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東北大学法学部小嶋和司教授講義ノート紹介7-昭和49年6月6日

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平成27年 1月26日:初稿
○「気ままに備忘録 and TIPS」と言うサイトの「【イスラム国日本人人質事件】湯川遥菜氏、殺害される!新たな声明文も【動画】」に仙台出身後藤健二さんと称する英語のメッセージが動画として掲載されています。この英語の日本語訳文は彼方此方のサイトに掲載されていますが、到底、後藤さん本人が自分の意思で話したとは思えません。「イスラム国」が準備した原稿を無理に読まされたものと思われます。

○「中東やアラブ諸国で何が起こっている?イスラーム思想をどう理解したらいい?初心者にも分かるように、少しずつ解説します。」との池内恵(いけうち さとし 東京大学准教授)による「中東・イスラーム学の風姿花伝」と言うサイトの「今回だけなぜ静止画像なのか?」と言うページの解説では、「最初の殺害予告は動画で、従来のものと形式は似ていたが、合成の疑いがあり、二人の人質が同一の時と場所に居なかった可能性がある。また、予告映像で人質が喋っていないので、撮影された時期がわからない。早期に湯川さんは殺されていた可能性が捨てきれない。どこかこれまでとは違う手順で犯行や脅迫が行われている様子がある。」、「確たる結論も根拠もないのだが、これまでと同じスタイルの映像を作れず、これまでの映像と比べると格段に完成度の水準の低い静止画の宣伝映像を出してきた理由は何なのだろうか、腑に落ちないところがある。」とされています。

○ヨルダンにとっては外国人の後藤健二さんの釈放のために多くの自国民を殺傷した死刑囚を釈放するなんてことは、大変難しく、迷惑この上ない話しでしょう。「イスラム国」による綿密なシナリオに従って事態が展開している感じもしますが、「何か無理をして脅迫案件を作り出しているのではないか、という気がする。軍事的あるいは資金的に追い詰められているのだろうか。」と池内恵氏が推測しています。

池内氏の解説では、「犯行勢力は、日本政府が人質解放交渉の拠点を置いたヨルダンに矛先を向けてきたようです。それによって日本・日本国民と、ヨルダン政府・ヨルダン国民との間に亀裂を走らせようとする戦術」で、「ヨルダン政府が、歴然とした自爆テロ実行未遂犯を釈放する可能性は薄いと思いますが、日本国民がヨルダンに釈放せよと圧力をかける事態が生じれば、それは別の国際問題を引き起こすと考えられます。」とのことです。大変勉強になります。

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東北大学法学部 小嶋和司教授講義ノート
1974/6/6


(1)初期から19Cの中頃まで
19C前半ー自由国家思想の生育期
 自由国家とは国は国民生活になるべく干渉しない。国の役割は国民の自由の確保にある。
この時期の個人権の特色
①米国を除くと議会制定法への信頼が強くみられる。(各国に議会制度が導入される時期であり議会制度への期待が大きかったので。)
②自由権が個人権の中心(以前の専制国家へのアンチテーゼとして自由国家思想が採用されたから)
この時期の初期は自由権の種類は乏しかったが後期になるにつれ増えてきた。
③「平等」とは国民を支配する身分性の廃止と法適用の平等が主内容
④この時期の「国務請求権」は個人に対する権利侵害を国により排除してもらうための権利-裁判請求権-だけであった。
⑤参政権は社会的実情を反映して非常に制限的であった。

19C半ばに自由国家思想はいわば成人の地位に達する。自由権規定のカタログは、1850年のプロイセン憲法で飽和状態に達した。

(2)以後第一次大戦が終わるまでの憲法はどの憲法も同じような内容であった。
規定の仕方
日本の明治憲法をみれば(2)の個人権がよくわかる。
注、但し職業の自由の規定を欠いている。

