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2013年04月01日発行第98号”弁護士のプラシーボ効果”

平成25年 4月 2日(火):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成25年4月1日発行第98号「弁護士のプラシーボ効果」をお届けします。

○当HPトップページのサイト内検索ウインドウに「プラシーボ効果」と入れて検索すると「驚異のプラシーボ(ノーシーボ)効果紹介」と言う記事が出て来ます。無教養な私も、「プラシーボ効果」の勉強はしていました。脳脊髄液減少症発症の有無が争いとなる交通事故訴訟事件で良く被告保険会社側意見書に登場するからです。原告が、ブラッドパッチ療法で症状が改善したから、その症状は脳脊髄液減少症によるものだと主張すると、相手方保険会社顧問医は、それは「プラシーボ効果」に過ぎないと反論してきます。

○「驚異のプラシーボ(ノーシーボ)効果紹介」で紹介した2つの実験から、病気は正に「気」即ち「心」の「病い」と実感します。紛争という社会の病気も、正に気の病の面が多分にあり、どのような結論(和解・判決等)を得てもそのお客様の気即ち「心」が満足しないと本当の解決にはなりません。この点、私は大真面目に「最近、思うのは、法律は確かに紛争解決の一基準ではありますが、最終的な紛争解決の鍵は『人の心』にあるということです。 」と弁護士仲間の会合で述べたところ、一斉に「何という、気障な!」と大ブーイングを受けたことがあります(^^;)。

○この「紛争解決の鍵は『人の心』にある」との意味は、法律的には50しか取れないところ100取ってもお客様の心が満足していなければ、そのお客様にとって本当の解決にはならず、法律的には100取れるところ50しか取らなかったとしても、お客様がその結果に満足していればそのお客様にとって本当の解決であると言う意味で述べています。

○紛争解決を依頼された弁護士は、最終的には、「小松弁護士が、私のためにあれだけ一生懸命やってくれた上での結果だから、心から満足しています。」と言って貰えればサービス業者としての弁護士業務として合格です。しかし、現実には、「依頼した弁護士さんは、私の言うことを良く聞いてくれずに不満だ」と言う声が、まだまだ多いようで、私自身の仕事でも自戒しています。

○しかし、「客観的には役に立たないことでも、それがお客様の安心につながるのならば、十分に意味のあることかもしれません。」としても、紛争解決の結論を得るには、最終的には裁判官の判決が必要です。お客様の意向を十分に裁判官に伝えるために何を裁判官に強く主張するかは、慎重な判断が必要です。お客様が希望される主張でも、それを裁判官に伝えることは無駄で却って有害な場合もあります。要はお客様のご要望に応える弁護士の努力であり、お客様にご納得頂けるまでの十分な説明が重要です。

○どのお客様からも、次のように言って貰えるよう努力を続けます(^^)。
生まれてはじめて、『裁判』という言葉に触れ、分からないところばかりでしたが、先生の温かい心と、いつも熱心に私の意見に耳を傾いてくださる先生のお姿に大変感動しました。
顧客の心と意見をいつも最優先にしてくださって、配慮してくださる先生に、心より感謝しています。


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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のプラシーボ効果

プラシーボというのは、偽の薬のことですね。
例えば新薬の効果について試験をするとします。いろいろな新薬について、効果を測定するわけです。このときに、偽の薬を試験に加えます。たとえば、単なるビタミン剤などですね。

面白いことに、本来は何ら効力の生じるはずのないビタミン剤でも、効果が出てきます。この薬は効くのだと信じて飲めば、本当に効いてくるわけです。こういうことを、プラシーボ効果と言います。まさに、「病は気から」ということがあるんですね。
お医者様に関しても、プラシーボ効果については、なかなか難しいところがあると思います。たとえば、風邪をひいて来院した患者さんに対して、どういう薬を出すかという問題ですね。

科学的に言えば、風邪のようなウイルスに対しては、抗生物質は何の役にも立たないそうです。しかし、多くの患者さんが、風邪についても抗生物質の処方を望んでいるわけです。

こういうときに、どうすれば良いのか、お医者様としても悩むところだと思います。もちろん、しっかり説明して、風邪には抗生物質は効かないと納得してもらうのがベストです。しかし、私自身もそうですが、そういう正論はなかなか心に響かないんですよね。
「なんだ、理屈ばかり言って、ケチな医者だな!」なんて思われてしまいそうです!

そこでお医者様として、抗生物質を処方するというのも一つの考えです。薬というのは、使う人が、「これは絶対に効くんだ!」と考えれば、本当に効くわけです。まさに「プラシーボ効果」です。私自身、かつて風邪のときに抗生物質を服用したら、本当に良くなったことがあります。科学的には役に立たない薬でも、処方することに意味はあるんですね!

弁護士の仕事についても、こういう問題は起こります。客観的には役に立たないことでも、依頼者が頼んできたときに、どうするかという問題です。

例えば、裁判をしているときに依頼者から、「こんな主張をしてほしい。」なんて言われることがあります。多いのは、感情的な主張ですね。相手が道義的にどんなに不当かといった主張です。そういう主張をしたいという気持ちは理解できるのですが、法的に見れば意味のない主張です。

その他に、他の案件でなら役に立つけれども、本件とは無関係といった主張もあります。これは良い主張だから、是非とも裁判所に出してほしいと、依頼者に頼まれます。まさに、風邪の場合に抗生物質の処方を依頼されるようなものでしょう。

こういう依頼に対して、多くの弁護士は、「やっても無駄ですよ。」と、説得するわけです。うちの事務所もそうでした。しかし、考えてみますと、依頼者は、法律についての「正しい」知識を得たいと思っているわけではないでしょう。弁護士の活動を信頼し、安心したいと思っているわけです。安心してもらう、それがまさに「プラシーボ効果」です。

客観的には役に立たないことでも、それがお客様の安心につながるのならば、十分に意味のあることかもしれません。弁護士として「プラシーボ効果」を、真剣に考えたいと思うのです。

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◇ 弁護士より一言

4月から小学校2年生になる息子から手紙をもらいました。「いつもぼくのことをみまもってくれて、いままでありがとうございました。」(一瞬、家を出ていくお知らせかと思っちゃいました。)「ぼくはもう二年生です。」「これからは、はやおきがんばります。」なんか、ジンときちゃいました。

私も真似して、皆様に一言。
「いつも当事務所を温かく見守っていただき、有難うございました。お陰様で、当事務所も開業7 周年を迎えました。これからも頑張って参ります。」引き続きよろしくお願いいたします!!
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