神経因性膀胱として「平成18年3月6日,上記疑いにて膀胱内圧測定行ったが,膀胱知覚,容量およびコンプライアンスは正常であった。しかし,尿流測定にて排出障害あり,前立腺肥大をみとめないことを考えると,交通事故による腰椎椎間板障害がその原因である可能性は否定できないと考えます」と記載した(甲22)。

 C病院泌尿器科の加藤誠医師も同日に行われた膀胱内圧測定では,初発尿意9 0ml,強い尿意306m1で,膀胱の知覚,容量及びコンプライアンスは正常であったが,尿流測定では,最大尿流率が10ml/s,9ml/s,7ml/sと排出障害があり,触診と超音波検査で前立腺肥大がないことより,交通事故による腰椎椎間板障害がその原因である可能性は否定できないと考えるとしている(甲45)。
 最大尿流率の正常値は150ml以上の排尿時で15ml/s以上である。平均尿流率150m1以上の排尿時で5ml/s以下であれば問題がある(甲5 4)。

キ Dクリニックの加納道久医師(以下「加納医師」という。)は,平成18年6月22日付けの診断書(甲23)に,病名を胸郭出口症候群として,「本日脳血管撮影を施行し,両側とも上肢挙上にて左鎖骨下動脈は70%の狭窄,右は50%の狭窄を示した。よって上記病名が確定した」と記載した(甲23~26)。胸郭出ロ症候群を発症したことを裏付ける 医学的検査として,ライト(Wright)テスト,アドソン(Adson)テスト,モーレ(Morley)テスト,ルーステストのいずれもが陽性であった(加納医師の書面尋問の結果)。

ク C病院泌尿器科の加藤誠医師(以下「加藤医師」という。)は,平成21年10月1日付けの診断書で,原告は神経因性膀胱であるとの診断を記載している(甲45)。
 平成18年3月6日に行われた膀胱内圧測定では,初発尿意90ml,強い尿意306mlで,膀胱の知覚,容量及びコンプライアンスは正常であった。しかし,尿流測定では,最大尿流率が10ml/s,9ml/s,7ml/sと排出障害があり,触診と超音波検査で前立腺肥大がないことから,交通事故による腰椎椎間板障害がその原因である可能性は否定できないと考えるというのが加藤医師の診断である(甲45)。

ケ 原告は,平成19年3月26日,損害保険料率算出機構名古屋自賠責損害調査事務所長により,後進障害等級14級に該当するものと認定された。

その判断内容は次のとおりであった。
(ア) 原告が主張する後遺障害のうち,項頚部痛等の訴えについては,頚部X線画像上本件事故による明らかな器質的異常所見はなく,その他提出の医証からも症状の存在を裏付ける他覚的所見は認め難いことから 他覚的に神経系統の障害が証明されたものと捉えることは困難であるが,受傷当初から症状の訴えの一貫性が認められ,その他受傷形態や治療状況も勘案すると,将来においても回復が困難と見込まれる神経症状と捉えられるので,「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級10号に該当するものと判断する。

(イ) 腰痛等の訴えについては,腰部X線画像上本件事故による明らかな器質的異常所見はなく,その他提出の医証からも症状の存在を裏付ける他覚的所見は認め難いことから,他覚的に神経系統の障害が証明されたものと捉えることは困難であるが,受傷当初から症状の訴えの一貫性が認められ,その他受傷形態や治療状況も勘案すると,将来においても回復が困難と見込まれる神経症状と捉えられるので,「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級10号に該当するものと判断する。

(ウ) 頚椎部の運動障害については,前回どおり自賠責保険の後遺障害に該当しないものと判断する。

(エ) 以上の(ア)と(イ)を併合して14級となる(乙1)。
コ 原告は,指定紛争処理機関財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(以下「紛争処理機構」という。)に紛争処理申請をし(平成19年5月1日受理),紛争処理機構は,平成19年8月23日付けで,「原告が訴える項頚部痛,頭痛,耳閉感,左上肢しびれ感等の症状及び腰痛,背部痛等の症状については,自動車損害賠償保障法施行令(平成16年政令第315号による改正前のもの。以下「施行令」という。)第2条第1項第3号の規定により,それぞれ神経症状の第14級10号に該当することから,これら2つの障害を併せて併合第14級と判断する」とし,前記ケの結論に変更はないとした。

