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自賠責保険金は遅延損害金から充当すべきとの最高裁判決2

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平成22年 9月18日:初稿
○「自賠責保険金は遅延損害金から充当すべきとの最高裁判決1」の後半部分を紹介します。
 私にとってはなかなか理解しづらい判決ですが、熟読の上、今後、特に充当部分に関して別コンテンツで解説を試みます。

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第二 上告代理人C、同D、同Eの上告受理申立て理由第一について
 論旨は、原審の前記第一の3(4)の判断の違法をいうものである。

 被上告人らの損害賠償債務は、本件事故の日に発生し、かつ、何らの催告を要することなく、遅滞に陥ったものである(最高裁 昭和34年(オ)第117号 同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)。本件自賠責保険金等によっててん補される損害についても、本件事故時から本件自賠責保険金等の支払日までの間の遅延損害金が既に発生していたのであるから、本件自賠責保険金等が支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは、遅延損害金の支払債務にまず充当されるべきものであることは明らかである(民法491条1項参照)。

 これに反する原審の上記判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。論旨は理由がある。


第三 同第3について
 論旨は、原審の前記第一の3(3)の判断のうち、遺族厚生年金に関する部分の違法をいうものである。

 不法行為によって被害者が死亡し、その損害賠償請求権を取得した相続人が不法行為と同一の原因によって利益を受ける場合には、損害と利益との間に同質性がある限り、公平の見地から、その利益の額を当該相続人が加害者に対して賠償を求め得る損害の額から控除することによって、損益相殺的な調整を図ることが必要である(最高裁 昭和63年(オ)第1749号 平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)。

また、国民年金法に基づく障害基礎年金及び厚生年金保険法に基づく障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合に、その相続人のうちに被害者の死亡を原因として遺族厚生年金の受給権を取得した者がいるときは、その者が加害者に対して賠償を求め得る被害者の逸失利益(被害者が得べかりし障害基礎年金等)に係る損害の額から、支給を受けることが確定した遺族厚生年金を控除すべきものである(最高裁 平成9年(オ)第434号、第435号 同11年10月22日 第二小法廷判決・民集53巻7号1211頁参照)。

そして、この理は、不法行為により死亡した者が障害基礎年金等の受給権者でなかった場合においても、相続人が被害者の死亡を原因として被害者の逸失利益に係る損害賠償請求権と遺族厚生年金の受給権との双方を取得したときには、同様に妥当するというべきである。そうすると、不法行為により死亡した被害者の相続人が、その死亡を原因として遺族厚生年金の受給権を取得したときは、被害者が支給を受けるべき障害基礎年金等に係る逸失利益だけでなく、給与収入等を含めた逸失利益全般との関係で、支給を受けることが確定した遺族厚生年金を控除すべきものと解するのが相当である。

 以上と同旨の原審の上記判断部分は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

第四 職権による検討
 不法行為の被害者の相続人が受給権を取得した遺族厚生年金等を損害賠償の額から控除するに当たっては、現にその支給を受ける受給権者についてのみこれを行うべきものである(最高裁 昭和47年(オ)第645号 同50年10月24日 第二小法廷判決・民集29巻9号1379頁参照)。したがって、本件においては、上告人X1についてのみ本件遺族年金に係る控除をすべきものである。

 ところが、原審は、前記第一の3(5)のとおり、文良の被った損害の額から本件遺族年金に係る控除をし、控除後の文良の損害賠償請求権を上告人らが前記各割合で取得すると判断することによって、上告人中根が賠償を受けるべき損害の額についても本件遺族年金に係る控除をした結果となっている。したがって、この点に関する原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。

第五 以上によれば、原審の前記判断には、上記第二、第四のとおり、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決のうち上告人ら敗訴部分は破棄を免れない。そして、以上説示したところに従って、上告人らが賠償を求めることのできる損害の額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

   最高裁判所第二小法廷
     裁判長裁判官 津野 修
        裁判官 福田 博
        裁判官 北川弘治
        裁判官 梶谷 玄
        裁判官 滝井繁男

以上:1,986文字

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