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平成28年12月15・16日安倍・プーチン会談の評価は?

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平成28年12月18日(日):初稿
○「日本国民の大半ががっかりしている」と二階自民党幹事長が言いましたが、これが平成28年12月15・16日安部・プーチン会談の一般的評価と思われます。会談結果発表には「返還」という表現が全く出てこなかったからです。しかし、識者には色々な見方があるようです。以下、安倍・プーチン会談評価についての備忘録です。

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「日本完敗、合意は負の遺産」 北海道大名誉教授・木村汎氏に聞く
2016年12月17日 朝刊

会談は日本側の完敗だった。平和条約交渉は事実上行われず、同条約に関する声明や文書が出なかったばかりか、四島での「共同経済活動」の協議開始にすら合意してしまった。今後日本は、これらの「負の遺産」をもとにして、対ロ交渉を行わねばならなくなった。

どうすれば日本の主権を損なわない形で四島での「共同経済活動」が可能になるのか。妙案があるとは思えない。平和条約締結に向けての重要な一歩どころか、むしろマイナス効果を及ぼすことが危惧される。主権の所在はどうでもよいとの気分が醸成され、ロシアの実効支配が強化されるからだ。

一つの救いは、日本の主権が侵害される場合、日本は直ちにそうしたプログラムを中止できることだ。日本側が提案している「八項目」の経済協力も、今後ロシアが領土交渉に誠意を示さなければ、中止すべきだろう。北方領土への人的交流の拡大は唯一、評価できる。

プーチン氏は今回、1956年の日ソ共同宣言で明記された歯舞、色丹の二島すら日本に引き渡そうとしなかった。多くの日本人の失望と反発を買ったに違いない。そのために日本からの対ロ協力は限定的なものにとどまるだろう。プーチン氏にとり、戦術的には勝利に見えるが、戦略的には失敗したといえるだろう。

今回ロシア側は大きな成果を収めた。プーチン訪日それ自体によりG7による包囲網を突破した事実を全世界に喧伝(けんでん)できたからだ。

安倍首相が前のめりの姿勢を示した結果として、プーチン氏は、ロシアが得意とする焦(じ)らしやどう喝、まず高値を吹っかける「バザール商法」などの交渉戦術を縦横に駆使し、最高首脳間の「信頼」関係の存在だけにすがる日本側を子供のように翻弄(ほんろう)した。
(聞き手・常盤伸)

<日ソ共同宣言の北方領土返還に関する条項> ソ連は、日本の要望にこたえかつ日本の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本とソ連との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。


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12/16夜8時から放送されたBSフジ・プライムニュースで鈴木宗男、元外交官の佐藤優が、安倍総理主導の今回の日露首脳会談を高評価しています。
ほとんど満点とまで言い切っている。それはどういうことなのでしょうか?
  
■ 合意で領土返還に具体的に言及しなかったのは日露の戦略  平和条約を目指すことで返還は自動的に行われる

以下が佐藤優の説明です。
プーチン大統領はロシア国民の反発を恐れてあえて領土問題には触れなかった。その代わり平和条約締結に向けて進めると断言した。

今回の日露合意で平和条約と二島返還にフックをかけたのである。後はこのフックをゆっくりと引いていくと平和条約そして2島返還を実現できることになる。
(1956年の日ソ共同宣言により、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島は日本に返還すると約束済み)

島民の手紙がプーチンの心を揺さぶった。
島民の手紙では4島をすぐ返せ!ということは言わずに、今のロシアの住民と元島民が仲良くやっていこう、紛争の地を共生の地にというアピールになっている。これを見てプーチンは、これは安倍総理による安倍は本気だとの戦略的メッセージであり、日露の平和を望んでいると確信した。
だからこの合意にGO!を出した。
   
(質問)北方4島での共同経済活動は、ロシア法でも日本の法でもない特別な制度で行われる。これは可能なのか? 例えば交通事故を起こした場合は?

