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2010/ 8/ 1 第34号 三人男の天気予報

平成24年 2月29日:初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 「白波なら五人男だし、三人なら男でなくて吉三だろう?」と思った方(そんな人おるんか!)、歌舞伎ではないのです。「三人男」というのは、英国ユーモア小説の白眉、「ボートの三人男」なんですね。

 気の合う友達3人で、テムズ川をボートで川下りする話しです。特に何の事件も起きないボートの旅が、ユーモアたっぷりに語られます。

 その中に、天気予報の話があります。「是非とも今日は晴れてもらわなければ困る」なんていう日なのに、いかにも雨が降りそうな雲模様です。そんなときに、地元の老人に、天気について質問します。その老人が、いかにももっともらしい目つきで地平線のほうを眺めて、「なあに、大丈夫ですよ。晴れますよ。この分なら雲も切れるでしょう。」なんて言ってくれると、嬉しくなるそうです。「なるほどねえ。ああいう年寄りになると、お天気のこともよく知ってるもんだね。」などと話して、その老人に感謝するわけです。この感謝は、たとえその日一日雨が降り続けようとも、薄れないんですね。

 「まあいいや。あの爺さんだって、ベストを尽くしたんだから。」これに対して、お天気のことを聞いたところ、「駄目だねえ。一日中降りますぜ。」なんて答える人に対しては、すごく憤慨するんだそうです。仮に本当に一日中雨だったりしたら、その人のせいでそうなったとまで、感じてしまうということです。

 これはまあ、ユーモア小説の話ですが、弁護士としての経験でも、こういうことはあるのです。

 「これはどうやっても負けるな。」という事件について、弁護士がお客様にどのように話しているのかといいますと、多くの場合非常にそっけなく、「これは駄目です。負けます。やっても無駄です。」なんて言ってしまうんですね。他人のことは言えません。私自身、そういうことはありました。

 そんなとき、依頼者から、「先生はどっちの味方なんですか!私の味方ですか、相手の味方ですか?」なんて言われたりします。こういう風に言われますと、私としても正直、反発する気持ちもあったんですね。「見通しがどうかということと、味方かどうかということは、関係ないだろう!」しかし、自分自身が逆の立場だと考えてみたら、確かに依頼者の不満ももっともな気がしてきました。たとえば、私がもう助からない病気になって、お医者様に診てもらうとします。

 そのときに、お医者様から、「これはもう駄目ですね。どうやっても助かりませんよ。」なんて言われたら、やっぱり憤慨しそうです。「先生は病気の味方ですか、私の味方ですか」と言いたくなります!これに対して、「大丈夫。きっと助かります。一緒に頑張りましょう。」なんて言ってもらえたら、たとえ駄目でも、「先生もベストを尽くしてくれたんだからしょうがない。」と思える気がするんですね。これまで、多くの弁護士は、「たとえ駄目でも何とかしてほしい。」という依頼者の気持ちに、どこまでより添えていたのか、非常に疑問だと思うのです。

 場合にもよりますが、私自身、「大丈夫。きっと晴れます。」と言える弁護士になりたいと思ったのでした。

 
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 弁護士より一言

 今回、久しぶりに「ボートの三人男」を読み返しました。前回読んだときから、もう20年以上たっているはずです。

 丸谷才一先生の名訳で、とても楽しく読めたのですが、その一方、どうにもテンポが遅くて、少しかったるい気がしたのも事実です。

 なんでそうなったのか考えてみましたが、やはり私自身が、せわしない生活を送っており、じっくりと時間をかけてユーモア小説を読める状態ではないのだと思い至りましたね。仕事や子育てに追われていると、時間をかけて良い小説を読むよりも、手っ取り早くマンガでも読んで楽しもうということになりそうです。ううう。もうあと20年近くして、無事に引退した後に、じっくりと時間をかけて、「ボートの三人男」をもう一度読もうと思っています。

 引き続き、コメントを楽しみにしております。

 (2010年8月1日第34号)
以上:1,626文字

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