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地震による工作物崩壊により他に与えた損害について3

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平成23年 3月27日:初稿
○「地震による工作物崩壊により他に与えた損害について2」を続けます。「震災関連法律相談開始に当たり」で上げた以下の設例を検討します。
・3階建てビルのオーナーの方から相談
 今回の大地震で3階事務所の温水器が壊れて大量に水が漏れ、その水が2階から1階まで落ちて、1階テナントのコンビニ店商品が大量に水浸しになり使い物にならなくなった。その量は仕入価格で金200万円相当額、販売小売価格で金250万円相当額である。コンビニ店からは、せめて仕入価格の半額を賃貸人であるビルオーナーにも負担して頂きたいと要請されている。どのように対処すべきか。


○3階事務所の温水器は、ビルのオーナーAさんの所有であり、温水器が民法717条の工作物に該当するかとの問題があります。土地工作物とは、大正元年12月6日大審院判決(民録18輯1022頁)では、土地ノ工作物とは、建物墻壁地窖のように、土地に接著して築造した設備をいゝ、機械のように、工場内に据付けられたものは含まないとされており、ちと微妙な点もあるからです。しかし、ガスコンロからの出火での責任について工作物を前提にした判例は結構あり、また、地上・地下の構築物、例えば、建物、広告塔、水道設備やこれらの設備の一部をなすもの、すなわち、天井、床、エレベーター等が含まれるとの解釈からは、温水器は水道設備の一部とも評価出来、工作物と見て良いでしょう。

○とすると温水器からも水漏れで1階賃借人コンビニ経営者Bさんに生じた損害について、所有者Aさんに民法第717条工作物所有者責任が適用になります。問題は、温水器に「瑕疵」があったかどうかですが、この点についての考え方は、「地震による工作物崩壊により他に与えた損害について1」で説明したと基本的に同じで、震度5に耐えられる構造であれば「瑕疵」はなく、責任も生じないことになります。

○但し、この設例では、Aさんは賃貸人として賃借人Bさんに建物の使用及び収益をさせる賃貸借契約上の義務があり、前記不法行為責任の外に債務の履行責任があります。温水器の水漏れでこの使用・収益させる義務について債務不履行責任の有無を検討する必要があります。Aさんは、Bさんから賃料を受け取って使用・収益させる義務を負っているわけですから、その対価を受け取っている分、何の契約関係もない隣家に対して損害を与えた場合と同じように考えられないのではとの疑問も生じます。

○債務不履行についての民法の条文は次の通りです。
第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

 この条文では、債務不履行を「債務の本旨に従った履行をしないとき」と規定し、これによって生じた損害は,過失の有無を問わず当然に債務者Aさんに賠償責任があるとも読めます。ところが、後段に「債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様」と規定していることから「債務者の責めに帰すべき事由」即ち過失もある場合に限り責任があると解釈されています。

○過失を前提とする限りは、債務不履行責任についても、震度5に耐える温水器構造であれば、Aさんには責任がないことになります。しかしAさんにとってBさんは賃借人としてこれまで賃料を支払い続けてきた大事なお客様であり、今後もお客様として賃料を支払って頂けるのであれば、実務的にはBさんに生じた損害について最大限5割程度はAさんも分担するとして円満和解解決する方が無難と思われます。
以上:1,513文字

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