(佐藤優の回答)
ロシアの法律でもなく日本の法律でもない新たなの制度の下で行うのは可能である。例えば特定の件について、属人主義で日本人の場合は日本の法律で対処する策もある。現に、現在の北方4島のビザなし交流でも、日露どちらの立場も毀損しないような兼ね合いで対応している。

■ 鈴木宗男も今回の日露合意を日本にとって満点と評価
以下が鈴木宗男の説明です。
今回の安倍総理主導の日露首脳会談は日本にとって満点だった。北方領土の返還は必ず行われる。安倍総理もプーチン大統領も平和条約の締結が経済よりも一番大事だと明言した。
(1956年の日ソ共同宣言により、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島は日本に返還すると約束済み)
国民のナショナリスムがあるため、2018年のロシア大統領選の後に具体的な返還の動きになる。
  
■ 私も鈴木宗男、佐藤優と同様、日露首脳会談を高評価した 
昨日私は今回の日露合意について、そのポイントと成果をまとめて阿修羅の下記に記事を投稿しました。
『安倍・プーチン日露首脳会談は 北方領土返還に向けた大きな合意「特別な制度下での共同経済活動」という成果を得た』

その中で、1956年の日ソ共同宣言で平和条約締結後に二島返還が約束されていることを挙げ、今回の合意では平和条約締結に向けて進めることが明言されたので、返還への突破口になった。本にとって大きな成果である。
以上のように私は日露首脳会談を高評価しましたが、鈴木宗男、佐藤優も同様に高評価したわけです。


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万死に値する安倍首相の北方領土交渉大失敗-(天木直人氏)

何年もかけて、鳴り物入りで宣伝して来た安倍首相の北方領土返還交渉が、きのう12月15日の歴史的な山口会談で、ものの見事に大失敗に終わった。きょうの東京でのプーチン大統領の日程は、食い逃げである日本企業との経済協力交渉と講道館訪問だ。北方領土交渉はきのうですべて終わったのだ。

そして、その結果は、これまでさんざん報道されて来たとおり、北方領土問題は、返還どころか、主権問題でプーチン大統領は一歩も譲らなかった。報道されている以上の目新しい話は何も出てこなかった。唯一出てきたのが、元島民の手紙をプーチン大統領に伝えた話だ。領土返還交渉のはずが、元日本人住民が生まれ故郷に自由に帰る事が出来るようにする、という話にすり替わってる。これが唯一の成果というからお笑いだ。

安倍首相の責任は大きい。戦後70年、日本外交の一大事である北方領土問題を、これで二度と日露間の交渉に出来ない事にして終わらせてしまった。安倍首相がこれから何年首相の座にいすわるつもりか知らないが、もはや安倍・プーチンの間の北方領土問題交渉はあり得ない。安倍首相とプーチン大統領の首脳交渉で解決しなかったのだから、その後誰が日本の首相になっても、プーチン大統領がロシアの大統領である限り解決できるはずがない。

プーチン大統領のあとは誰が大統領になっても解決できない。いや、それどころか、その頃は、もはやロシアに主権が既得権として確立してしまっているだろう。安倍外交はロシアとの北方領土問題を永久に封じてしまった。この大失敗は万死に値する。


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安倍・プーチン日露首脳会談は 北方領土返還に向けた大きな合意「特別な制度下での共同経済活動」という成果を得た

■ 日露合意の重要なポイント

① (北方領土返還の条件である)日露平和条約締結には信頼の醸成が必要であり、そのために北方4島での共同経済活動を行う
② 共同経済活動は北方四島において、両国の平和条約問題の立場を害さないという共通認識に基づいた「特別な制度」のもとで行われる
③ 高齢の元住民が墓参りなどで簡単に北方領土にいける仕組みを構築する
     
■ 「日ソ共同宣言」により 北方領土返還には 日露平和条約の締結が必要 そこに向けた大きな一歩になった
1956年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島返還で合意されています。(下記)
『日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す。』
すなわち、北方領土返還には日露平和条約の締結が必要。
その平和条約の締結のためには両国の信頼醸成が必要であり、そのために北方4島での共同経済活動を行う。
そしてその共同経済活動は北方四島において、両国の平和条約問題の立場を害さないとの共通認識に基づいた「特別な制度」のもとで行われることで合意したわけです。

■ 今回の合意により北方領土返還に向けた突破口が初めて開けられた
上記の通り、日露平和条約に向けて、さらにその後の北方領土返還に向けて、日露間で初めて突破口が開いたのです。
両国の国益と主張が異なる中、突破口を開くことができた。この意味は大変大きい。

今後は日本としては近い将来の北方領土返還を目指し、今回の合意を日露間で履行していくことになります。
以上:3,814文字

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