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2011/ 7/16 第57号 水鏡先生の法律相談

平成24年 2月29日:初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 一般の法律相談では、思いもよらない質問が出てきたりします。

 「私のアパートは、トイレが共用で、トイレ管理の費用を2000円も取られてるんです。私はほとんどトイレを使わないのに、隣の部屋の奴は、何度も何度もトイレを使っています。なんで、私が隣の奴と同じ管理費を払わなくてはいけないんですか!」なんて質問が来るわけですね。こういう質問には、何と回答すればよいのかと、一瞬思考が停止してしまいます。

 水鏡先生というのは、三国志ファンにとっては、有名人です。今から1800年くらい前の、人物鑑定家です。「臥龍と鳳雛を得れば天下を取れる」と聞いていた劉備に対して、臥龍とは諸葛孔明のこと、鳳雛とは.統のことだなんて、教えてあげた人ですね。

 劉備に対しては、役に立つアドバイスをしたんですが、普段の水鏡先生は「好々(よしよし)」が口癖で、何を聞かれても「好々」と答えていたそうです。

 先生の奥さんから、「あなたの意見が聞きたくて皆さんいらっしゃるのに、ただ好し好しとしか言わないのでは、皆さんを失望させてしまいます。」と注意されると、「お前のいうことも、また好し好し!」と答えたという、有り難いエピソードが残っている大先生なのです。

 水鏡先生のこのような態度について、ものの本によりますと、自分を守るためではないかいうことでした。当時、下手なことを言いますと、権力者に目を付けられて命も危なかったわけですから、それを防ぐために、「好好」しか言わなかったというのですね。

 確かにそういうこともあったのかもしれません。ただ、私も自分で多くの法律相談をしてきて、どうもそれだけではないな、と感じたのです。

 私の場合、企業からの法律相談が多いわけでして、そういうときには法的に妥当な解決策をアドバイスすれば足ります。しかし、こと一般の法律相談となりますと、純粋に法的知識を聞きたいという人は少数派なんですね。自分の考えが正しいというお墨付きを、弁護士から貰いたいと期待して来る人が非常に多いようです。

 最初のうちは私も、法的なアドバイスということでかなりムキになって話していました。しかし、自分の考えと違うことをいくら言われても、それらは耳を素通りして行ってしまうようです。

 「トイレ管理費の規定がある以上、法律上は、トイレを使わなくても払うことになるはずです。」なんていくら説明しても、全く聞きいれてもらえません。「私は、なるべくトイレを使わないように、水も飲まずに我慢しているんですよ!ジュースやお茶を平気で飲みまくって、トイレを何度も何度も使う人間と同じお金を払えだなんて、どう考えてもおかしいでしょう!」などと反論されてしまうのです。ううう。

 水鏡先生も、単に処世のためだけではなく、私と同じような経験をした後に、「好し好し」としか言わなくなったのではないかと、思い至ったわけです。(ホンマかいな!!)そんなわけでして、今後、一般法律相談をすることになったら、私も「好し好し。本当にそのとおりです!」とだけ言うようにしたいと思います。(おいおい!)もしも妻が、「そんないい加減な回答ではダメでしょう!」なんて注意してきたら、水鏡先生を見習って、私も妻に言っちゃいましょう。

 「好し好し。本当にそのとおりです!」
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 弁護士より一言

 いい加減ということではうちの妻も負けていません。

 前号で、子供の体温を測るのに、私は子供のおでこに手をあてて、適当にやっているなんて書きましたよね。

 妻はどうしているのか確認したところ、「忙しいのにそんな面倒なことするわけないでしょう。私は前日の夜に、適当に書いているわよ。」と教えてくれました。

 私が言える立場ではありませんが、そ、そんなんで本当に良いんですか!引き続きコメントを楽しみにしております。

 (2011年7月16日第57号)
以上:1,560文字

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