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ウェブサイト掲載記事が名誉毀損に該当する例紹介

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平成24年 6月28日(木):初稿
○平成24年6月27日は、親しい弁護士仲間の判例勉強会でした。この勉強会は、私が弁護士1年生の時に、仙台弁護士会の司法修習31期、32期、33期の弁護士が、一二三会と称して1ヶ月1回程度集まって、法律実務についてのお互いの疑問をぶつけ合う勉強会を開催し,その後、飲み会をしようと発足した勉強会の残りかすみたいな存在です。平成24年4月で私の弁護士稼業も33年目に入りましたら、かれこれ32年間続いています。

○当初、会員数は10名数名で勉強会会場は、当時、裁判所前のマンション3,4階にあった弁護士会館を借りて行って居ました。それが徐々に一人抜け、二人抜けと会員数が減り、10数年前から私の事務所の会議室が勉強会場となり、内容も判例時報のレポートだけに変わり、会員数も数年前には5名に減り、内一人は年に数回しか参加せず、内一人が平成24年2月弁護士稼業引退で、会員数は実質3名にまで減りました。3名では寂しすぎると言うことで、同じマンションの先輩に声がけしたら参加ご快諾を頂き、現在は、4名の会員で毎月1回、判例時報1ヶ月3号分から3名が最低1判例をレジュメにまとめてレポートする方式で継続しています。

○このHP作りを始めるまでは、定期購読している判例時報、判例タイムズが届けられても即書棚行きで中身を確認することはなく、月に1回の判例勉強会で担当したときだけ判例時報を読むだけでした。その意味で、判例時報勉強会は判例を読む機会を与えてくれる貴重なものでした。このHP作りを始め、軌道に乗ってからは、判例時報・判例タイムズは、HP作り素材として重要になり、届けられると掲載判例標目だけは読み、HPに使えそうなものはコピーして取っておくようになりました。このコピーも積ん読が相当溜まっています(^^)。

○平成24年6月27日私がレポートした判例を以下に紹介します。
要旨は、「インターネット上のウエブサイトに記事を掲載した行為が名誉毀損の不法行為を構成するとされた事例」で、事案は以下の通りです。
・読売新聞とその従業員Cら3名がフリージャーナリストの被告解説ウエブサイトに掲載した記事によって名誉を毀損されたとして損害賠償を求めた。その記事内容は以下の通り。
「読売新聞社・西部本社は、1日、福岡県久留米市にあるA社のB所長に対して、明日2日から新聞の商取引を中止すると通告した。現地の関係者からの情報によると、1日の午後4時頃、西部本社のC法務室長、D担当、E担当の3名が事前の連絡なしに同店を訪問し、B所長に対し取引の中止を伝えたという。」「その上で明日の朝刊に折り込む予定になっていたチラシ類を持ち去った。(第1文)」、「これは窃盗に該当し、刑事告訴の対象になる。(第2文)」(以下、本件記載部分と言う)
・チラシ類を持ち帰ったのはCらではなく、新聞折込広告代理業社F社従業員で、B所長同意を得て持ち帰った。
・原審判断は、第1文は事実摘示で第2文でその法的見解表明、一般の閲覧者は、突然の取引停止通告等を批判する趣旨で殊更誇張した法的見解を表明しているだけと受け止めるのが自然で、直ちにCらが現に「窃盗」を行ったと理解する可能性は乏しく、本件記載部分によってCらの社会的評価が低下したとは言えない、として原告請求棄却。


○これに対し、平成24年3月23日最高裁判決(判時2147号61頁、判タ1369号121頁)は概要以下の通り判示しました。
①社会的評価を低下させるかどうかは、一般読者の普通の注意と読み方を基準とする。
②インターネットウェブサイトは一般の閲覧者が信用性を有しないと認識・評価しているとはいえない。
③本件記載部分の、第1文と第2文あいまって、Cらが、B所長所持チラシを了解なく持ち去った事実摘示と理解するのが通常であり、Cらの社会的評価を低下させることが明らか
④折込チラシ持ち去りの事実は、F社従業員がB所長了解の上で行ったもので摘示事実は真実ではないところ、事実が真実であると信ずるにつき相当の理由があったというに足りる事実主張がない
以上より、本件ウェブサイト掲載行為はCらの名誉毀損として不法行為を構成する。


○同じ事実関係であるところ、原審の高裁では社会的評価の低下にならないと判断し、最高裁ではなると判断しています。どちらも、昭和31年7月20日最高裁判決(ジュリスト114号77頁)で述べられた「名誉を毀損するとは、人の社会的評価を傷つけることに外ならない。それ故、所論新聞記事がたとえ精読すれば別個の意味に解されないことはないとしても、いやしくも一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従う場合、その記事が事実に反し名誉を毀損するものと認められる以上、これをもつて名誉毀損の記事と目すべきことは当然である。」との判断基準に従っているとのことです。「一般読者の普通の注意と読み方」との判断基準が余りに抽象的で果たして基準と言えるかとの疑問がありますが、かといって、更に具体的な判断基準が定められるかというとこれまた疑問です。

以上:2,074文字

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