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付郵便送達の意義と要件等

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平成25年 5月 8日(水):初稿
○珍しく民事訴訟法に関する備忘録です。
司法試験受験を目指していた私は、大学3年時の昭和48年、当時民事訴訟法司法試験委員で民訴法大家と言われた齋藤秀夫先生定年退官後の新任民事訴訟法教授となった林家礼二先生の民事訴訟法講義を真面目に皆勤で1年間受講しノートもシッカリ取りました。また同じ大学3年の時の夏休み、当時東京都立大学(現在の首都大学)法学部の新進気鋭の教授であった小田中聰樹教授の集中講義を2週間ほど連続して受講し、これまた林家民訴法以上に懸命にノートを取りました。

○2つの訴訟法を同時に受講し、林家先生の講義は、民訴は眠素に繋がると言われるとおり、正に眠気をこらえての受講で殆ど興味が持てませんでした。しかし、小田中刑事訴訟法は、検察官極悪人・被告人神様の如きで、当時としては大変画期的・新鮮に感じて、眠気など全く起きず、大変面白く、感動して受講しました。

○当時の司法試験は、民事訴訟法と刑事訴訟はいずれか一科目の選択で済み、私は司法試験受験科目としては、迷わず刑事訴訟法を選択しました。民事訴訟法より遙かに面白く興味が持てたからです。小田中刑訴法は3年時の試験で卒業単位は取りましたが、4年次も夏休みに集中講義があり、最前列に座って懸命にノートを取りました。当時、司法試験の刑事訴訟法は、分厚い団藤重光刑訴法か、薄いけれども難解極まる平野龍一刑訴法が定番教科書と言われていました。しかし私は小田中刑訴講義ノートだけで、団藤・平野両教科書は殆ど読まずに司法試験に挑みました。小田中先生の勧める平野「刑事訴訟法の基礎理論」だけは繰り返し読みました。

○というわけで民事訴訟法は司法試験受験科目に選択しなかったため大学3年の林家講義を受講しただけでまともに教科書を読んだこともなく、当然、その重要論点についての勉強も全くしたことがなく、いつも苦手意識がありました。そして民訴法殆ど不勉強のまま弁護士実務に入って民事訴訟に取り組んできましたが、民法等実体法や医学上論点等で苦労したことは山のようにあれど、民訴法を知らないことで苦労した記憶は全くありません。

○今般、民事訴訟のスタートである訴状送達で居留守を使って訴状を受取拒否する事案を抱え、付郵便送達にするため住所調査を支持された事案があります。民事訴訟の送達については、関西大学法学部教授栗田隆教授の民事訴訟法講義「送達」に詳しく解説されており、その正確な定義は、「特定の者に訴訟上の書類の内容を知る機会を与えるために、特定の者に特別の方式で書類を交付し、または交付を受ける機会を与える行為」とのことで、「当事者は、送達された書類を受け取らなければならない(送達は命令的行為である)。」とも説明されています。

○ところが実際には訴状を、敢えて、受け取らない例も多く、最終的には、受け取らなくても発送しただけで送達があったとみなす「付郵便送達」と言う制度があります。正確には「書留郵便等に付する送達」で、以下の規定です。

民訴法第107条(書留郵便等に付する送達)
 前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第3項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
1.第103条の規定による送達をすべき場合      同条第1項に定める場所
2.第104条第2項の規定による送達をすべき場合   同項の場所
3.第104条第3項の規定による送達をすべき場合   同項の場所(その場所が就業場所である場合にあっては、訴訟記録に表れたその者の住所等)

2 前項第2号又は第3号の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その後に送達すべき書類は、同項第2号又は第3号に定める場所にあてて、書留郵便等に付して発送することができる。
3 前2項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。


○栗田教授は、「この送達方法をするか否かは、裁判所書記官の裁量に委ねられており、交付送達や補充送達・差置送達ができない場合に、直ちにこの送達方法をとらなければならないというものではない。裁判所書記官は、この送達方法を選択する前に、原告に、被告がその住所に居住しているか、現在の就業場所はどこかを調査し、回答することを求める。原告が十分に調査しなかったために書留郵便等に付する送達が行われ、その結果、被告が訴訟の開始を知らないまま敗訴判決を受けたとしても、裁判所書記官が回答の不備を認識していた場合あるいはそれを認識しなかったことに過失がある場合を除けば、書記官が書留郵便等に付する送達を選択したことを違法とすることはできず、被告からの国家賠償請求は認められない。」と説明されています。
以上:2,117文字

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