(3) (2)の間に自由国家思想の修正の必要が二つの面から登場
a.自由国家思想の哲学的基礎-自由競争-優勝劣敗の原理が社会の進歩をもたらす-
 自由競争の前提として出発点の平等がなければ正当性は主張できないことが自覚された。経済生活においては出発点の平等はなく初めから優劣が決定している⇒経済生活に対しては自由放任が望ましくない。むしろ国が積極的に干与して自由の制限を行うべきとの主張が成立。

b.自由-自己責任原則に立つ。しかし、年寄り、子供、病人など自己責任を要求しえない者がある。-人道的見地からここには国の配慮が要求される。
a.b.より従来の自由国家思想に修正を加えようとして成立したのが社会国家思想、又は福祉国家思想である。-(2)に成立
これらの思想に基づく憲法が第一次大戦後に成立。ex.1919年ワイマール憲法
この時期の憲法の特徴
①自由権を否定するのではなく是正と追加を行う。是正-経済的自由権には国による制約を広く認める。
②追加-新しい種類の国務請求権が追加-生存権的権利(我妻)
③経済的弱者に対し経済競争における平等をつくりだすための特別の自由を保障-団体行動権
④平等については次第に男女平等という考え方が採用…大戦争直後に限られるようである。
⑤参政権が拡大-普通選挙制が実現
⑥議会制定法への無条件な信頼でなく憲法の保障は立法に対する制約でもあらしめようという態度が米国以外に出現

第二 個人権保障の法的効果
 憲法典の個人権の保障…具体的に法的効果のないものが多かった。
 ex.1791年仏憲法 冒頭-人権宣言 立法権は人権の行使に障害を与えるような法律を制定できないと規定-現実に障害を与えるような立法がなされてもそれは有効なものとされ、憲法典の個人権の規定は全く体裁だけのものであった。
日本…明治憲法-法律の留保の規定…個人権規定に法的効果を与えるためのものであった。
現行憲法でも個人権の規定には法的効果があるとされている。

(一)個人権の主体
国民…第三章のタイトルからも明らか。
問題点
① 天皇は個人権の主体たりうるか?
 明治憲法体制では天皇は統治権者とされ、天皇の個人権は問題となり得なかった。そのため臣民権利義務の保障とされる。
 現在の天皇は明治憲法時代とは地位が違う。天皇も又個人権の主体と考えられる。但し、憲法は天皇について特別の身分、地位をいくつか規定しているので、これらと両立しえないと両立しえない個人権の適用は排除。
ex.法の下の平等、政治活動の自由などは天皇にはない。信仰の自由、学問の自由などは天皇にも保障

②外国人-日本国籍を有しない者-は個人権の主体たり得るか。39年①
 a説-外国人にも憲法第三章の保障はある。但し、特に国家所属性に基づくような権利は外国人には適用がない。

 a'説-§14「国民は」 米国憲法では差に意義を求める。国民は自国民のみ
    §22「何人も」 何人には外国人も含むとする。

 日本国憲法にはこの考え方では矛盾する条文がある。
 §22Ⅱ「何人も」-日本国民に限る。
 表現に着目して日本人だけの適用ある権利、外国人の適用もある権利と分けて考えることはできない。そのため、国家所属性に基準を求める。

 b説(佐々木説) 第三章は外国人には適用ない。第三者のタイトルは「国民の権利義務」
 「国民」とは日本国民だけ。但し、前文第三項の国際協和主義の立場より国際社会の通念となっている程度の権利・自由の尊重が要求される。

 違憲論の主張 a説では外国人も憲法18条違反を主張できる。b説では国際協調主義の立場から違憲論を主張するしかできない。
小島、b説が妥当。立法もb説を前提として成立。
立法…決定権的参政権は外国人に認めない。出入国の管理は許可制-居住の自由-国家所属に基づく権利。
これらはa、b説とも結論は同じ

a説が正当
<結論>原則として外国人にも基本的人権の保障がある。外国人に対しても権利の性質が許す限り保障を認めるべき。
<理由>
①憲法の根本精神は基本的人権の尊重にある。外国人と日本人に差をつける合理的理由はない。
②憲法の保障する基本的人権は自然法にもとづく前国家的な人間の権利である。
③憲法は国際協和主義に立つ。
<例外>国民的性質の強い基本権…能動的権利(選挙権、被選挙権)、社会権等は外国人に保障されない。

b説への批判…憲法の精神-自然法にもとづき前国家的な人間の権利として基本的人権を保障する-に反する。

 立法は相互主義をとるものが多い。
§17.国及び公共国体の賠償責任-国家賠償法に具体化
 §6.外国人が被害者である場合…相互の保証があるときに限り適用
ex.米国では外国人に対し国家賠償請求権を認めない。従って、米国人は日本において被害をうけても国家賠償請求権は認められない。
外国人土地法§1、特許法§25

 外国人に対してある種の行為能力、権利能力を否認する立法がある。
鉱業法:外国人には鉱業権を認めない。
水先法:外国人は水先案内人にはなれない。
外国人漁業規制法…ある種の漁業は外国人には許さない。
 以上は国際社会に従った立法

