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裁判所鑑定心因性視力障害で素因減額が否定された例7

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平成22年11月 2日:初稿
○「裁判所鑑定心因性視力障害で素因減額が否定された例6」を続けます。判決文は全部で3万文字に及ぶ長文で、「当裁判所の判断」部分だけで約1万5000文字あります。1レコード3500文字以内の桐HPBの制約により、また、争点毎にコンテンツを分けるため7コンテンツに分けて紹介します。先ずは争点1原告のXの右眼の障害(視力低下,視野狭窄)の有無で、被告側は「Xの視力障害等については詐病の可能性を疑わざるを得ず,Xの右眼には外傷性の視力障害及び視野狭窄は認められない。」と主張していましたが、判決は明確にその存在を認めています。

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第5 当裁判所の判断
1 争点1について
(1)本件事故の具体的態様及びXの受傷状況について

 まず,前提として,本件事故の具体的態様及びXの受傷状況について検討するに,甲3ないし9,19,21ないし26,乙4,X本人尋問の結果によれば,以下のとおりと認められる。

(1)本件事故においてY1車両右前部角がX車両右側面に衝突した瞬間,Xの身体はその衝撃で大きく左側に振られ,次いでその反動で右側に身体が振られて,運転席右側に設置されていたスチール製のバーに右眼窩付近が衝突した。さらに,X車両のシートベルトが腰を固定するのみの1点固定型であったこともあり,Xの身体はシートベルトを抜けて,高さにして約2メートル,距離にして約5メートルほど車外に放り出された。これによりXは,最初に顔面の右眼付近を道路に強打し,右に右半身が道路に叩きつけられた。
 その結果,Xが気付いたときには,右眼に裂傷を負っており,右眼付近から大量の出血があり,右眼には激しい鈍痛があり,また右肩にもひどい痛みがあり全く動かせない状況であった。そのほか,右膝,首,右肘にも痛みがあり,Xは救急車が到着するまで身動きできない状況であった。

 Xは,救急車で○△病院に搬送され,処置を受けた。このとき,Xの右眼の状況は,右眼の眉毛のすぐ下の部分と右眼すぐ下の部分に裂傷を負い,脂肪が露出するというものであった。治療にあたった同病院医師らより,入院の上治療を行う旨告げられたが,Xは,知人にだまされて多大な負債を負いながら,関係業者ら債権者等の理解・協力もあり,また事業の業績がようやく回復してきたところであったこともあって,債権者への支払を滞らせたくなかったこと,仕事上の施主や元請業者との業務上の打合せ等がなしえなくなることを強く懸念し,入院を拒否し,息子を迎えに来させて同医師に無断で帰宅した。翌々日にも自宅付近の□△整形外科を受診し,たが,顔は腫れて2倍ほどに膨れあがり,右眼の鈍痛と頭のしんのしびれ感も変わりがなく,右肩,首,腰,右膝及び右肘の痛みは事故直後より悪化しており,同整形外科医師にも入院といわれたが,入院を拒否した。しかし,Xはこの後,右眼と右肩の負傷等により仕事をすることはできなかった。

 その後,Xの右眼は大きく腫れ上がり,目を開けられない状況が10日間ほど継続し,平成16年10月12日ころになってようやく右眼を開けられるようになったが,白目部分は真っ赤に充血したままで,右眼ほかすんで見えない状況であった。この時Xは,素人考えで充血部分が引けば視力が回復すると考え,すぐには受診しなかったが,1週間程度経過して充血が引いても視力は回復しなかったため,さらに1週間経過した同月26日に至って×○病院眼科を受診した。
 なお,Xは,本件事故の2日後である平成16年10月4日に□△整形外科を受診しているが,その際にも右眼の異常を訴えている。

(2)Xの右眼の障害の有無の検討
ア 上記認定の事故態様及び受傷状況を前提に,Xの右眼の障害の有無について検討するに,まず,Xは,本件事故の衝撃により右眼腐付近がスチール製のバーに衝突したうえ,車外に放り出され,アスファルト舗装された地面に右顔面を強打し,その結果右眉の上下に脂肪が露出するほどの裂傷を生じ,右眼は充血し,大きく腫れ上がったというのであって,このように右眼及びその周辺を強く負傷している状況からすれば,右眼の視力や視野に障害が生じることはごく自然と考えられる。

イ そして,上記の経緯からXの右眼の治療にあたった×○病院眼科A医師は,平成16年10月26日から平成17年4月1日までの間に合計12日間にわたりXの診察・治療にあたり,種々の検査ないし治療方法を試みた上,Xの右眼を外傷性視神経損傷と診断したものであるが,A医師は受診当初より一貫して,Xの右眼につき0.05の視力低下及び視野狭窄が認められるとしている(甲8の1ないし4,9,15の3,21,乙4,A回答書)。
 Xの右眼については,B医師も,平成19年10月4日及び同年11月9日の時点において,Xの右眼の視力が0.05であり,視野狭窄が認められる旨診断している(甲31ないし36)。

ウ 加えて,本件鑑定書添付の「眼科プラクティス15 視野」280頁,「眼科検査法ハンドブック(第4版)」(丙第1号証)340頁以下,「図説臨床眼科講座常用版5神経眼科」(甲第46号証)74頁以下等の医学文献によれば,視力障害と詐病との判断にはVEP(視覚誘発電位。視覚刺激に対して後頭藁第ニ次視覚野で誘発される脳波を測定するもの)検査があり(なお,これは他覚的検査の一種と認められる),このうちフラッシュVEP(刺激として網膜全体に一様に光を与える方法)においてはP100成分(視覚刺激が行われてから約100msec後にピークをもつ陽性波)は成人で100msec前後が正常である,ただしフラッシュVEP検査は個人差が大きいため,左右差で評価することが一般的であるとの医学的知見が認められる。

 Xにおいては,□○病院眼科におけるB医師作成の診断書(甲第34号証)記載のフラッシュVEP検査結果によれば,Xの右眼は129.25msecと正常とされる範囲を大きく逸脱しており,他方左眼は102.00msecと正常値の範囲内であり左右差が大きいものと認められ,これもXの右眼の障害の存在を示すものである。

エ そして,本件鑑定書は,これらの事情をふまえて,「カルテ等の治療経過を踏まえるとX本人の右目について,X主張の視力低下ないし視野狭窄の障害が認められるか。」との鑑定事項赴こついて,「(結論)X本人の右目について,裸眼視力0.05-0.06(矯正不能),求心Y性視野狭窄が認められる(証拠書類に基づく)」としている。

オ これに加え,Xは,本人尋問において,本件事故後,右眼は明るさは左眼の半分程度しか感じられず,暗いとものが見づらい,距離間もつかめない,ものを見るときはまっすぐ見られず,左眼を近づけるようになってしまう旨述べているが,これは右眼に視力低下ないし視野狭窄の障害がある者の供述として自然と考えられる(X本人35,42ないし47頁)

力 以上の点を総合考慮すれば,Xの右眼には,(それが外傷性のものか心因性のものかは後に検討するとおりであるのでいったんおくとして)0.05ないし0.06(矯正不能)という視力低下及び視野狭窄という障害が存することが認められる。


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