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2019年11月01日発行第256号”弁護士の人生処方詩集”

令和 1年11月 2日(土):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和元年11月1日発行第256号「弁護士の人生処方詩集」をお届けします。

○エーリヒ・ケストナーは、ドイツ人で反ナチを貫き、戦後は初代西ドイツペンクラブ会長としてドイツ文壇の中心的人物になった有名な人物とのことですが、例によって全く知りませんでした(^^;)。作品の内「ふたりのロッテ」は題名くらいは聞いたことがあります。

○その「人生処方詩集」は上皇合美智子様も大ファンで、美智子様が国際児童図書評議会ニューデリー大会の講演で、この詩集の中の「絶望第一号」(またの訳名を「最初の絶望」)にふれられたとの記事がありました。文学には縁遠い私も少しは読んでみたいという気持になりました。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の人生処方詩集


ドイツの作家、エーリヒ・ケストナー(「飛ぶ教室」や「ふたりのロッテ」といった児童文学で有名な人ですね)に、「人生処方詩集」という面白い本があります。ウイットに富んだ、考えさせられる詩がいっぱい載っています。「これが運命だ」という詩は、こんな感じです、「妊娠と 葬式のあいだに あるものは悩みだけ」な、何ですかこれは!読んでいて暗くなる詩がケストナー大先生は得意ですね。

「人生がくりかえされたら」なんて、ファウスト博士のような詩もあります。「誰でもこういう気持ちになるもう一度16になってみたいそしてその後で起こったことをみんな忘れてみたい」というわけです。しかし、結局は前と同じようなものを見て、同じようなことをしてしまうだろうと、詩は続きます。「同じ光景をもう一度君は見たいかい?」と自分自身に問いかけ、「見たい!」と答えて終わる詩です。私も16歳に戻ってまた受験勉強するのかと思うと、目の前が真っ暗になります。それでも、もう一度やってみたいなとも思うのです。

生涯独身だったケストナーは、「結婚」に対して皮肉な詩を作っています。「彼女たちの香りは ビスケットを思わせる 香ることは彼女たちの人生の目的 金のある男が一人ずつ 彼女たちを客間にすえる ひとはこれを結婚とよぶ」んだそうです。そんなこと言っているから、結婚できなかったんだよと、思わず突っ込みをいれたくなります!

人生処方詩集の中に、弁護士が出て来る詩が、一つだけあるんです。「合成人間」を作ることに成功した、ブムケ教授の話で、私の一番好きな詩です。ブムケ教授は、わずか7時間で、完成された合成人間を作り出せるようになりました。教授によると、若いころの時代というのは、完成された人間を作る為の過程でしかないので「幼年期や青年期は時間潰しに過ぎ」ないそうです。

そこで教授は、弁護士を例に挙げて、説明してくれます。「たとえば、弁護士の息子を一人欲しい方は、注文さえなさればよいのです」。日本の弁護士業界では、少し前から売り手市場になってきました。新人弁護士が採用できないという事務所のことをよく聞きます。たとえうまく採用で来ても、なかなか即戦力というわけにはいきません。

そんな中で、ブムケ教授の話に耳を傾ける法律事務所は、沢山ありそうな気がしてきました。そもそも新人弁護士は、まだまだ足りないところが多いのも事実なので、初めから完成された弁護士が欲しくなります。そういう要望に対して、ブムケ教授はとても良い解決策を提供します。一人前の弁護士を育てるのに、「これからはもう、ゆりかごと幼稚園の回り道をして、卒業試験やその他の試験をパスするまで待つ必要はないのです」と、教授は言います。わずか7時間で、どんなに難しい法律問題にも精通した弁護士が、出来上がるんだそうです。思わず私も、「こ、これだ!」と叫んでしまいました。おいおい。。。

ブムケ教授の詩は寓話に過ぎませんが、最近の現実は、ケストナーの「合成人間」に追いついてきているようです。少し前に、アメリカの実験で、「AIによる契約審査の方が、弁護士がやるより早くて正確だとの結果が出た。」という記事がありました。こうなってきますと、近未来では本当に、「人を育てるなんて時間の無駄」と言われるようになるかもしれません。しかし私自身を省みると、多くのお客様に助けてもらい、一人前の弁護士に育てて貰いました。そのご恩返しの気持ちで、後進を育てていこうと思うのです。もっとも、うちの事務所の若手弁護士たちは、「もっと仕事をする、完成されたボス弁護士が欲しい。」なんて言ってそうで、心配になったのです。

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◇ 弁護士より一言

中学生の息子と二人で、家の近所で食事しました。会計を覗いた息子が「えっ!そんなに高かったの?それじゃ、自分で稼ぐようになったら、外でなんか食べられないかも。」なんて言います。な、情けない。

こないだは「お金稼いで、パパとママにご馳走するね」って言たのに。ケストナー大先生は、「合成人間」の詩の最後で、「そこで私は40歳の息子を一人注文した」なんて、オチを書いてました。「完成された息子が早く欲しい!」と、私も一瞬思っちゃいました。でも、パパとの食事に付き合ってくれて、有難う!
以上:2,203文字

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