判例はa説の立場
 25.12.18二小
 不法入国者といえども基本的人権の保護を要求する権利を有する。
 外国人が第三章の条文を援用して意見の主張をした場合、主張適格を疑わないで憲法判断をしている。最判(昭32.12.25)
(判旨)
①§22Ⅱ「何人…」は外国人も含む⇒外国移住の自由は外国人にも保障される。
②出入国管理令§25Ⅰ 外国人が出国する場合証印が必要。←これは出国それ自体法律上制限するものではなく、単に出国に関する手続を定めたもの。これにより事実上、外国移住の自由が制限されても出入国の公正な管理という公共福祉のために合憲性あり。
 39.11.18大
 憲法§14Ⅰは、特段の事情のない限り外国人にも適用があるとする。
 しかし判例も国民と外国人を全く同じに扱うという態度ではない。

 §14Ⅰの「国民」には、特段の事情の認められない限り、外国人も含まれる。32.12.25

 23.12.25大
 §22にいう外国移住の自由は、その権利の性質上外国人に限って保証しないという理由はない。

問題点③法人と基本的人権
法人の活動は、結局その効果が自然人に帰属するものであるから基本的人権は性質上可能な限り内国の法人にも適用がある(通説・判例)
<法人に適用できる例>
 財産権、法定手続保障、表現の自由、職業選択の自由、納税の義務
<法人に適用できない例>
 選挙権、被選挙権、身体的自由、生存権、教育を受ける権利

八幡製鉄政治献金事件 最判45.6.24(大)
<判旨>憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は自然人たる国民と同様、国は政党の特定の政策を支持、推進し又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。

注:30.6.19大
 密入国者がつかまったとき§22Ⅰ違反3主張、判示…§22Ⅰは外国人の入国の自由まで保障するもので無い。政府の自由裁量に属する問題である。

(二)保証領域
 憲法とは国家生活の基本法、個人権の保障は国家に対する要望の結晶。このことより個人権の規定は個人が国又は公共団体に対する関係での保証である。§21Ⅱ後段、通信の秘密は(国又は公共団体が)侵してはならない。私生活には違憲はない。§98Ⅰ「…国務に関するとの田の行為…」、§81「…法律、命令、規則又は処分」officalact

42.5.25-小
Aが稲荷教の布教活動、Aの養親B、
Aが自宅から200m離れたところに布教所を設けて布教活動。BがAの活動を妨害…親類一同が集まってBに妨害をやめるとの契約を結ぶ。Bは妨害を辞めないのでAは訴訟をおこした。Bはその契約は§20に違反すると主張。
判示…憲法の保障する信教の自由は国又は地方公共団体が侵してはいけないことを保障したもの。

私人相互間での保障が問題 37年①
方目的が私人間でも実行されるを要すると考えられるなら原則として国が立法でこれを保障することになる。
ex刑§133親書開披罪:通信の秘密の保障を刑罰で保障
財産権の保障、§235窃盗罪
私人間での保障は罰則付きで行うなら罪刑法定主義の要請から成文法の規定が必要になる。

民事上の保障についてはどうなるか?
原則として立法で保障すべき。立法がなければ私人間の保障はあり得ないのか。
私人間の保障は成文法なしでも何らかの権利関係を認めるいくつかの学説がある。
a説…private governmentの理論
国家権力と同視しうるような社会的存在については憲法の規定を適用又は準用させようとする理論。
 いかなる場合にprivate governmentといえるか問題。
ex.特許事業の事業内容については私人が行うからといって憲法の適用がないということは不当な場合がある。しかし、特許事業以外にこの理論がどこまで機能しうるかは問題。

b説…裁判的不承認、米国判例、鵜飼信成
 私人の法律関係が裁判問題になったとき裁判所があまりにもひどい個人権の侵害行為を認めることはできない。認めればそれにより憲法上の権利を侵害することになる。
米国判例:白人アパート、白人が黒人と結婚するとでていくという約款がある。最高裁はこれを違憲とした。この約款を認めると平等権の侵害を国が認めることになる。
この考えは論理的におかしい。
ここで裁判問題になっているのは私法問題・私法上の効力だけを問題にすれば足りる。私法上の効力を容認したとしても憲法上の権利を侵害したとはならない。
mission schoolの教師選任、missionに対して反対の立場でないことが条件。後からmissionに反対の活動した解雇しても違憲とはならないはず。
Tendency Betrieh

以上:5,544文字

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