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隣の土地と自分の土地の公図地番取違いの場合の地番訂正方法-関係判例2

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平成27年 8月 7日(金):初稿
○境界に関する争いに関し、相隣者との間で境界を定めた事実があつても、これによつて、その一筆の土地の固有の境界自体は、変動するものではないとする昭和31年12月28日最高裁判決(最高裁判所民事判例集10巻12号1639頁、判例タイムズ67号68頁)全文を紹介します。土地の所有権の範囲は譲渡、抛棄等当事者の処分によつて変動することは明らかです。しかし、一筆の特定の土地について存する境界そのものは、当該土地に客観的に固有するものであり、当事者が変更処分できないとしています。


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主  文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理  由
 上告代理人A、同B、同C、同Dの上告理由第一点について。
 所論原審の陳述は、本件175番山林の客観的範囲を明らかならしめる事情を陳述したにとどまり、その取得時効完成の要件事実を陳述したものとは解されないのみならず、仮りに、その陳述の真意が後者を陳述するにあつたとしても、時効を援用する趣旨の陳述がなかつたのであるから、原審が時効取得の有無を判断しなかつたのは不当でなく、その陳述の足らなかつたことの責任を裁判所に転嫁し、釈明権不行使の違法をもつて非難し得べき限りではない。

 同第二点について。
 本件は控訴審で請求を減縮した場合であつて、その減縮した部分については初めより係属しなかつたものとみなされ、この部分に対する第一審判決は、おのずからその効力を失い控訴は残余の部分に対するものとなるから、この部分につき第一審判決を変更する理由がないときは控訴棄却の判決をなすべきものであること、当裁判所の判例とするところである(昭和24年11月8日第三小法廷判決、集三巻495頁)。されば原審が控訴棄却の判決をしたことは正当であり、所論の違法はない。

 同第三点について。
 本件鑑定命令は、鑑定書の内容と照合すれば営林技手たる鑑定人に対し営林当局者の思惟する字境について実測図の作成を命じた趣旨と解することができ正当な鑑定事項であり、また、所論鑑定人が所論実測図謄本を訴訟手続外で入手し、これを鑑定の資料としたものとしても、その一事により直ちに鑑定の結果を援用し得なくなるわけではなく、右実測図謄本は、本件鑑定人がその特別の知識経験により正確と認めて鑑定の資料に採用したものであることが、鑑定書の記載を通じて看取し得る以上、これを使用してなした鑑定を採用したことをもつて違法であるとはいえない。原判決には所論の違法は認め難い。

 同第四点について。
 所論第一審判決添付の図面には、「鑑定書添付図面」を引用した趣旨の記載があり、右は鑑定書中三角点標を不動点とし20号点とした旨の記載及び鑑定書添付の鑑定図面に同封され、各点間の方位、実測距離、傾度、水平距離を記載した測量野帳をも併せ引用した趣旨と解されるから、図面記載の記号が現地のいずれに当るかを識別しうる記載に欠けるところはなく、原判決には所論の違法はない。

 同第五点について。
 原審における上告人の主張は、175番山林中に境界を区劃してその一部を売り渡したというのではなく、一筆の土地たる175番山林の隣地160番の4山林との境界を所論の線と指示して引渡を了したというのであるから、右にいう境界とは異筆の土地の間の境界である。

 しかし、かかる境界は右175番山林が160番の4山林と区別されるため客観的に固有するものというべく、当事者の合意によつて変更処分し得ないものであつて、境界の合意が存在したことは単に右客観的境界の判定のための一資料として意義を有するに止まり、証拠によつてこれと異なる客観的境界を判定することを妨げるものではない。原判決には所論の違法はない。

 よつて、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克)

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