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2010/ 5/16 第29号 見かけと真実の交渉術

平成24年 2月29日:初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 弁護士は、交渉のプロということになっているんですね。実際、交渉術の本まで出している弁護士も沢山います。まあ、大きな声じゃ言えませんが、弁護士の交渉能力が、一般の人より優れているなんてことは無いと思います。しかし、他の人より交渉の機会が多いことは間違いないでしょう。

 交渉を成功させるには、誠意を持って対応しないといけません。そして、自分の利益だけではなく、相手の利益も考えてあげることが大切です。しかし、それだけではなくて、やはりいろいろな小細工も考えちゃうんです。

 通常、人は現実にどれくらい貰えたかは、大して気にしないそうです。

 当然の権利として貰える分と比較して、どれだけ多く貰ったかの方が重要なんですね。

 例えば、レストランで待つ場合、お店の外で待っているときに、何かちょっとした飲み物などもらえると、非常に感謝するんですね。勝手に待っているのに、こんなに良くして貰ってありがたいというわけです。

 ところが、ひとたびお店の中に入れてもらうと、自分はお客様だから、当然サービスを受ける権利があると思うようになります。待たされるだけで腹が立ち、少しくらい何か貰っても、当然と思うそうです。

 こんなわけで、レストランでは、たとえ店内の席が空いていても、サービスが出来ない間はお客さんを中に入れないんですね。

 サーマセット・モームに「見かけと真実」という短編小説があります。

 若い愛人を持っている議員さんの話しです。議員さんは、自分が世話している愛人が、若い男と浮気をしているのを知って激怒します。ところがその愛人は、少しも悪びれない。「男の人はつまらないことを気にするのね。こうすればいいのよ。」と、議員さんにアドバイスします。

 小説の最後の場面で、愛人と若い男の結婚式が行われます。そこに議員さんも招待されるんですね。今は人妻となった愛人と、次回の逢引の約束をするところで小説は終わります。

 議員さんは、「騙されていた男」から、「人の妻を奪う男」になったことに満足するわけです。まあ、私は愛人なんて持ったことがないので、本当にこんなにうまくいくのか分かりませんが、いかにもモームらしい小説です。

 しかし、こういうことは、会社間の交渉でもあるように思います。例えば、よその会社に販売権を与えるような場合です。販売店契約の場合、交渉相手に独占的権利を与えながら、他社にも一定の販売権を認めるような形だと、かえってもめたりします。ところが、「そもそも他社に権利があるのですが、特別に御社にも販売権を認めましょう。」という形を取ると、うまくいくこともあるんですね。

 まあ、こんな小細工ばかり考えていると、いずれ痛い目に会いそうです。やはり交渉は誠意が一番です。しかし弁護士として、人の気持ちのこういった機微は、交渉の席上などで、忘れてはいけないと思うのです。

 
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 弁護士より一言

 酷いサービスのレストランの話ですね。

 2、3ヶ月か経ってから、そのレストランの前を通ると、相変わらずお客さんが沢山入っているのです。あの酷いサービスで、一体何故なんだと思ったんですが、かつて読んだ、レストラン経営のポイントを思い出しました。「1に立地、2に立地、3、4がなくて5に立地」だそうです。

 そういえば、このあたりはレストランの数が少なくて、お昼時はどのお店も満員で、お客さんが並んでいるのです。それだけ、需要と供給のバランスが崩れていると、いかに酷いレストランでもお客さんは来るんですね。そこに気が付かないとは、まだまだ自分は未熟だなあと感じた次第です。

 えっ、何ですって。「需要と供給のバランスが崩れていたから、どんなに酷いサービスでもお客さんが来たなんて、まさに今までの弁護士事務所じゃないか!」ですって。

 ドキッ引き続きコメントや質問を楽しみにしております。

 (2010年5月16日第29号)
以上:1,570文字

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