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労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1紹介1

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平成21年 5月 1日(金):初稿
○交通事故事件で保険会社との間で争いになり最終的には司法判断を仰ぐ事案の大部分は交通事故に基づく傷害による後遺障害が問題になっています。その争いは第1に後遺障害の有無であり、第2は、仮にその後遺障害があるとしても交通事故による傷害を原因として生じたものかどうかの交通事故との因果関係の有無です。

○第1の後遺障害の有無については、自動車損害賠償保障法施行令別表第1,2に記載された障害に該当するかどうかの判断になりますが、例えば交通事故によって大腿骨骨折、下腿骨開放骨折等の重傷を負い、膝が従前のように曲がらなくなった後遺障害が残った場合、この後遺障害は、重い順に
第8級「1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」
第10級「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
第12級「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
の3段階に分かれて定義されています。

○問題は、膝が従前のように曲がらなくなったとの具体的障害が、上記第8、10,12級のいずれに該当するかです。これについての交通事故関係解説書では、先ず新日本法規交通事故損害賠償必携資料編(以下、交通事故必携と言います)があり、現在は2009年版が発行されており、毎年改訂版が発行されています。財団法人日弁連交通事故相談センター発行交通事故損害額算定基準(以下、青本と言います)資料6に後遺障害等級及び労働能力喪失率表が掲載され、(注1)から(注53)に分けて、後遺障害定義についての具体的解説が記述されています。

○この青本解説では
第8級「用を廃したもの」とは、「a関節が硬直、b関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態、c人工関節・人口骨頭を挿入した関節の可動域が健側の1/2以下に制限されているもの」と、
第10級「機能に著しい障害を残すもの」とは、「関節可動域が健側の1/2以下に制限されているもの及び人工関節・人口骨頭を挿入した関節の可動域が健側の1/2を超えるもの」と
第12級「機能に障害を残すもの」とは、「関節可動域が健側の3/4以下に制限されているもの」と解説されており、交通事故必携もほぼ同様の解説です。

○具体的事例として、Aさん(事故当時60歳)が、右脚大腿骨骨折、右腿骨開放骨折等の重傷を負い、右膝の屈曲角度が60度、左膝が110度の場合、左膝が健側と評価されると右膝屈曲角度60は、左膝屈曲角度110度の2分1以上4分の3以下になりますので、「関節可動域が健側の3/4以下に制限されているもの」として第12級にしかなりません。

○ここで問題は、「健側の1/2以下に制限されているもの」の「健側」をどう評価すべきかです。Aさんの左膝が過去に骨折事故等で多少障害が残った結果110度だった場合、この110度を「健側」として比較するのは妥当でないことになります。この点について、青本には解説がなく、交通事故必携2009年版296頁には、「健側となるべき関節にも障害を残す場合等にあっては、測定要領に定める参考可動域角度との比較により関節可動域の制限の程度を評価すること」と解説され、301頁以下に各論として、イ顎関節、ロせき柱等各関節の運動方向、参考図等が一覧表として記載され,その中に参考可動域角度との項目があり、膝関節屈曲の参考可動域角度は130度とされています。

○この交通事故必携の「後遺障害(等級)認定基準」の部分の出典が明らかにされていなかったので、ネットで色々検索した結果、表記財団法人労災保険センター発行「労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1」を発見して購入してその記述を比較したところ、殆ど同じ記述になっており、これが出典かと推測した次第です。後遺障害該当性判断にあたっては必携よりこちらの手引きの方が、図解も大きくて判りやすく、交通事故損害賠償実務においては正に必須の文献と確信して紹介する次第です。
以上:1,598文字

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