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2016年08月01日発行第178号”6人の怒れる裁判員(3)”

平成28年 8月 1日:初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成28年8月1日発行第178号「6人の怒れる裁判員(3)」をお届けします。

○私は裁判員裁判は、予行演習事件を1件担当しただけで、刑事事件引退宣言をしたため実際の事件を担当したことがありません。裁判員裁判の結果、刑事事件では「市民の常識」が少しずつ入ってきているとのことです。そういう話を聞くと、引退宣言を撤回して、刑事事件に挑戦しようかとの気にもなりますが、一時的です(^^;)。

○大山先生は民事事件でも裁判員裁判が必要性を感じているとのことですが、私も同感です。交通事故に限りませんが、身体傷害の事件で、現在の身体の症状と事故等その原因の因果関係が争われる事件です。裁判所は、現在の身体症状と存在と事故との因果関係について、完全な医師の診断・意見等完璧とも言うべき立証を要求します。そして少しでも疑念があると100%事故との因果関係について否認します。認めないことが裁判所の威厳を保つことだと勘違いしているのではと思うほどです。

○このような現実に身体に生じた症状について苦しんでいる人々を目の前にした場合、「市民の常識」ならどのように判断されるかが興味深いところです。しかし、日本では、民事事件に裁判員を入れるとの声は全く聞いたことがありません。サンフランシスコの裁判所では、民事事件で、老若男女・様々な人種の陪審員が熱心に審理状況を聞いていたのですが。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

6人の怒れる裁判員(3)


「司法の常識」と「市民の常識」は、かなり違うのではないかという話です。裁判員が司法に参加したことで、常識の違いが明らかになってきました。以前書きましたが、性犯罪では、量刑が1.5倍くらい重くなったのではと実感しています。逆に言えば、それまでの司法の基準が、一般市民には受け入れられないほど軽すぎたのでしょう。

その一方、裁判員制度になってから、無罪判決がたくさん出るような犯罪もあります。覚せい剤などの薬物を、国内に輸入したような事案ですね。「人に頼まれたから、何かわからず運んであげただけ。」などと説明する人はたくさんいます。私なんか、そんなアホなことあるかよ!と思います。これがかつての「司法の常識」だったはずです。

ところが、こういう事件に対して、続けざまに無罪判決が出たのです。要は、「そんな風に騙される、少々抜けた世間知らずが本当に居るのか」という点についての判断です。これまでの「司法の常識」では、「そんな人、居ないだろう。絶対、薬物だと知っていたに決まっている。」だったのですが、「いやいや、そういう人がいても不思議ではない。」というのが「市民の常識」だったのでしょう。だから、多くの無罪判決が出たのです。正直、これなんかどっちが正しいのか考えてしまいます。それでも、市民の常識を採用すること自体は、絶対に正しいことだと思うのです。

こんな風に、刑事裁判には少しずつ、「市民の常識」が入ってきています。しかし、裁判になる前の、例えば逮捕勾留の段階で、本当にこれでよいのか、一般市民の考えを聞いてみたいことはたくさんあるのです。事件によっては、ほぼ容疑が固まり、容疑者の家に家宅捜索にはいって証拠も確保してから、1年ほどほっておいた後に、逮捕勾留するケースがあります。「逃げる恐れ、証拠を隠す恐れがあるから」というのが、司法による説明です。

でも私には、こんな説明、常識外れにしか思えません。逃げるのなら、1年の間に逃げるでしょう。証拠だって、その間にいくらでも隠せます。「何をいまさら!」という気持ちを抑えられないのです。この辺のところを「市民の常識」ではどう考えるのか、聞いてみたいところです。

民事訴訟の場合の場合にも、あまりに常識外れと思うことがたくさんあります。例えば、名誉棄損などの損害賠償の金額が、あまりに安すぎないかと思っています。日本の場合、名誉棄損などの不法行為は、特にマスコミによる場合、「やったもの勝ち」と言われています。あることないこと書いて、人の名誉を傷つけて、雑誌の売り上げを大きく伸ばします。後から訴えられた場合、どんなに高くても何百万円か支払えば終わりです。こういう事件にも、裁判員が加わったら、どういう判断がなされるのか興味があります。

そういえば少し前に、線路に入ってしまった認知症の老人が列車にはねられて、ダイヤが大幅に遅れたなんて事件がありました。この老人の責任が裁判で争われて、多額の賠償金が遺族に請求されたということです。これだけ見ると、別に変なことはありません。しかし、現代の日本では、認知症の老人が幹線道路に迷い込んで、車に轢かれた場合には、遺族は損害賠償を請求されるどころか、保険から3000万円近くを受け取れます。車と列車とで、なぜこんなに違うのか、私は心底不思議なのですが、この点が問題だと主張している法律家を知りません。

私なんか実務家として、認知症の老人を持つ家族に対して、「鉄道の側から引っ越して、幹線道路の近く住むといいよ。」とアドバイスしたくなります。(おいおい!)

「司法の常識」を「市民の常識」で批判し、修正する余地は、まだまだあると感じているのです。

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◇ 弁護士より一言

「私の話を真剣に聞いて!」と妻からよく怒られます。私が法律相談でお客様と話しているのを見た妻から言われました。「本気出せば、あんなに親身に話を聞いて、相談に乗れるんじゃない。」「これからは私も相談料払うね!」この話を先日、若手弁護士の結婚式のスピーチでして、奥さんの話を真剣に聞いて、夫婦円満に!との言葉を贈りました。
まずは自分が実行しないと。ううう。。
以上:2,445文字

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