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共有物利用方法としての賃貸は、変更・管理のいずれか?2

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平成24年 4月 5日:初稿
○「共有物利用方法としての賃貸は、変更・管理のいずれか?」で、「私は受験時代は、前記我妻・舟橋説明に従って、単純に、売却は『変更』で全員一致が必要、賃貸は『管理』で共有持分権割合過半数の同意が必要と覚えていましたが、教科書を良く検討するとそう単純ではないようで、賃貸は『変更』と考えた方が合理的なようです。但し、この問題を明快に判断した判例は現時点では私が利用する判例データベースでは見つけることが出来ません。 」と記載していました。

○この記事に対し、投稿フォームで、「民法602条の期間を超えた場合もしくは借地借家法の適用を受ける賃借は変更行為に該当するという判例が出てました。」と平成14年11月25日東京地裁判決(判時1816号82頁)をご紹介頂き、早速、私の有する判例データベースで確認すると一般論として、
一般に、共有物について賃貸借契約を締結する行為は、それが民法602条の期間を超える場合には、共有者による当該目的物の使用、収益等を長期間にわたって制約することとなり、事実上共有物の処分に近い効果をもたらすから、これを有効に行うには共有者全員の合意が必要であると解されるのに対し、同条の期間を超えない場合には、処分の程度に至らず管理行為に該当するものとして、持分価格の過半数をもって決することができるというべきである。しかし、仮に契約上の存続期間が同条の期間を超えないとしても、借地借家法等が適用される賃貸借契約においては、更新が原則とされ事実上契約関係が長期間にわたって継続する蓋然性が高く、したがって、共有者による使用、収益に及ぼす影響は、同条の期間を超える賃貸借契約と同視できると考えられる。したがって、借地借家法等の適用がある賃貸借契約の締結も、原則として、共有者全員の合意なくしては有効に行い得ないというべきである。
と説示されていました。ご投稿頂いた方には御礼申し上げます。このような投稿は大歓迎です(^^)。

○この判例での一般論は、共有物の賃貸は、短期賃貸借の範囲内であれば「管理」、短期賃貸借を超える場合「処分」に該当するが、共有物が不動産で借地借家法の適用で事実上長期に及ぶ賃貸借となる場合は、「処分」に該当するとの結論です。
ちなみに短期賃貸借の民法条文は以下の通りです。
第602条(短期賃貸借)
 処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。
1.樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
2.前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
3.建物の賃貸借 3年
4.動産の賃貸借 6箇月

 この一般論では、契約期間を2年とする建物賃貸借契約は形式的には短期賃貸借ですが、特別法借地借家法の適用により事実上短期賃貸借を超える契約となるため「処分」に該当します。

○共有物賃貸借の「管理」か「処分」かの論点はこの判例での以下の原被告論争が争点を明確にしており参考になりますが、この論争に関しては原告に分があります。

(3) 本件賃貸借契約の締結が共有物の管理行為にあたるか。
【被告の主張】
ア 共有物の過半数の持分を有する共有者は、共有物の管理として、共有物全体を、短期賃貸借の限度で賃貸することができる。
 補助参加人は、本件ビルの4分の3の持分を有しており、共有物の管理として短期賃貸借の限度で本件ビルを賃貸することができる。そして、本件賃貸借は、賃貸借契約が2年間の短期賃貸借である。
 したがって、本件賃貸借契約は、共有物の管理に該当し、原告に対抗することができる。

イ 処分権限のない者によってなされた民法602条所定の短期賃貸借にも借地借家法は適用される。つまり、民法は、短期賃貸借が更新により事実上長期賃貸借になることを容認しているし、ましてや、事実上長期賃貸借になることをもって当初の短期賃貸借の有効性を遡って否定するものではない。

ウ 本件賃貸借契約は、契約時点で、賃貸借期間が2年と定められた短期賃貸借であり、その後の事情により更新されたとしても、本件賃貸借契約の性質に変更はない。

【原告の主張】
 本件賃貸借契約の存続期間は2年とされているが、本件賃貸借契約は定期借家契約ではないから、補助参加人は、正当事由がない限り契約を解除することはできないし、本件ビルが業務用貸しビルとして設計されていること、その構造や面積が大規模金融機関の店舗向けに設計されていることを考えると、補助参加人から本件賃貸借契約を打ち切ることは事実上困難である。したがって、本件賃貸借契約は、契約上の賃貸借期間が2年であっても、事実上永続的な賃貸借契約と等しい。

 民法が短期賃貸借を管理行為として認めたのは、一定期間内に契約を解除することが可能であれば少数権利者にもそれほど重大なマイナスを与えないからである。本件契約のように、事実上存続期間が長期にわたり、かつ、相手方が少数権利者の同意がないことを知っていた、あるいは当然知り得たという状況の下では、当該賃貸借契約の締結に管理行為として保護を与えるべきではない。


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