 紛争処理機構は,原告の頚部画像(X線,MRI等)について,第5/6頚椎間に軽度の変性がみられたが脊髄や脊髄神経根の圧迫所見はなく,このような変性は短期間に発症することはないことから,加齢により長年にわたり形成されてきた変性所見と判断され,本件事故に起因する骨折や脱臼等の器質的損傷や不安定性等の異常所見はみられなかったとし,そうすると,項頚部痛,頭痛,耳閉感,左上肢痺れ感等の訴えについては,神経学的検査や画像において異常所見が認められないことから,他覚的に証明することができない症状と捉えられるとして,14級の神経症状であると判断した。

また,症状固定日の約6か月後に発行されたDクリニックの診断書(平成18年6月22日付け)において,病名が「胸郭出口症候群」とされ,「本日脳血管撮影を施行し,両側とも上肢挙上にて,左鎖骨下動脈は70%の狭窄,右は50%の狭窄を示した。よって上記病名が確定した」とされ,平成19年4月14日付けの加納医師の意見書が提出されている点については,
①本件事故の態様からは胸郭上部に圧迫を生じるような骨折や軟部組織の損傷を受傷したとは考え難いうえ,本件事故から約2年後に撮影された胸郭上部の血管造影ビデオをみても,当該部動脈の一部狭窄の所見がみられるのみであり,明らかに外傷によるものと捉えられる異常所見は認められなかった,
②当該部の造影レントゲン写真やMRI等の撮影は行われていないこと,動脈所見の他に静脈や神経等の診断所見はないこと,胸郭出口の血管及び神経圧迫に伴う上肢の広汎な疼痛等の症状もみられないことから,本件事故外傷によって胸郭出口症候群が発症したものとは評価できないとして,これと本件事故との相当因果関係を認めることはできないと判断するとした。

また,排尿障害の訴えについては,前記オの服部医師の照会回答において,自覚症状の推移で排尿障害が消失とされ,神経学的所見で勝競直腸障害が症状固定日(平成17年12月30日)及び終診時(平成19年3月3日)においてなしとされていることを根拠に,排尿障害を後遺障害と評価することはできないとされた(甲41)。

サ 加納医師は,胸郭出口症候群では,バビンスキーやホフマン反射は陰性であり,胸郭出口部で神経が切れるかそれに相当する挫滅がなければ筋萎縮は起こらないので,原告の神経症状と検査所見と外傷性胸郭出口症候群は全く一致しているとする。また,軽微な追突であったとしても,打ち方を間違えれば胸郭出口の狭くてデリケートな部分を損傷したり,ミクロの出血をする場合はあり得るとする。そして,紛争処理機構が「胸郭上部の血管遺影ビデオをみても,当該部動脈の一部狭窄の所見がみられるのみであり,明らかに外傷によるものと捉えられる異常所見は認められなかったJとするその狭窄こそが問題であり,通常は100%流れているとする(書面尋問の結果)。

シ 胸郭出口症候群は,手をつかさどる神経,血管が鎖骨の上で圧迫され,手のしびれや手に力が入りにくいなどの運動障害を伴う症候群である。しばしば交通事故などの外傷後に発症する(甲42)。

ス 原告の平成21年11月11日~14日,16日~22日の排尿回数は,起床から就寝までが,それぞれ10回,10回,11回,10回,9回,9回,11回,9回,10回,10回,9回であった。原告は,夜間の排尿を減らすために午後8時くらいまでしか水分を摂取しないようにしている(原告本人9頁)が,それでも上記期間中7日については夜間に1度排尿をすることになった。そのような頻尿の状態は現在も続いている(甲48の1~12,甲62,原告本人)。


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