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転送義務に関する平成13年10月16日東京高裁判決紹介3

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平成24年 4月23日:初稿
○「転送義務に関する平成13年10月16日東京高裁判決紹介2」を続けます。
以上、3コンテンツまとめたものはここにあります。





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4 一審被告の責任について
 争いのない事実並びに前記各証拠及び一審原告Bの供述によれば、一審被告は、平成3年11月27日、一審原告Bに対して、EのCT画像を示しながら、同女の腫瘍は良性の腫瘍であって手術すれば治り、社会復帰もできる、附属病院に転送して手術をしてもらうために1週間待機する必要があると説明したこと、Eの頭痛症状は、一審被告の指示したグリセオールの投与によっても収まらず、自制できないほどであったが、一審被告は、
同月29日(金曜日)午後6時ころ、同様のグリセオール投与の申し送りをして、当直のK医師にEの診察を引き継いだこと、
Eは、翌30日(土曜日)午前8時ころ、心停止、呼吸停止の状態となったが、それまでの間、たびたびナースコールをして頭痛を訴えたこと、
K医師は、Eのこの訴えについて、直接診察することなく、ボルタレン座薬及びグリセオールの投与を看護婦に指示しただけであったこと、
この間、Eの身体状況のうち、呼吸、血圧、脈拍などのバイタルサインについて頻繁にチェックすることは行われず、また、意識レベルをチェックしてジャパンコーマスケールで表示する方法などによって頭蓋内圧亢進の状況を把握することも行われていなかったこと、
このため、Eが同月30日午前9時20分に転送先のメディカルセンターに到着し、午前10時34分に脳室ドレナージによる手術を開始したときには、手遅れの状態であったこと

がそれぞれ認められる。

 ところで、前記3、(5) のとおり、医師である一審被告の前記2の過失がなければ、患者であるEに対し、医療水準にかなった医療が行われることにより、Eがその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性が認められるのであるが、この可能性は法によって保護されるべき利益であり、医者である一審被告の過失により医療水準にかなった医療を行わないことによって患者であるEの法益が侵害されたものということができるから、一審被告は、Eに対し、不法行為による損害を賠償する責任を負うものと解される(最高裁判所平成12年9月22日第二小法廷判決・民集54巻7号2574頁)。

 したがって、一審被告は、この延命の可能性が失われたことによりEが被った精神的損害について賠償する責任があるというべきである。そして、一審被告がEが脳ヘルニアを起こす危険性についての判断を誤ったため、Eは一審被告診療所においてグリセオールの投与を受けたものの頭蓋内圧亢進状況についての注意を払われないまま待機させられ、一審被告診療所に来院してから約73時間後に脳ヘルニアを起こし、死亡するに至ったこと及び直ちに腫瘍摘出手術を行うことのできる病院に転院された場合の延命の可能性に関する本件に現れた一切の事情によれば、Eの上記精神的損害に対する慰謝料としては400万円をもってするのが相当である。また、本件事案の内容及び審理経過からすると、弁護士費用として50万円を認めるのが相当である。

 以上によれば、Eの相続人である一審原告らの本件請求は、夫である一審原告B(相続分2分の1)について、慰謝料200万円及び弁護士費用25万円の合計225万円並びに平成3年12月5日以降の遅延損害金、子である一審原告C及び同D(相続分各4分の1)について、それぞれ慰謝料100万円及び弁護士費用12万5000円の合計112万5000円並びに平成3年12月5日以降の遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がない。

5 結論
 よって、これと一部異なる原判決は相当でないから一審被告の本件控訴に基づき変更することとし、一審原告らの本件各控訴は理由がないからこれをいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 奥山興悦 裁判官 杉山正己 裁判官 山崎まさよ)

 
 

以上:1,680文字

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