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自賠責保険査定金額は絶対ではない-覆されたか

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平成18年 7月25日(火):初稿
○自賠責保険について「自賠責保険査定金額が支払限度に達しないとき」と「自賠法16条の3『支払基準』の法的拘束力」で解説しましたが、平成13年自賠法改正前は、自賠責保険の査定金額が出てもそれ以上の支払を命じる判決乃至裁判所の和解調書があればそれに従った自賠責保険金を支払うとの実務でした。

○ところが平成13年自賠法改正で自賠法16条の3が追加されたことで、損害保険料率算出機構(旧自賠責保険料率算定会;自算会)が算出する自賠責保険金額は絶対で裁判でも変更できないとの考えを保険会社側では一時主張していました。

○10数年前私が実際に扱った交通事故事案をアレンジして自賠責保険金活用例を解説した記事がありますのでご参考に以下に掲載します。尚、執筆時は平成7年頃で当時は高次脳機能障害の等級はありませんでした。

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偶々任意保険をかけ忘れた自動車を運転して事故を起こしました。被害者は70歳の老人で事故による脳障害で惚けてしまい、後遺障害第二級認定を受けました。自動車保険料率算定会(略称自算会と呼ばれ、自賠責保険額を決める機関です)から後遺障害分自賠責保険金として1800万円認められましたが、被害者は後遺障害による損害として逸失利益、将来の介護料、慰謝料等合計5000万円として不足分3200万円の請求をして来ました。 私は一サラリーマンでとてもそんな大金を準備できません。破産するしかないでしょうか。

事故の態様はどんなものでした。

私は交差点の20メートル手前で青色信号を確認して進行したところ、被害者の老人は交差点横断歩道10メートル手前から突然飛び出してきたのです。

なるほど被害者の方にも相当過失がありますね。仮に裁判所で後遺障害に基づく全損害4200万円、被害者の過失が5割と認定されれば、貴方の支払義務は5割減額の2100万円になり、既に自賠責保険金から1800万円支払済みですので残り300万円になります。

その位でしたら何とか私でも支払いできますね。

全く支払わないで済む方法もありますよ。

えっ!そんな虫の良い話もあるのですか。

あります。本件では後遺障害が第2級で自賠責保険限度額は2590万円(現在は高次脳機能障害2級で3000万円)です。然るに1800万円しか支払われてないので、まだ790万円の支払枠が残っており、ここから出して貰えます。第2級後遺障害なのに保険金額が1800万円しか認められなかったのは、一般に自算会において将来の介護料を損害と認めない扱いだからです(注;高次納期脳障害等級が認められる以前の話し)。

ではどうすれば自賠責保険金790万円の支払枠から支払って貰えますか。

自賠責保険会社は、判決、又は裁判上の和解調書がない限り自算会が一旦決めた自賠責保険金額を超える金額は支払いません。ですから被害者に貴方と貴方の自賠責保険会社を相手方にして訴えを出して貰わなければなりません。そこで先に述べた様に300万円を支払えとの判決を受ければ自賠責保険会社は後遺障害保険金支払枠から不足分300万円を支ってくれます。
 これにより貴方の手からは全く支払う必要がなくなります。
 自算会が決めた自賠責保険金額は、絶対ではありませんので諦めないことです。
以上:1,375文字

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