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従業員への損害賠償請求提訴を不法行為とした広島高裁判決全文紹介2

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平成26年 6月 6日:初稿
○「損害賠償請求提訴を不法行為とした平成25年12月24日広島高裁判決全文紹介1」の続きです。


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第三 当裁判所の判断
一 認定事実

 原判決「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」の「一 認定事実」に記載のとおり(ただし、原判決19頁20行目の「ない部分を除く。)、」の次に「甲33~49、53、58~71(枝番も含む。)、」を付加する。)であるから、これを引用する。

二 甲事件、乙事件について
 当裁判所も、一審原告の一審被告らに対する各請求は理由がない、と判断する。
 その理由は、次のとおり改めるほか、原判決「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」の「二」に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決26頁一行目〈同63頁一段5~6行目〉の「被告らの共謀による横領行為の存否」を「一審被告丙川による本件横領の有無。本件横領に対する一審被告丁原の共謀の有無。」と改める。

(2) 原判決26頁二行目の「被告らは、共謀して」から同三行目の「12月15日」まで〈同63頁一段7~9行目〉を「一審被告らが共謀して又は一審被告丙川が単独で、原判決別紙預金払出一覧表に記載のとおり、平成16年4月2日から平成20年7月4日」と改める。

(3) 原判決26頁11行目〈同63頁一段23行目〉の「との事実は」を「とも、一審被告丙川が単独で横領したとも」と改める。

(4) 原判決30頁15行目〈同64頁三段八行目〉末尾に改行の上、次のとおり付加する。
 「一審原告は、判明している一審被告らの預金口座には、一審被告丙川につき約1079万円の、一審被告丁原につき約367万円の原資不明の入金があり、この事実は一審原告らによる横領行為を裏付ける旨主張する。

 しかし、《証拠略》によれば、①一審原告が本件横領を主張する時期は、平成16年4月から平成20年7月までであるところ、一審被告丙川が一審原告から支給されていた給与月額(手取額)は、平成16年4月が16万円余り、平成20年7月が23万円余りであり、これを口座振込により受給していたこと、②一審被告丙川は、毎月、口座に振り込まれた給与を引き出して保険引き落とし用、カード引き落とし用等の使途に応じた複数の口座に移し、自らの貯蓄や支払等に充てていたこと、③一審被告丙川につき一審原告が指摘する入金は、本件横領が主張される上記期間において、口座ごとに見ると、その多くが一か月に数万円程度の金額に過ぎず、上記②のように給与振込口座から他の口座に移された際の入金も含まれていること、④一審被告丁原が一審原告から支給されていた給与月額(手取額)は、平成16年4月と平成20年7月のいずれも31万円余りであり、これを口座振込により受給していたこと、⑤一審被告丁原につき一審原告が指摘する入金には、普通預金から定期預金に預け替えた100万円や賞与の入金等の本件横領と関わりのないことが明らかな入金が含まれていることが認められる。これらの事情のもとでは、一審被告らの預金口座に対する入金の状況をもって、本件横領を裏付けるものと認めることは到底できない。一審原告の上記主張も採用できない。」

(5) 原判決30頁17行目と18行目〈同64頁三段10行目「被告」~12行目「証拠はない。」〉を「上記の判断は左右されない。」と改める。

三 丙事件について
(1) 一審原告は、一審被告丙川が一審原告の預金口座から無断で4201万9749円を引き出して横領したとして、一審被告丙川に対する甲事件を提起したが、一審被告丙川から、一審原告の代表者乙山ないし本社の経理担当者の一審被告丁原からの指示に従って預金の払戻しをして一審原告代表者らに現金を手渡した旨の答弁を受けて、一審被告丙川が一審被告丁原と共謀して横領したことが明らかになったとして、一審被告丁原に対する乙事件を追加して提起したところ、上記の認定・説示のとおり、一審被告丁原が一審被告丙川と共謀して横領した事実は認められず、かえって、一審被告丙川は、一審原告の代表者の直接の指示ないし代表者から指示を受けた一審被告丁原の指示に基づき、一審原告の預金口座から払戻しを受けて、払い戻した現金を一審原告の代表者又は丁川取締役に交付したと認められ、一審原告代表者の記憶違いや思い違いがあった等の特段の事情はうかがえないから、乙事件において、一審原告が主張した一審被告丁原に対する不法行為による損害賠償請求権は、事実的、法律的根拠を欠くものであり、かつ、一審原告は、乙事件で主張する請求権が事実的、法律的根拠を欠くことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて訴えを提起した、と認めるのが相当である。
 そうすると、一審原告の乙事件の提起は、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものであり、不法行為を構成すると認められる。


(2) 損害額
ア 慰謝料
 乙事件は、一審被告丁原に対し、一審被告丙川と共謀して約4200万円を横領したとして損害賠償を求めるものである。一審被告丁原は、乙事件を提起されたことにより精神的苦痛を受けたと推認される。これに対する慰謝料額は、事案の内容等に照らして、50万円とするのが相当である。

イ 弁護士費用
 《証拠略》によれば、一審被告丁原は、乙事件の応訴のため、その訴訟代理人弁護士らと訴訟委任契約を締結したこと、報酬基準では、乙事件の着手金が210万円以上とされ、全部勝訴の場合の報酬が420万円以上とされていることが認められる。乙事件と丙事件の訴訟経過等の事情に照らし、上記弁護士費用のうち200万円をもって、一審原告の不法行為と相当因果関係のある損害と認める。

四 まとめ
(1) 甲事件及び乙事件
 一審原告の一審被告らに対する請求は、いずれも理由がない。
(2) 丙事件
 一審被告丁原の一審原告に対する請求は、損害賠償金250万円及びこれに対する乙事件が提起された平成23年9月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由がある。

第四 結論
 よって、甲事件及び乙事件については、原判決は相当であり一審原告の控訴は理由がないからこれを棄却し、丙事件については、原判決は相当でないから一審被告丁原の控訴に基づきこれを変更することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小林正明 裁判官 古賀輝郎 田村政巳)


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