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マンション管理組合委託管理会社名義管理費等預金の帰属について1

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平成31年 1月10日(木):初稿
○「マンション管理組合は共用部分占有者ではないとした高裁判決紹介」で紹介した平成29年3月15日東京高裁判決(判タ1453号115頁、判時2384号3頁)は、マンション共用部分占有者は管理組合ではなく区分所有者全員であるとしましたので、この判決の論理では、共用部分に瑕疵があって損害が発生した場合、民法717条占有者責任は区分所有者全員になります。

○この場合、損害を被った人が、区分所有者全員を相手に損害賠償請求の訴えを提起するは、区分所有者が数百人もいるような大規模マンションでは、現実的には大変であり、管理組合が共用部分の占有者として、訴えの相手方になった方が良いような気もします。マンション共用部分の瑕疵を理由に区分所有者全員を相手にした裁判例は、現時点では見つかっていません。

○マンション管理組合が支払責任を負った場合、支払責任を履行するにはマンション管理組合に帰属する財産が必要ですが、マンション管理組合は管理費や修繕費積立金等をマンション管理組合名義で預金しているのが普通です。マンションの管理組合は、管理費徴収・管理業務は、専門の管理会社に委託するのが一般的です。

○分譲マンション建築主A社が、Aマンション分譲の際、区分所有者の買主に対し、自ら作成した管理規約・使用規則の承認を求め、B社を管理者として、区分所有者とB社との間に管理委託契約を締結させて、B社にAマンション管理業務を委託して、B社が自己名義でC銀行にAマンション管理費・修繕積立金等を預金し、B社はC銀行に自己の借入金の担保としてマンション管理費・修繕積立金の預金について質権を設定し、B社が、破産宣告を受け、破産管財人Dが就任し、C銀行に対し、質権設定は無効として、Aマンション管理費・修繕積立金の預金の返還を求める訴訟を提起し、Aマンション分譲後成立した管理組合法人Eが、その預金は自己に帰属するとして参加して争った事案があります。

○一審平成10年1月23日東京地裁判決(金商1053号37頁)は、 マンションの管理会社が自己の名をもってした管理費を原資とする預金は、区分所有者団体ではなく管理会社に帰属するもので、質権設定も無効ではないとして、破産管財人・参加人いずれの請求も棄却しました。この事案の控訴審平成12年12月14日東京高裁判決(判時1755号65頁)は、マンションの管理会社が区分所有者から徴収した管理費を原資とする定期預金は、区分所有者団体ないし管理組合法人に帰属する、また、マンションの区分所有者団体に帰属すべき定期預金につき、銀行が管理会社の預金としてその関連会社に対する債権の担保として質権を設定しても、真実の預金者たる区分所有者団体に対抗できないとして、参加人であるAマンション管理組合法人Eの主張を認めました。

○Aマンション区分所有者は、管理費・修繕積立金をB社名義預金口座に送金して支払い、これをB社が自己名義の定期預金に振り替えていた事実が明らかであり、B社名義定期預金の原資はAマンション区分所有者管理費・修繕積立金であることが明白であることからの結論です。現在は、管理を委託されたB会社(管理会社)は自己名義ではなく、管理組合法人Eの名義で預金するのが普通ですので、このような問題は生じませんが、管理組合法人E名義でのAマンション区分所有者管理費・修繕積立金の預金の帰属は、Aマンション区分所有者なのか、管理組合法人Eなのかについて問題が残ります。現在、この問題についての判例を探しているところです。
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