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H19.2.13福岡高裁脳脊髄液減少症否定判決解説2-衝撃と傷害程度内容

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平成21年 3月 8日:初稿
「H19.2.13福岡高裁脳脊髄液減少症否定判決解説2-事案概要」に続いて、裁判所の判断について、便宜上、H17.2.22福岡地裁行橋支部脳脊髄液減少症初認容判決を認容判決、H19.2.13福岡高裁脳脊髄液減少症否定判決を否定判決と呼んで説明します。
裁判所の判断争点(1)は、被控訴人が本件事故により受傷したかどうか。特に,被控訴人に外傷性脊椎髄液漏,低髄液症候群の症状があるかどうか,これがあるとして,それは本件事故によるものであるか。」即ち「追突による衝撃の程度」、「追突による傷害の内容・程度」です。

追突による衝撃の程度
 これについては、認容判決では、「本件事故については、原被告車両の物損の程度は証拠上明確ではなく、また、本件事故の目撃者の供述等がなく、追突に至る経緯については被告乙山次郎の供述しか証拠がないこと、追突の有無や程度についての当事者の供述が相当程度食い違っていることが認められる。」、「上記のとおり、原告車両及び被告車両の物損の状況は証拠上明確ではなく、また、原告は、事故の程度について、上半身全体を押されるような衝撃があったと供述しているものである。すると、これに加え、本件事故後に、原告に上記のような傷病が発症したことからをも斟酌すると、本件事故が、上記の傷病を発症し得ないような軽微なものであったとは、必ずしもいえない。」と断定判断は微妙に避けています。

 これに対し否定判決は、「同バンパーに衝突の痕跡がなく,被控訴人車両の後部バンパーの疵も比較的軽微であることも,本件事故による衝撃がそれ程大きくなかった」と言いながら、「被控訴人はサイドブレーキを引いていなかったというのであるから,いきなり追突されれば,それがそれ程大きな力ではなくても,その弾みでブレーキペダルから足が外れ,車両が前に押し出されるということは十分あり得るものといわなければならない。そうであれば,被控訴人がそれなりの衝撃を受け,それにより頚部等に傷害を負うということも考えられる」とやや踏み込んで判断し、結論として「本件事故による衝撃の程度が小さいから人体に被害が及ぶことはないとする控訴人らの主張は,採用の限りではない。」として人体に被害の及ぶ程度であることを断定しています。

 いずれにしても、被害者側としては、人体に影響の及ぶ衝撃があったことを,どんな小さな事情でも取り上げどん欲に主張すべきです。

追突による傷害の内容・程度
 認容判決は「とりわけ、軽微な外傷でも低髄液圧症候群等が発症すること、外傷から発症まで一定の期間が経過する場合もあること、頸椎捻挫と併発した低髄液圧症候群は、停車中の追突事故による例が多数を占めていることを総合すると、本件事故と原告の症状との因果関係は、これを認めることができる」として、傷害内容として「頸椎捻挫と併発した低髄液圧症候群」と新説で唱えられた「脳脊髄液減少症」と初めて認めました。

 これに対し否定判決は,
①定説によれば最も典型的な症状であるところの起立性頭痛は被控訴人には見られないこと
②ブラッドパッチ療法を試みたものの,被控訴人の症状はあまり改善しなかったこと
③その後,実施したRI脳槽造影では,いずれも脊椎髄液漏の所見は見出せなかったこと
等から「被控訴人に脊椎髄液漏があるとするにはなお合理的な疑問が残る」と断定し、傷害内容として新説による脳脊髄液減少症の存在を否定しました。

 しかし重要なことは、「本件事故により脊椎髄液漏が生じたとはいえない。とはいえ,被控訴人にその主張のような症状が持続していることは確かであり,本件事故前から,被控訴人にそのような症状があったとか,それにより治療を受けていたということは認められないから,上記症状は本件事故により生じた頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)によるものと認めるのが相当」として長期に渡って通院を余儀なくされた傷害自体の存在は認めていることです。
 
 平成15年2月8日の事故以来、平成17年現在も続いている「後頸部背部痛、頭痛、下肢の冷感、嘔吐、顔と下肢の腫れ及び眼の痛みと眩しさなどの症状」について、認容判決は、脳脊髄液減少症の症状と認めたのに対し、否定判決は「頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)によるもの」としして、傷害の程度と存在は認めてくれたもので、いわばその診断名を変えただけの結果でした。
 この点、私がいつも感じている「現に症状に苦しんでいる患者がいるのに,自分の限られた医学知識で分からなければ,詐病であるかのようにいうのは許されない。」と言う保険会社に対する思いは、かなえられており、否定判決においても被害者の主張は基本的に認められています。

 この点、被害者側主張が否認されたごとき解説がありますが、私はその解説は相当でないと思っております。実務においては具体的症状について詳細に主張して医療記録を中心とした証拠を丹念に提出すれば損害倍賞は認められますので、脳脊髄液減少症はもはや不利と諦める必要はありません。
以上:2,055文字

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