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2012年11月16日発行第89号”幸福の値段・不幸の値段(2)”

平成24年11月17日:初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成24年11月16日発行第89号「幸福の値段・不幸の値段(2)」をお届けします。

○不幸の値段というと典型は慰謝料ですね。特に離婚事件、男女問題事件では、必ずと言って良いほど、慰謝料はどの程度取れるでしょうかとの質問を受けます。慰謝料とは、通常、精神的苦痛を慰謝-慰め謝って償う-するための損害賠償と説明されますが、民法では以下の通り、キチンと決められています。
第710条(財産以外の損害の賠償)
 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。


○民法では「慰謝料」ではなく「財産以外の損害」と表現されていますが、昔は、「慰藉料」と書かれた時代もありました。「慰」は共通で、「なぐさめる」ですが、「謝」はあやまる、「藉」はいたわると多少意味が違うとされていました。しかし、現在は「慰藉」との表現は当用漢字から外されたとのことで、現在は一般に「慰謝料」と表現され「慰藉料」と書く弁護士は、年配の弁護士が多く、大山先生や私のような若い弁護士は「慰謝料」と書きます(^^)。

○「慰謝料」は精神的損害とも呼ばれますが、一番大きいのは「生命」を失った場合、即ち死亡慰謝料です。死亡慰謝料は、心ならず死亡に至らされた場合、一番苦痛に感じるのは本人ですから、先ず本人に発生します。即死の様に精神的苦痛を感ずるいとまもなく死亡した場合、本人に慰謝料が発生しないのではないか、また、本人に慰謝料が発生したとしてもその本人の精神的苦痛はあくまで本人しか感じないのだから妻や子などに相続されないのではないかとの議論もありました。

○実は本人が死亡した場合について、民法は次の規定で本人ではない近親者にも慰謝料を認めています。
第711条(近親者に対する損害の賠償)
 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

 これは、死亡した本人の父母、配偶者、子であれば、その死亡によって本人と同様に或いは本人以上に精神的苦痛が発生するのが普通であり、その精神的苦痛に対して死亡した本人とは別に父母等固有の損害賠償を認めるとしたものですが、判例は、死亡に匹敵するような重傷の場合、父母、配偶者、子以外でも同様の関係にあると評価される場合、内縁配偶者、祖父母・孫・兄弟姉妹等にも固有の慰謝料を認めています。

○上記、本人の精神的苦痛はあくまで本人しか感じないのだから妻や子などに相続されないのではないかとの議論については、判例は相続を認めることで確立しています。この慰謝料の相続問題の他にも、慰謝料に関しては、難しい問題が山のようにありますが、実務的には例えば交通事故等で死亡した場合、相続人固有の慰謝料と合わせて、父など一家の支柱の場合2700~3100万円、母など一家の支柱に準じる場合2400~2700万円の相場が出来上がっており、個別的事情は余り考慮されず、この相場で解決されるようになっています。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

幸福の値段・不幸の値段(2)

裁判所は様々な不幸に値段を付けているという話ですね。値段を判断するにも、難しいものと簡単なものがあります。例えば、大けがするという「不幸」が生じたとします。その場合、現実に生じた医療費や、怪我による収入の減少分が「損害」だというのは、特に問題ないですよね。問題は、怪我をしたことそれ自体から生じる、精神的な苦痛(つまりは「不幸」そのものです)の賠償額は幾らにするのかという点です。一般的には、こういう賠償は「慰謝料」といわれます。

この値段をどうやってつけているのか気になるところですが、結論的には裁判所がエイヤで決めてきたわけです。特に理論的な根拠があったわけではありません。ただ、ひとたび一つの裁判で何か決まりますと、それが先例となります。それを踏まえて次の裁判でも不幸の値段が決められますので、こうやって、大体の相場が形成されてくるわけです。

例えば、離婚の場合にも慰謝料が発生しますよね。離婚という「不幸」の値段ですが、ざっくりいいますと300万円以上認められると、ある程度の金額が認められたということになりそうです。もちろん、結婚期間の長さ、離婚に至る原因などによって金額も違ってきますけれども、大体の相場はこんなものでしょう。

週刊誌にあることないこと書かれたりする名誉棄損の事件などもよく起こります。こういった場合の「不幸」の値段ですが、少し前まではせいぜい100万円程度でした。最近はかなり値上がりして、500万円近くが認められるようです。この程度で、週刊誌などでおかしな報道をされた人の「不幸」が埋め合わせ出来るのかは、なかなか難しい問題でしょう。

そして、不幸のうちでも最大の不幸、死亡の場合の慰謝料も考えてみたいと思います。国によっては、命に値段を付けるのはおかしい、死んだことに対する慰謝料は認められないなどというところもあります。しかし、日本の裁判所は、「命」にも果敢に値段を付けてきたのです! それではこの値段がどのくらいかと言いますと、例えば配偶者や子供が交通事故などで無くなった場合、大体の金額は3000万円といったところです。兄弟姉妹が亡くなった場合ですと、せいぜい2~300万円程度でしょうか。

ちなみに、前回紹介した「幸福の計算式」には、近親者の死亡の値段がついていました。配偶者の死亡で3800万円、子供の死亡だと1500万円だそうです。「子供の命の値段って、本当にそんなに低いんですか?」と少し驚きました。ちなみに両親だと250万円程度、友人で100万円、兄弟姉妹になりますと、何と12万円程度だそうです。ほ、本当ですか?!

兄弟は友達以下なんですね。(まあ、友達は喧嘩すると「友達」でなくなるけど、兄弟は喧嘩しても「兄弟」ですから、やむを得ないんでしょうね。)

ついでというとなんですが、かわいがっていたペットが死んだような場合も、日本の裁判所では慰謝料が認められる場合があります。ただ、この場合も、せいぜい20万円程度、どんなに多くても50万円といったところのようです。ペットを自分の子供のように思っている人には、とても納得できないかもしれません。

ただ、全般的に言いまして、日本の裁判所は、なかなか頑張って「不幸」の値段設定をしてきたなというのが、私の素直な感想です。その一方で、「幸福の計算式」のような法律以外の学問の力も借りて、慰謝料の金額(不幸の値段)についても、もう一度根本的に見直すことも必要ではないかと思ったのでした。

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◇ 弁護士より一言

小学校1 年生の息子に聞かれました。「パパって、どうやって大人になったの?」こういう質問は、強烈ですね!
改まって考えてみますと、私は年をとっただけで、まだ大人になっていないのではと、悩んでしまいます。
取りあえず息子には、「子供たちが生まれてきて、パパは大人になったんだよ。」と答えておきました。
ほんとかなあー
引き続きコメントを楽しみにしております。
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