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マンション管理費回収方法整理-先取特権・承継者責任

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平成21年 7月10日(金):初稿
○あるマンション管理会社から継続的に相談を受けていますが、最近、滞納管理費の請求相談が若干増えつつあります。平成21年7月現在ですが、管理費どころか住宅ローンの滞納から、競売になるマンション区画も増えているとも聞きます。多重債務事件は、弁護士だけでなく司法書士も参入して、事件掘り起こしに努め、相当減っており、個人レベルでは、景気が回復していると思いきや、現実にはまだまだ不景気が続いているようにも感じます。

○以下、私の備忘録としてマンション管理費回収方法について概観します。
・先ず建物の区分所有等に関する法律(マンション法)の必要条文です。

第7条(先取特権)
「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。」


この共益費用としての先取特権はありますが、債務者の区分所有権には住宅ローン債務についての抵当権が設定されており、これには劣りますので、あまり効力はありません。
またこの先取特権に基づく執行開始要件としては実務上は、債務名義を要求されることが多く、行使前に訴えを提起する必要があり、この点でも簡単に利用できません。

第8条(特定承継人の責任)
「前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」

この特定承継人の責任追求が、管理費請求権の最も強力な回収方法です。住宅ローン不払いで競売になり、新たな競落人が出てくるとこの方が前所有者の滞納管理費支払義務を承継しますので、この方から支払って貰います。
ですから、未納管理費請求相談については、私の場合、いずれ滞納者の区画が競売になり新所有者が登場するから、それまで待った方が良いでしょう、特に裁判手続は不要です、と回答します。

マンション管理費の消滅時効問題
ところが、1,2年分の滞納であればまだ大丈夫ですが、3,4年分も滞納していると、消滅時効の問題が出てきます。通常は、3年も滞納するような方は,住宅ローンも不払いで競売になるので、「特定承継人の責任」追求で解決できますが、希に住宅ローンだけは支払を継続し、或いは住宅ローンは無い場合で3年分以上滞納する例も出てきます。

平成16年4月23日最高裁第二小法廷判決では、「マンション管理組合が組合員である区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費に係る債権が5年間の短期消滅時効を定める民法169条所定の定期給付債権に当たる」とマンション管理費消滅時効問題に決着を付けました。ですから5年近く管理費滞納がある場合は、いずれ競売になるのを待ちましょうなんて悠長なことは言ってられず、即訴え提起を勧めます。
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