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2010/10/16 第39号 嘘の効用(2)

平成24年 2月29日:初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 現代の裁判でも嘘は非常に重要だという話しですね。この点につきまして、「時効援用権の放棄」だとか、「即死した人の慰謝料請求権」(なんのこっちゃ?)だとか、少しは真面目な法律の解説をしようかなと思っていたんです。でも、考えを変えました。前回のニュースレターについて、多くの方からコメントを頂いたんですが、ほとんどすべての方が、「すきやばし次郎どうなりました!?人ごとながら、ドキドキしちゃいました。」と、そっちの方を心配してくれていました。「現代の裁判における『嘘』のありようが、心配でたまりません。」なんてコメントは、なかったのです!そんなわけで、法律解説は止めることにしました。しかし、多くの法律家があまり気にしていない「嘘」について、少しだけ説明しておくことにします。

 何か罪を犯すと、逮捕されますよね。その後、勾留といって、10日から20日身体拘束されるのが普通です。勾留をするかしないかは、裁判官が決めるのですが、どういう場合に勾留が認められると法律に書いてあります。

 簡単に言いますと、逃げる恐れがあるときや、証拠を隠したり、被害者や証人を脅したりする恐れがあるときにしか、勾留はしてはいけないと法律には書いてあるんです。

 ところが、どのようにこの法律が適用されているかと言いますと、法律の文言はほとんど無視されているわけです。常識的には、逃げる恐れも、証拠を隠す恐れも全く無いような場合でも、そういう恐れがある、と認定されてしまうんですね。

 たとえば、家庭をもっているサラリーマンが、電車の中で、痴漢で捕まったなんて事件がおこります。すでに罪も認めていますし、住所も警察におさえられています。

 こういう人が、家族も仕事も捨てて逃げるわけないじゃないかと普通は思いますが、なぜか逃亡の恐れありと裁判官は認定します。それまで会ったこともない痴漢の被害者についても、脅したり証拠を隠す恐れがありと裁判官は認定して、被疑者の勾留を認めるわけです。

 なんで裁判官は、こんな「嘘」をつくのかと言いますと、前回紹介した末弘先生が、「嘘の効用」で指摘されたとおりだと思うのです。今の刑事訴訟法は、戦後にできたもので、「人権」意識がたっぷり入った結構なものなんですが、残念ながら多くの国民の常識とはかけ離れているようです。

 一般国民の「常識」からしますと、「また悪いことするといけないから、とりあえず勾留しとけ。」と考えたり、「悪いことした以上は、とりあえず反省させるためにも勾留するのは当然だろう。」と考える人が圧倒的多数派のようです。このような、国民の意識と法律の規定の間にある違いを埋めるために、裁判官はこのような「嘘」をつき続けているのだと思います。

 しかし考えてみますと、以前、体に障害のある子は「人ではない」とわざわざ嘘をついたことも、今の眼からみると、なんでそんなことしたのか不思議な気がします。

 いずれ近いうちに、「何だってわざわざ嘘をついてまで、逃げる恐れのない人を勾留してたんだろう。」と、多くの国民が不思議に思うかもしれませんね。

 なんだか理屈っぽくなってしまいました。しかし、現代でも法律実務の後ろに多くの「嘘」があるということは、知っておく価値があると思うのです。

 
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 弁護士より一言

 妻と息子の、「すきやばし次郎」体験記の続きです。

 職人さんが、「お子さんは、蒸した海老やイクラなどお好きですね。」なんて話してきます。

 そこまで言われると、「うちの子は、カッパとかんぴょうが、好きなんです。」と言う勇気はなくなったそうです。普段はあんまり食べない息子も、「もっと食べる。次は赤いの!」と次から次へと食べていきます。

 最後に請求書を見た妻は、ギャーと悲鳴をあげそうになったんですね。

 ううう。

 その翌日、妻が郵便局に配達証明付きの郵便を出しに行ったとき、局員さんが「配達証明はとっても高いですけど、よろしいですか?」と聞いてくれました。妻は「あなたが次郎さんに居てくれたら!」と思ったそうです!本日は妻の誕生日です。次郎さんのお寿司は、私から妻への、感謝を込めた誕生日プレゼントにしましょう。

 (2010年10月16日第39号)
以上:1,703文字

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