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ある交通事故事件の顛末-予想外の一審判決に驚喜・驚愕

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平成22年10月29日(金):初稿
○「ある交通事故事件の顛末-裁判官からの暗示に反応」の続きです。
担当裁判官の「一度請求金額等について良く吟味して整理し、その請求をまとめて主張する準備書面を提出されたい」との言葉を暗示と感じた私は、労働能力喪失率を35%から50%にアップして、当初の4400万円の請求を6700万円に拡張して訴えの変更手続をとり、年度末で裁判官が交替した後、新担当裁判官から心因性減額の主張について、原告側の主張を補充されたいとの指示に「ある交通事故事件の顛末-心因性減額の攻防」記載の通り、保険会社提示10件以上の心因性減額裁判例を逆手にとって徹底的に本件は心因性減額不要との主張を強調し、平成17年12月の訴え提起から3年9ヶ月を経過した平成21年8月26日、ようやく弁論終結となり、判決日は、平成21年9月11日午後1時10分と指定されていました。

○心因性減額不要論を詳細に展開しましたが、裁判所鑑定で心因性との結論が出された以上、1~2割の減額は覚悟せざるを得なく、また労働能力喪失率も50%まではなかなか厳しいだろうと思い、私としては判決を最低4000万円は固いだろうが、うまく行っても4500万円程度かと予想して、判決日を迎えました。担当事務員が法廷に判決を聞きに行き、事務員からの報告電話をいまか、いまかと待ちました。

○判決宣告は、午後1時10分でしたが、その後10分程経過したところで、事務員から電話が入り、「先生、5800万円認められました。」と弾んだ声で報告してきました。私は、一瞬、4800万円の間違いではと思って、ホントに5800万円か、聞き間違いでないかと確認すると,事務員は、確かに5800万円と言ったと繰り返します。しかし、事務員が午後2時頃、判決書を貰って、事務所に帰るまでは、正にアンビリーバブルでした。

○事務員が持ち帰った判決書を見ると確かに5800万円と記載されています。心因性減額はどうなっていると理由部分を読むと、何と、心因性減額が全くなされていません。私が、保険会社提出心因性減額裁判例を逆手にとって強調した心因性減額不要論を全面的に採用していただきました。労働能力喪失率も45%認められていました。さらに右眼視力低下原因についての医学上の細かな論点についての詳細に検討されて明確に結論づけられ、原告側の主張が殆ど認められていました。私にとっては最高の判決であり、驚喜し正に驚愕しました。

○加害者側代理人は、この判決を読んで「めんたまが飛び出した!」と表現されていましたが、これだけ完璧に勝利すると保険会社側の猛反発が予想され、これは厳しい控訴審が待っている、身を引き締めるべきと自分に言い聞かせました。そこで依頼者Aさんには、敢えて結果を知らせないまま来所頂き、私は如何にも暗い,厳しい表情を作って、「いやー、大変な判決でした。」と言って、ため息をつきながら、しばらく間をおいて、Aさんに判決書を渡しました。Aさんは、私の表情に判決金額が全く低いものと予想して、ガックリ肩を落とていました。しかし、渡された判決書を読み始め、怪訝な表情となり、一通り読み終えると正に破顔一笑、「先生!やられました。しかし、これほど認められとは思ってもいませんでした。ただただ先生のお陰です。ホントに有り難うございました。」と心から喜んで頂きました。

以下、判決主文です。

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平成21年×月○日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成17年(ワ)第○○○○号,平成18年(ワ)第×××号 損害賠償請求事件
ロ頭弁論終結日 平成21年8月26日

判決

仙台市
原告         X
同訴訟代理人弁護士  小松 亀一
宮城県○○市
被告(○○○○号事件)  Y1
          (以下「Y1」という。)
同訴訟代理人弁護士  ○○○○
東京都千代田区丸の内1丁目 2番1号
被告(×××号事件)   東京海上日動火災保険株式会社
(以下「被告東京海上」という。)
同代表者代表取締役  隈  修三 
同訴訟代理人弁護士  ○○○○
主文
1 Y1は,Xに対し,金5855万4231円及び内金4990万2765円に対する平成21年7月9日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員(ただし,上記内金のうち541万円の限度で被告東京海上と連帯して)を支払え。
2 被告東京海上は,Xに対し,前項の内金4990万2765万円の内金541万円をY1と連帯して支払え。
3 Xのその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用はこれを9分し,その1をXの,その1を被告らの,その7をY1の負担とする。
5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
以上:1,949文字

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