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訴えの提起を違法とする判断基準を示した最高裁判決解説1

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平成26年 3月 7日:初稿
○「訴えの提起を違法とする判断基準を示した最高裁判決全文紹介1」の続きで私なりの説明です。

先ず事案ですが、ちと複雑ですが、出来るだけ簡明にします。
・破産会社A工業株式会社所有甲土地を上告人Xが同社破産管財人から仲介人Bを通じて代金1億0500万円で購入
・BはXの承諾の元に甲土地をC社に一応の代金1億0500万円、後日坪単価5713円で実測清算の約定で売主B名義で売却し、手付金として9000万円の小切手を受領しBに交付
・Xは買主C社に対しX甲土地の所有者であることと売買代金残代金をXに支払うべきことを通知
・C社は、甲土地の実測を土地家屋調査士の被上告人Yに依頼し、YはBの指示する方法で甲土地を測量し、面積1万5191坪とする測量図と面積計算書をBに交付
・XはC社を通じてY作成測量図を入手するも疑問を感じて独自に専門業者に測量させると甲土地の面積はY測量より約720坪多いことが判明
・Xは、Y、C社代表者Dが参集した席上で上記結果を説明し、Yも測量方法はB指示に従っただけと認めたので、C社に対し720坪多く清算するよう要求、しかしC社はY作成測量結果を縦にXの要求を拒否
・そこでXはYに対し、Xが測量を依頼したのにYが誤った測量をしたことを理由にYに対し500万円の損害賠償請求するもYは拒否
・BとC社は、後日両者が改めて依頼した別の業者による測量結果に基づき、Xには内密にして残代金を精算
・XはYに対し、依頼した測量結果の誤りで約544万円の損害賠償請求をするも、測量依頼をしたのはBであることを理由にX敗訴し、控訴するも控訴取下で終了確定
・Xはこの訴え当時甲土地の実質所有者であったので、Cとの売買契約売主はXであり、Yへの測量依頼もCを通じてXが行ったと確信していた
・YはXからの損害賠償請求の訴えに対し、弁護士費用80万円を支払った
・YはXに対し、不当訴訟を理由に、弁護士費用80万円と慰謝料120万円の合計200万円支払請求の提訴するも一審昭和59年3月25日静岡地裁は請求棄却
・Yが控訴し、控訴審昭和59年10月29日東京高裁は、Yの主張を認めて弁護士報酬金80万円の支払をXに命じた
・Xはこれを不服として上告


以下、請求棄却の昭和59年3月25日静岡地裁と一部請求認容の昭和59年10月29日東京高裁の結論部分を紹介します。

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昭和59年3月25日静岡地裁判決結論全文
二 被告の前訴提起について
原告はその不当性について請求原因3の(二)のとおり主張するが、前訴認定の事実によれば、被告はB、Dらの画策により不当に過少に測量され損害を蒙つた疑があり、しかも被告(X)は原告(Y)に測量を依頼することを前記のとおりDにたのんだのであり、被告が測量の依頼主であることは勿論であり、被告はそのように信じていたものでそれに過失はなく、原告測量の直後ころ直接原告にその旨伝え前記話合のときにもその旨述べている、その際原告から原告主張(1)のことについてふれた証拠はない。

原告は右のとおり原告測量の直後からひとたびB、D以外に実質上の売主たる利害関係人の被告が出現しているのであるから、土地家屋調査士制度の趣旨すなわち不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もつて不動産に係る国民の権利の明確化(不動産それ自体の物理的客観状況を明かにすること)に寄与すること、従つて、その業務は公共的性格を有し公正誠実を旨とすべきであるとされていることに鑑み同測量にこだわらずその時点で正確な測量を実施し土地家屋調査士の職務を全うすべきであつたと解すのが相当である。

そうだとすれば、被告が前訴において自らが原告測量の依頼者であると主張したこと、およびその余の点についても故意は勿論過失もなかつたというほかなく、原告の主張は理由がない。

第三 以上説示のとおりであるから、原告の被告に対する本訴請求はその余の点について判断するまでもなく、失当であるので棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用し、主文のとおり判決する。


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昭和59年10月29日東京高裁結論部分全文
右事実によれば、控訴人に対し本件土地の測量を依頼したのはC社であつて、控訴人(Y)と被控訴人(X)間には右測量に関し委任、請負等の契約関係は存在しないのであり、しかも、控訴人は、Bの指示するところに従いその測量結果がC社とB間の売買の資料に供されるにすぎないとの認識のもとに、本件土地の測量を実施したのであつて、このことは依頼主であるC社も了承しているところというべきであるから、たとえ、控訴人が実施した測量の結果算定された本件土地の面積が実際のそれより少なかつたからといつて、被控訴人が控訴人に対し委任、請負等の契約上の責任はもとより、不法行為上の責任も問い得ないことは明らかであり、被控訴人が前訴で敗訴したことは、けだし当然のことといわなければならない。

原審における被控訴人本人尋問の結果によれば、被控訴人は、前訴の提起当時、C社との本件土地の売買における売主はBではなく被控訴人であり、控訴人に対する本件土地の測量の依頼もC社を通じて被控訴人がしたものであるとの認識を持つていたことが認められるが、しかし、これは被控訴人が本件土地の実質上の所有者であつたことから発した被控訴人の全くの主観的認識にすぎず、現に被控訴人は、測量図面等が作成されるまでの間に控訴人とは一面識もなく、本件土地の測量について、控訴人に対し何人が、どのような依頼や指示をしたかについてさえ、ほとんど客観的な事実認識を有していなかつたことは右証拠に照らして明らかである。

そうだとすれば、被控訴人は、前訴の提起に先立ち、まず、控訴人に対し測量図面等が何人の、どのような依頼や指示に基づいて作成されたかについて事実の確認をすることが通常人の採るべき常識に則した措置というべきであり、そのような措置を採つていれば、被控訴人は、容易に先に認定した測量図面等が作成されるまでの経過事実を把握することができ、したがつて、控訴人に対し本件土地の測量につき損害賠償の請求をすることは、本来、筋違いであることを知り得たものというべきである。

それにもかかわらず、被控訴人は、先に認定のとおり、C社に対し自己の依頼した専門業者の測量結果をもとにした残代金の精算を要求して拒否されるや、矛先を転じて控訴人に金500万円の損害賠償の請求をし、これも拒否されると、いきなり前訴提起の挙に出たものであつて、被控訴人は、前訴の提起当時、前述した事実確認の措置を怠らなければ、控訴人に対する請求が理由のないことを知り得たものであるから、被控訴人による前訴の提起は控訴人に対する不法行為を構成し、したがつて、被控訴人は控訴人に対しそのために蒙つた損害を賠償すべきである。


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