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10年数年前にある高校で刑事手続について講演したレジュメ公開2

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平成28年 3月21日(月):初稿
○「10年数年前にある高校で刑事手続について講演したレジュメ公開」の続きです。
10数年前にある高校で講演したレジュメの内、弁護士の仕事に関する考え方を説明した部分のレジュメを公開します。このHPで繰り返し記載していることのまとめみたいなものですが、舌足らずで判りにくかったなと反省しています。

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『 No.8 : 自分で考えることの重要性』
人間の能力を高めるただ一つのポイントは、自分の頭で考え自分の言葉で話すことと考えている。
法律事務所の事務員は普通は弁護士の作った書面をワープロに入力する清書作業的な仕事である。しかしこんな仕事ばかりしていたのでは、知識は少しずつつくが考える力は育たない。私の事務所の事務員に清書作業は全くない。

法律事務所の仕事の大部分は裁判所に提出する書面作成である。先ず訴状作成から始まる。普通の事務所は訴状は弁護士しか作らないが、私の事務所では、事務員が作ることを原則としている。その他の文書も事務員には趣旨だけ伝え、体裁内容は事務員に自分で考えて貰う。

このやり方を徹底することにより事務員の能力は飛躍的に伸びた。
私の事務所の合い言葉は「自分で考えろ」である。

『 No.19 : 実務体験の重要性』
私は人間と人間の生のぶつかり合いを実務体験と言っているが、人間の成長にとって最も重要なものと考えている。
私の顧問先で同級生経営会社が3社あるが、内2社の社長は、中学時代までいわゆる番長と呼ばれた不良グループのトップだった。従って勉強は苦手で成績も悪かったはずである。ところが社会に出て自分で会社を設立し弁護士を顧問に雇うほど成功した。

これは教科書の勉強も重要だが、人間の勉強がもっと重要と言うことを示している。不良グループとは言えトップになるには子分達の心情を理解し、子分達から信頼を勝ち得る必要がある。中学時代から、人間学習に励んできたことが、社会に出て成功した鍵ではないかと思っている。

本を読んで知識を得る勉強も重要であるが、生の人間を見るのももっと重要である。友達を沢山作り、喧嘩して、泣いて傷ついて、人間通しの生のぶつかり合いを経験し、肌で人間を学んだことが役に立つ。知識だけでは役に立たない。

弁護士について言えば、研修所を出たばかりの新人は、確かに学説・判例等の知識はあるが、実務では殆ど役に立たない。何故なら人間同士の生のぶつかり合いを経験していないから。1年間実務体験を経ることによる見違えるほど成長する。

『 No.20 : 人間とは-感情の動物であり、人に評価されることにこだわる』
人の紛争に拘わっていると、人間の性が見えてくる。つくづく思うのは人間とは感情の動物であるということ。
人間の行動の最終的決定基準は感情に尽きる。決して理屈では動かない。
人間の欲求の根元的なものは評価要求に尽きる。

『 No.21 : 屈服と心服の違い』
「人は力で倒せるけれど、情けは、心は、力じゃ取れぬ」(柔道一代2番)
イソップ物語の「北風と太陽」は人間及び人間社会を学ぶ最高の教材。
人間の争いは屈服と心服の見極めを間違うと発生する。

『 No.22 : 人間関係の破綻は相手を見ていないことから始まる』
夫婦関係破綻の究極原因は、相手を見ていないこと
相手が「何を考え、何を求めているか」について無頓着、無視が続くことにより気持ちが離れていく。

『 No.23 : 弁護士という仕事(難聴者団体機関誌掲載文を加筆訂正して転載)』
弁護士という仕事

弁護士という仕事は、人と人との紛争を扱います。紛争とは貸したお金を返してくれないのでその返還を求める等の民事紛争と思われております。しかし広い意味では人を殺したり、人の物を盗んだりして罰を受ける手続である刑事事件も紛争の一つであり、弁護士は、刑事被告人を弁護する仕事もします。

 これらの民事や刑事の紛争の究極的原因を考えていくと人間の性(さが)が見えてきます。
 その感想は人間は弱い生き物で一人では生きてゆけないものだということです。

刑事事件における弁護士の役割
 分りやすい刑事事件で考えてみます。刑事事件は、窃盗・殺人などの犯罪者を警察官・検察官が捜査して証拠を集め、有罪に出来ると判断すると検察官が処罰を求めて裁判所に起訴します。起訴された犯罪者は被告人と呼ばれます。
 弁護士は、弁護人として被告人の立場で被告人に有利なところに光を当て、裁判官に刑を軽くすることや証拠が足りないときは、無罪を主張して被告人の利益のために働きます。

 弁護士には奉仕的義務として国選刑事事件の担当があります。国選刑事事件とは、貧困により弁護人を付けられない刑事被告人に対して国の費用で弁護人をつける制度です。

『 No.24 : 常習累犯窃盗犯と呼ばれる人々』
国選刑事事件の被告人の中には時に60歳70歳の以上の常習累犯窃盗犯人がいます。彼らは。、窃盗の常習者で、まともな仕事にはつかず、シャバ(社会)と刑務所の間を往復して人生を送ります。彼らには60年の人生の内40年は刑務所暮らしという人も珍しくありません。

 このような人々の弁護は、裁判官に訴える有利な事情がなくて苦労します。彼らは、殆どが少年時代から窃盗を繰り返し、親兄弟姉妹等の家族から見放され、勿論妻子もなく、友人も全くいません。一度結婚した人でも離婚して自分の家族とは全くの音信不通になっております。

 彼らには、自分のことを案じてくれる、愛おしんでくれる人が全くいません。そのため自分はどうなってもよいと全く人生を捨てています。彼らを見ていると人間は、自分以外の他者から自分を評価してもらわないと自暴自棄になることが良く分かります。

 人は自分を心配し、案じ、愛してくれる人がなくなるとだめになります。逆に言えば、自分を評価し、心配し、愛おしんでくれる人が一人でもいる限り人は道を踏み外しません。

 この事は親子間でも、夫婦間でも全く同じであり、犯罪を犯して警察の世話になる少年、離婚等問題で弁護士事務所を訪れる夫や妻は、一様に親に対し、又、妻や夫に対し、愛情飢餓症侯群に陥っております。愛情飢餓症侯群が、問題行動の究極的原因です。即ち人間は他者からの愛情によって支えられいるのです。

 人間は弱い生き物であり一人では生きられないと最初に書いたのはその意味です。

以上:2,622文字

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