仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 法律その他 > 震災関連法律相談 >    

平成の徳政令が欲しい、問題はその要件

法律その他無料相談ご希望の方は、「法律その他相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
平成23年 5月 3日:初稿
○平成23年4月26日東京新聞の後記記事を見ると,何ともやるせなくなりますが、東日本大震災被害として、夥しい同様事例があります。平成23年4月1日避難所名取市文化会館での相談でも私が担当した6件中4件が、津波で家を流された後の法律問題でした。何とか支払を免れる方法はありませんかとの質問に、杓子定規に答えると自己破産手続による免責しかありませんとなります。しかし、破産手続の場合、他に預貯金等の財産があると殆どを裁判所に提供しなければならず、且つ、破産者となることに大きな抵抗を感じる方が多く居ます。

○そこでどうするかとの回答ですが、その他の財産状況が千差万別で、回答はケースバイケースになります。月額20数万円の年金しか収入が無く、そこから毎月6万円の住宅ローンを支払い、老夫婦2人何とか生活してきたとの相談には、年金は差押対象になりませんから、入金口座を予想もつかない銀行にして、且つ入金都度タンス預金にすれば差し押さえられる可能性はまずありませんので、住宅ローンは返済しなくても心配ないですと答えて安心されました。

○しかし、1年後に退職金1600万円受領するので、これで繰り上げ返済する予定で1年前に1600万円の住宅ローンを組んで新居を建築したが、津波で流されて何もなくなった、この場合でも退職金1600万円を住宅ローンに支払わなければなりませんかとの質問には、答えに窮しました。結局、安全策としては、早急に破産手続を取り、退職金8分の1相当額を裁判所に提出し、免責を受け1年後に退職金1600万円は満額受領出来るようにしてはとの回答になりました。幸い他に財産が無かったから良かったものの、あれば原則として裁判所に提出しなければならず、大変気の毒な結果になります。

○津波で消失した住宅の住宅ローンが大きな問題になっており、平成の徳政令が欲しいところですが、問題はその適用要件です。徳政令と言っても、その免除した債務は誰かが負担しなければなりません。全て債権者である銀行負担となれば銀行倒産の大問題が発生します。結局、日本国民全体即ち税金で住宅ローンを債務引受することになるでしょう。

○この税金投入は、法の下の平等の原則が働きますので、大地震による津波ではなく、放火等で焼失した場合等様々な自己の責めによらない災害或いは過去の地震災害等での住宅消失の場合との整合性をどうするのか、また、被災者が他に財産を持っていた場合、或いは裕福な連帯保証人がついていた場合どうするのか、その適用要件が大変難しい問題になります。

******************************************

ローンだけが残った 新居全壊、母も失い…あと2000万円
東京新聞2011年4月26日 朝刊

 津波に新居を奪われ、多額の住宅ローンだけが残った人たちがいる。民家など3100戸が全壊した岩手県○△市で、ガソリンスタンド従業員のAさん(35)は昨年建てた家と、それを喜んでくれた母Bさん(66)を失った。がれきと化した自宅のローンはあと2000万円。生活再建の重い足かせとなる。

 白を基調にした壁紙や台所、吹き抜けのある明るい室内。南向き二階建て、35坪のわが家は「大きくないけど、建てられる範囲で最高の家」だった。

 築50年の借家で育ち、二十歳からマイホームを夢見てきた。手取りは月17、8万円でローンは月7万円。周りに「まだ早いんじゃない?」とも言われたが、共働きの妻Cさん(34)と頑張れば大丈夫、と考えた。

 何より「最高の親孝行ができたことがうれしかった」。年を取り、坂がきつくなっていた両親。高台の借家から市中心部を選んだ。父は4年前に亡くなったが、母Bさんは「ありがてえ、ありがてえ」と喜び、徒歩10分のスーパーへ出かけていた。

 3月11日、強い揺れに驚き、勤務先から自宅へ向かう。壁がはがれ、散乱した食器を片付けていたBさんは「A、怖かったあ」と繰り返した。母の無事に安心し、「危ないから外へ出ろ」と告げて職場へ戻った。あの大津波が来るとは、想像もできずに。

 勤務先で高台から見下ろすと一帯は海のようだった。Cさんと10カ月の長女Dちゃんは親類宅にいて無事だったが、新居は波間に消えた。

 母Bさんの遺体と対面したのは10日後。自宅に近い市街地で見つかったという。「『逃げろ』と言っていれば」「高台の借家に住み続けていれば」。思い返すと、つい下を向いてしまう。

 現在は市内の親類宅に身を寄せる。いずれアパートを借りるか、家を建て直すか。智恵さんは育休が終わり、生活が落ち着けば職場復帰する予定だが、「孫の世話はするから」と言っていた母Bさんはいない。

 銀行はローンの支払いを猶予してくれた。ただ、総額は変わらない。

 支払いが厳しいこと以上に「払い続けることで震災の記憶がずっとつきまとう」ことがたまらない。夢が詰まっていた自宅に戻っても、将来は見えてこない。


以上:2,028文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
法律その他無料相談ご希望の方は、「法律その他相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 法律その他 > 震災関連法律相談 > 平成の徳政令が欲しい、問題はその要件