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労災保険・国民年金・厚生年金各法改正で死亡推定範囲拡張

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平成23年 4月10日(日):初稿
○「震災による行方不明者死亡保険取扱報道例と法律制度」では、今回の大震災で津波に巻き込まれて死亡した場合の死亡保険金が早期に受領できるように配慮する生命保険各社の特例についてのニュース報道と行方不明の場合の法律上の死亡認定制度を紹介しました。
 復習すると先ず民法上は第30条2項危難失踪に該当し1年間の行方不明期間経過で1年後に死亡したものと見なす失踪宣告の申立があり、次に、戸籍法第89条で水難等取り調べた官署が死亡報告を出す制度(認定死亡)がありますが、「震災による行方不明者死亡保険取扱報道例と法律制度2」に記載したとおり,「死亡地の市町村長に死亡の報告」がなされる要件は厳しそうです。
 上記ニュース報道での生保が死亡保険金を支払うための「公的機関が事実上、死亡を認定する証明書」について、知り合いの保険代理店に確認したところ、曖昧で代理店もよく判っていないようでした。

○大震災で特に一家の大黒柱が行方不明となり,一家の収入が途絶えた家庭では早期の死亡保険金の外に出来るだけ早期の遺族年金受領が必要です。民法の危難失踪制度では最低1年以上待たなければならず、また、後記労災保険法、国民年金法、厚生年金法での「死亡の推定」制度は、「船舶」の沈没等、「航空機」の墜落等に要件が限定されており,今回の大震災での津波被害は直接は適用になりません。そこで政府は、この死亡推定規定を改正するとのことです。早期に実現して欲しいものです。

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「不明3か月」で死亡認定へ…遺族年金を早期に
読売新聞 4月10日(日)3時21分配信

 政府は、東日本大震災の行方不明者について、死亡したと推定するのに必要な期間を現行の1年から3か月に短縮する方針を固めた。

 残された家族が早期に遺族年金や労災保険の遺族給付を受け取れるようにするのが目的で、関係法の改正案を今国会に提出し、早期成立を図る。生命保険についても、生保各社が3か月で死亡を推定し、保険金を支払えるように国の運用指針を示す方向で調整している。

 民法の規定では、行方不明者の死亡認定は行方不明になって7年以上、災害時は1年以上が経過してから、家庭裁判所の失踪宣告を受けて行われる。

 ただ、労災保険法と国民年金法や厚生年金法などの年金関係法には、船舶の沈没や航空機の墜落事故で行方不明になった場合は、3か月で死亡したと推定できる規定があり、政府は今回、この規定を適用できるように労災保険法などの改正を行う考えだ。


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労災保険法第10条
 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた労働者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた労働者の生死が3箇月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又は労働者が行方不明となつた日に、当該労働者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた労働者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中行方不明となつた労働者の生死が3箇月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。

国民年金法第18条の2(死亡の推定)
 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた者の生死が3箇月間分らない場合又はこれらの者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又はその者が行方不明となつた日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた者の生死が3箇月間分らない場合又はこれらの者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分らない場合にも、同様とする。


厚生年金保険法第59条の2(死亡の推定)
 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた被保険者若しくは被保険者であつた者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた被保険者若しくは被保険者であつた者の生死が3月間わからない場合又はこれらの者の死亡が3月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又はその者が行方不明となつた日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた被保吸者若しくは被保険者であつた者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた被保険者若しくは被保険者であつた者の生死が3月間わからない場合又はこれらの者の死亡が3月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。


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