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共有物利用方法としての賃貸は、変更・管理のいずれか?3

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平成24年 4月 6日:初稿
○「共有物利用方法としての賃貸は、変更・管理のいずれか?2」を続けます。
 ここで紹介した平成14年11月25日東京地裁判決(判時1816号82頁)では、一般論として共有物の賃貸は、短期賃貸借の範囲内であれば「管理」、短期賃貸借を超える場合「処分」に該当するが、共有物が不動産で借地借家法の適用で事実上長期に及ぶ賃貸借となる場合は、「処分」に該当するとの結論を採用していました。

○ところが、この判決の,実際の結論は、当該事案では、賃貸した共有物が不動産で借地借家法の適用で事実上長期に及ぶ賃貸借としながら、「処分」ではなく、「管理」であり、共有者の過半数で有効に締結できるとしており、話がややこしくなっています。その説示は「共有物の変更及び処分に共有者全員の同意が必要とされるのは、これらの行為が共有者の利害関係に与える影響の重大性にかんがみ、これを過半数の持分権者によって決しうるとするのが不相当であるからと解される。したがって、持分権の過半数によって決することが不相当とはいえない事情がある場合には、長期間の賃貸借契約の締結も管理行為にあたると解される。」と言うものです。

○結局、この判例の結論は、
①一般論として共有物の賃貸は、短期賃貸借の範囲内であれば「管理」、短期賃貸借を超える場合「処分」
②共有物が不動産で借地借家法の適用で事実上長期に及ぶ賃貸借となる場合は、「処分」
③長期間の賃貸借契約の締結も、持分権の過半数によって決することが不相当とはいえない事情がある場合には、「管理」

と言うものです。

○判決は、具体的事案を妥当な結論で解決するものですから、最終的にはケースバイケースになり、この事案の解決としては、全文通して読むと妥当な結論と言う気がします。共有物不動産賃貸借締結が「処分」か、「管理」かの最終的メルクマールは、「持分権の過半数によって決することが不相当とはいえない事情」の存否ということになりますが、これが正にケースバイケースでは、メルクマールになりません。本件では、共有不動産は、業務用貸しビルとして賃料収入を上げる目的で建築されたところ、本件賃貸借はその目的の範囲内であり、且つ、共有持分権者は持分割合の賃料相当額求償権があるので、賃貸借の有効性を認めても、利益を害されることはないことにあるようです。
以下、「処分」には該当せず、「管理」と認定した理由部分全文を掲載します。

(3)しかし、本件における事情にかんがみると、本件賃貸借契約の締結は、管理行為に属するというべきである。その理由は、以下のとおりである。

 共有物の変更及び処分に共有者全員の同意が必要とされるのは、これらの行為が共有者の利害関係に与える影響の重大性にかんがみ、これを過半数の持分権者によって決しうるとするのが不相当であるからと解される。したがって、持分権の過半数によって決することが不相当とはいえない事情がある場合には、長期間の賃貸借契約の締結も管理行為にあたると解される。

 本件についてみると、甲1号証及び弁論の全趣旨によれば、本件ビルは、業務用の貸しビルとして設計され、補助参加人が使用中の本件ビル9階の一部を除く本件ビルのその余の部分を補助参加人が訴外会社に一括して賃貸する形式がとられ、訴外会社がこれを各テナントに転貸して賃料収入を得るという方法で使用されてきたものであること、従来も、本件ビルの各共有権の行使は、ビル運用による収益を分かち合うこと(補助参加人4分の3、B4分の1)を主目的とし、原告は本件ビルを自己使用するのではなく、訴外会社に賃貸し、賃料収入によって収益を得てきたことが認められ、この点からすれば、原告としても、テナントに賃貸すること以外の使用方法は予定していなかったと推認される。

 これを前提とすれば、本件賃貸借契約は、もともと予定されていた本件ビルの使用収益方法の範囲内にあるものということができ、原告(Bの相続人)及び補助参加人が予定していた本件ビルについての共有権の行使態様を何ら変更するものではない。そして、原告は、自己の持分権に基づき、補助参加人に対する求償権を有すると考えられるから、本件賃貸借契約を有効としても、原告の利益に反するものではない。

 このように解した場合、賃借人の選定及び賃料の決定に関して原告の意に添わない賃貸借契約が締結される可能性もあるが、不動産の有効な活用という観点からすれば、賃借人の選定及び賃料の決定は、持分権の過半数によって決すべき事項であると考えられる。

 したがって、本件賃貸借契約の締結は管理行為に属するというべきであり、これを行った補助参加人は本件ビルにつき4分の3の持分権を有しているから、本件賃貸借契約は有効に締結されたと認められる。

以上:1,951文字

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