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2011/10/16 第63号 弁護士と40人の盗賊

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 6歳の息子に、幼児向きの「アリババと40人の盗賊」を読んであげたのです。言わずと知れた、アラビアンナイトの話しですね。アリババは偶然、盗賊たちが洞窟を開けているところを見かけます。

 「開けゴマ!」と唱えると、洞窟の入口が開くのです。しめたとばかりにアリババは、盗賊がいなくなると洞窟に入り、沢山の宝物を手に入れます。

 そのことを聞いた、アリババの兄さんが、やはり洞窟に忍び込みます。

 宝物を手に入れ、帰ろうとすると、洞窟の扉は閉まっています。そこで、再び扉を開けようとするときに、呪文を忘れたことに気づくんです。

 「開けふりかけ」とか「開けかつぶし」とか言ってみるんですが、扉は開きません。「開けゴマ!」という、ぴったりの言葉出ないとダメなんです。結局兄さんは、戻ってきた盗賊たちに殺されてしまうわけです。

 これはまあ、おとぎ話の世界です。しかし、商売の世界でも、まさにその場にぴったりの言葉が大切なんだそうです。

 例えば、ガソリンスタンドでは、単にガソリンを入れるだけではなく、バッテリーやエンジンオイルの交換などもしたいと思っています。その為には、お客さんに車のボンネットを開けて貰わなくていけません。

 一方、お客の側としては、ガソリン以外のものを売り込まれるのが嫌です。うっかりボンネットを開けたら、何か買わされそうだと思っています。ガソリンだけ入れたら、早く出ていこうと思っているんですね。

 そんな中、「ボンネットを開けて、点検いたしましょうか?」と言った聞き方をしても、多くのお客さんは「いいえ、結構です。」と答えるんだそうです。ところが、あるガソリンスタンドで、「エンジンオイルが安全な状況にあるか、確認致しましょうか?」と、聞き方を変えてみたところ、ほとんどのお客さんが、進んでボンネットを開けてくれたということです。まさに、この聞き方が、「開けゴマ!」に相当したわけです。

 養殖モノの魚は、天然モノよりも、下に見られますよね。当然値段も低くなります。ところが、ここにも頭の良い人がいました。「養殖ブリ」と表示する代わりに、「大山さんが丹精を込めて育てたブリです!」と表示したんですね。この一言で、値段を高くしても、非常に売れるようになったということです。まさにこの言葉が、お客様の財布を開く「開けゴマ!」だったわけです。

 いままで弁護士は、こういった、「この一言で人を動かす!」などということを、軽視していたと思います。そもそも、そんなこと考えもしなかったかもしれません。

 しかし弁護士は、言葉によって、交渉相手や示談相手を動かすのが仕事です。言葉によって、裁判官や裁判員を説得しなければならないのです。

 そうであるならば、自分達の仕事において「開けゴマ!」に相当する、人の心の扉を開ける言葉を考えるのは当然のことだと思うのです。

 犯罪被害者との示談のときに、この一言をいえば多くの被害者が納得してくれる、契約交渉のときに、この一言をいえば交渉相手の企業が納得してくれる、そんな一言真剣に探していきたいと思っています。

 
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 弁護士より一言

 6歳の息子に、幼児用の「アリババと40人の盗賊」を読むように頼まれました。いくら、あのアラビアンナイトとはいえ、幼児向けですから、そんなにおかしな話にはならないだろうなと油断していたのです。

 最後の方で、40人の盗賊たちが、甕の中に隠れて、アリババの家に入り込みますよね。アラビアンナイトの原作ですと、アリババ達は、甕に入っている盗賊の上から、煮えたぎった熱い油をかけて、皆殺しにします。幼児向けの本だから、まさかそんなことはしないだろうと思っていたら、この部分は原作の通りだったのです。

 しょうがないので、「暑いお湯をかけて火傷をさせて、悪い盗賊をやっつけました。」と、適当に直して読んじゃいました!

 (2011年10月16日第63号)
以上:1,577文字

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