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無断録音証拠能力認定昭和46年4月26日東京地裁判決紹介3

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平成25年 8月10日(土):初稿
○「無断録音証拠能力認定昭和46年4月26日東京地裁判決紹介2」の続きで、裁判所の最終結論です。

証人Oの証言(後記措信しない部分を除く。)、前記甲第6号証、第14号証、成立につき当事者間に争いのない甲第9号証および弁論の全趣旨によれば以下の事実を認めることができる。」として、事実認定について、無断録音テープを反訳した書面に基づいて事実認定をしたことを明らかにしています。

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3 被告D本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く。)、証人Oの証言(後記措信しない部分を除く。)、前記甲第6号証、第14号証、成立につき当事者間に争いのない甲第9号証および弁論の全趣旨によれば以下の事実を認めることができる。即ち、
(一) 被告Dは被告Bの娘と昭和34年11月結婚し、その頃から本件不動産(但し、建物については現在の建物焼失以前の建物。)において旅館「P」を営みこれを昭和37年7月右経営にかかる旅館が火災により焼失するまで継続し、その後、東京都内において(最初は小岩において、後、高田馬場において)飲食店を営んで昭和41年に至つた。

(二) 右の間、被告Dは旅館の営業資金および食堂営業資金として被告Bから度々金員を借受け、昭和41年1月当時被告Bに対し約1500万円の借入金債務を負担していた。

(三) 一方、前記旅館焼失後、右旅館再建のため被告Dは被告Bに金策方を依頼したがこれが得られかつたので被告Dは訴外Eからの借入金をもつて旅館(別紙物件目録記載の建物)を建築し、経営は同被告の母や弟が担当していた。

(四) しかるところ、以前被告Bが「Q」の商号で金融業を営んでいた際、訴外借受人某から担保としてとつて被告D名義にしておいた東京都荒川区所在の財産が同被告の他の債権者から差押えられる事態が生じ、本件不動産も差押えを受ける危険に晒されるに至つた。

(五) 被告Bにおいても前記(二)のとおり多額の金員を出資してきた旅館業の本拠である本件不動産が差押えを受けるかもしれないという事態に、被告Bから被告Dのように融資を受けるという便宜を得て来なかつた被告Bの他の子供らから不満が出たこともあつて、昭和41年1月末頃被告らおよび被告Bの甥に当る訴外Oをまじえて協議するに至つた。

(六) 右親族一同の協議の席で、被告Dは本件不動産を前記被告Bに対する借入金の一部の支払いに代えて同被告に譲渡することになり、その後、訴外Oが間に入つて前記借入金中500万円の支払いに代えて譲渡することになり、前認定のとおり被告Bが本件不動産を譲受けるに至つた。

 以上の認定に反する証人Oの証言、被告D本人尋問の結果は措信せず、乙第一号証は右認定に反するものでなく、他に右認定に反する証拠はない。

4 被告D本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、本件不動産は訴外第四銀行に対して約100万円の債務のため抵当権を負担していたがこれを控除してもなお前記被告Bの譲り受け当時約400万円の財産価値を有しており、被告Dは本件不動産以外には特に訴外Eからの前記借受け金の支払いのための担保となるような資産を有していなかつた事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

5 しかして、以上認定事実を総合すれば、被告Dは本件不動産を被告Bに譲渡すれば訴外Eに対して借入金債務の支払をできなくなることを知りながら本件不動産が自己の親族以外の所有に帰すことになることを避けるために被告Bに代物弁済として譲渡したものと認めるのが相当である。

6 被告Bは本件不動産譲受当時、右譲受により被告Dの他の債権者を害することになることを知らなかつた旨抗弁するが、右に沿う被告D本人尋問の結果は前掲甲第14号証に照らし直ちに信用できず証人Oの証言、乙第1号証のみをもつては未だ右抗弁事実を認めるに十分でなく、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

7 以上によれば、被告Bの本件不動産譲受行為は詐害行為として取り消されるものというべく、右について経由した所有権移転登記は抹消すべきものである。

三 請求の原因三、記載の事実は当事者間に争いがない。

四 以上のとおりであるので、当事者のその余の主張につき判断するまでもなく、
1 被告Bの本件不動産譲受行為は原告らと被告Bの間で詐害行為として取り消さるべきものであり、
2 被告Bは原告らに対し、右につき経由した本件不動産の所有権移転登記の抹消登記手続をすべき義務があり、
3 被告Dは、前記準消費貸借契約に基く残存債務元本金530万2951円75銭中、昭和41年2月28日訴外Eに対して元本の支払として弁済した金3万5000円を控除した残額である金526万7951円75銭およびこれに対する昭和42年3月6日以降完済にいたるまで約定の損害金の範囲内である年5分の割合による遅延損害金を、その3分の1を原告Bに対し、その3分の2を原告Aに対して支払う義務がある。(従つて原告Bに対し金175万5983円91銭およびこれに対する遅延損害金。原告Aに対し金351万1967円83銭およびこれに対する遅延損害金。)

 よつて、原告の請求中右1ないし3の限度でこれを認容し、被告Dに対するその余の請求は理由がないのでこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第92条本文、第93条1項本文を適用し、仮執行の宣言につき同法第196条を適用して主文のとおり判決する。
 (裁判官 渡辺卓哉 広田富男 八田秀夫)


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