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ウエブサイト発信者情報開示を認めた平成26年12月18日東京地裁判決紹介2

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平成27年 1月20日:初稿
○「ウエブサイト発信者情報開示を認めた平成26年12月18日東京地裁判決紹介1」の続きです。
判決は、ドメイン名「ケノン」について、「不正の利益を得る目的で,原告の特定商品表示である原告表示と類似の本件ドメイン名を使用するものであり,不正競争防止法2条1項12号の不正競争に当たる」から始まり、原告主張をほぼ全面的に認めています。ネット上では、似たような事例は彼方此方にあるような気がしますが。


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第3 当裁判所の判断
1 本件各サイトに係る情報によって原告の権利が侵害されたことが明らかであるといえるか否かについて

(1) 争点1(本件ドメイン名を使用する行為が不正競争防止法2条1項12号の不正競争に当たるか否か)について
ア 本件ドメイン名の「ケノン.asia」のうち,「.asia」の部分はいわゆるトップレベルドメインであって識別力が弱いから,本件ドメイン名の要部は,「ケノン」の部分であるところ,これは,原告表示と少なくとも外観及び称呼が同一又は類似するから,本件ドメイン名は,原告の特定商品表示である原告表示と類似のドメイン名であると認められる。

イ 前記前提事実に,証拠(甲2の1の1ないし3,7,8)を総合すれば,平成25年2月15日時点における本件ドメイン名の登録者は,「LAVIEInc.」であるが,これは,訴外会社の商号の英語表記に類似すること,「LAVIE Inc.」の所在地は,訴外会社が同年1月6日に現在の本店所在地に移転する前の訴外会社の本店所在地(以下「旧所在地」という。)と同じであり,訴外会社の現在の本店所在地とビル名及び所在階を異にするものの番号までは同じであること,同年8月15日時点における本件ドメイン名の登録者は,現在の登録者である「<以下略>」に変わっているが,同人の登録者IDは「LAVIE Inc.」のものと同じであることが認められる。そして,本件サイト1には本件ドメイン名が使用されていることからして,本件サイト1の契約者は,本件ドメイン名を使用する権原を有するなど,本件ドメイン名の契約者と何らかのつながりがあると考えられるところ,本件サイト1のトップページの内容は,圧倒的な販売実績を有する優れた家庭用脱毛器であるとして原告商品を紹介した後,価格が高いのがその唯一の弱点であると指摘し,結局は,同じ性能であるのに安いとして訴外会社商品を紹介し,その販売サイトへ誘導するというものである。

 これらの事実を総合考慮すると,本件ドメイン名の現在までの登録者や本件サイト1の契約者は,訴外会社又はその関係者など訴外会社商品の販売に関わる者(以下「訴外会社商品関係者」という。)である蓋然性が高いと認められるのであって,本件サイト1の契約者は,原告表示と類似する本件ドメイン名を使用して,原告商品との混同を生じさせ,その顧客吸引力を利用して,訴外会社商品に誘引して販売利益を上げようとして,本件ドメイン名を本件サイト1に使用していると認められる。

ウ したがって,本件サイト1の契約者は,不正の利益を得る目的で,原告の特定商品表示である原告表示と類似の本件ドメイン名を使用するものであり,不正競争防止法2条1項12号の不正競争に当たる。

(2) 争点2(本件サイト2及び3に訴外会社商品の出力に関する表示をする行為が不正競争防止法2条1項13号の不正競争に当たるか否か)について
ア 本件サイト2について
(ア) 証拠(甲2の2の1及び2,8)によれば,本件サイト2において使用されているドメイン名「脱毛器徹底比較.com」の登録者は,「LAVIEInc.」であり,その所在地は訴外会社の旧所在地と同じであると認められるから,やはり訴外会社商品関係者であると考えられる。そして,本件サイト2には本件ドメイン名が使用されていることからして,本件サイト2の契約者は,本件ドメイン名を使用する権原を有するなど,本件ドメイン名の登録者と何らかのつながりがあると考えられるところ,本件サイト2の内容は,訴外会社商品が出力もコストパフォーマンスも総合評価も1番高い家庭用脱毛器であるとの事実を摘示して,家庭用脱毛器を購入するなら訴外会社商品が最もよいと勧めるというものである。
 これらの事実を総合考慮すると,本件サイト2の契約者もまた,訴外会社商品関係者である蓋然性が高いものと認められるから,本件サイト2は,単なる家庭用脱毛器の比較サイトではなく,訴外会社商品の広告であると認めるのが相当である。

(イ) 本件サイト2には,訴外会社商品について「78ジュールの出力は業界ナンバー1」であり,原告商品は52ジュールである旨の記載があるが,証拠(甲5)によれば,家庭用脱毛器の出力を表すジュール数の計測方法には統一的な基準がなく,測定条件によって数値が大きく異なるところ,訴外会社商品の出力が約78ジュールとなる測定条件と同一の条件下で原告商品の出力を計測した結果は,約1.4倍の約110ジュールとなることが認められる。
 そうすると,本件サイト2において,訴外会社商品の出力について上記のような断定的な記載をすることは,訴外会社商品の出力性能という品質について誤認させるような表示をするものであると認めるのが相当である

 被告は,上記証拠の測定結果が客観的に正しいものであるかは不明であると主張するが,原告商品と訴外会社商品のそれぞれにつき,測定条件を揃えてジュール数を計測して上記の結果が得られたことに疑いを差し挟むべき事情は特に窺えない。被告の上記主張は,採用することができない。

(ウ) したがって,本件サイト2に「78ジュールの出力は業界ナンバー1」などと記載することは,訴外会社商品の広告にその品質について誤認させるような表示をする行為であるから,不正競争防止法2条1項13号の不正競争に当たる。

イ 本件サイト3について
(ア) 証拠(甲2の3の1及び2)によれば,本件サイト3において使用されているドメイン名「脱毛器徹底比較.jp」の登録者は,「株式会社LAVIE」であり,商号が訴外会社のそれと極めて類似し,その所在地は訴外会社の旧所在地と同じであると認められるから,やはり訴外会社商品関係者であると考えられる。そして,本件サイト3には本件ドメイン名が使用されていることからして,本件サイト3の契約者は,本件ドメイン名を使用する権原を有するなど,本件ドメイン名の登録者と何らかのつながりがあると考えられるところ,本件サイト3の内容は,訴外会社商品が出力(パワー)も総合評価も1番高い家庭用脱毛器であるとの事実を摘示して,家庭用脱毛器を購入するなら訴外会社商品が最もよいと勧めるというものである。
 これらの事実を総合考慮すると,本件サイト3の契約者もまた,訴外会社商品関係者である蓋然性が高いものと認められるから,本件サイト3は,単なる家庭用脱毛器の比較サイトではなく,訴外会社商品の広告であると認めるのが相当である。

(イ) 本件サイト3には,原告商品が52ジュールであると記載する一方,訴外会社商品について「業界1の高出力」,「業界初の高出力である78ジュールを誇ること。通常は20ジュール程度」,「業界ナンバー1の出力である78ジュールを誇ります」との記載があるが,証拠(甲5)に照らすと,訴外会社商品の出力についてこのような断定的な記載をすることは,前記ア(イ)で説示したのと同じ理由により,訴外会社商品の出力性能という品質について誤認させるような表示をするものであると認めるのが相当である。

(ウ) したがって,本件サイト3に「業界1の高出力」などと記載することは,訴外会社商品の広告にその品質について誤認させるような表示をする行為であるから,不正競争防止法2条1項13号の不正競争に当たる。

(3) そして,原告が家庭用脱毛器の販売を営んでいることに照らすと,原告は,前記の各不正競争により,営業上の利益を侵害され,また,今後もこれを侵害されるおそれがあると認められるから,本件サイト1に使用される本件ドメイン名,本件サイト2及び3における「78ジュールの出力は業界ナンバー1」,「業界1の高出力」等の記載といった侵害情報の流通によって原告の権利が侵害されたことは明らかである。

2 本件各サイトがいわゆるホームページであることに鑑みれば,本件各サイトの各契約者は,それぞれ本件各サイトに係る情報を本件レンタルサーバーに入力した者であると認められるから,これらの者がプロバイダ責任制限法4条1項にいう侵害情報の発信者に当たり,また,本件レンタルサーバーを保有,管理する被告が同項の開示関係役務提供者に当たると認められる。
 そして,各不正競争に係るそれぞれの行為態様に鑑みると,本件各サイトの各契約者は,不正競争を行うにつき,少なくとも過失があると認められるから,原告は,各不正競争について,不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求権の行使のために,被告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報の開示を受ける必要があると認められる。

3 以上の次第であるから,原告の請求は,全て理由がある。
 よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 高野輝久 裁判官 三井大有 裁判官 宇野遥子) 
 
別紙
発信者情報目録
別紙ウェブページ目録記載の各閲覧用URLにより表示される各ウェブページが蔵置されたサーバー領域の各契約者に関する情報であって、次に掲げるもの
1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス

ウェブページ目録
閲覧用URL
1 http://以下省略
2 http://以下省略
3 http://以下省略


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