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法律行為と意思能力の判定に関する最近の参考判例

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平成21年 3月23日:初稿
「クレジット利用呉服類売買公序良俗違反例」に記載したとおり、当事務所では、生まれつきの精神遅滞の顧客に比較的短期間に多額の呉服類を販売した売買及びクレジット契約について、第一に意思能力の欠如を理由に無効を主張して争っている事案を取り扱っています。残念ながら一審判決では意思無能力が認められず、その他公序良俗違反等の主張も排斥され敗訴し,現在、消費者関係訴訟のエキスパート弁護士に応援を依頼して控訴審継続中です。私としてはこんな精神遅滞の方を食い物にするとはとんでもないと義憤に燃えて受任したのですが、一審では私の主張を容れて貰えずガッカリしていたものです。

○この事案に大いに参考になる判例を藤田康幸弁護士の桐HPBでリニューアルしたHPで掲載してくれました。同弁護士のHPは「汎用版桐HPB第8号藤田康幸弁護士HP紹介」記載の通り、平成21年2月半ばから試運転を開始し、同年3月1日公開されましたが、「藤田さんには、これから汎用版桐HPBでの更新を重ねて貴重な情報を沢山公開して頂きたいと期待しております。 」に大いにお応え頂き、怒濤の如く情報アップを重ね、そのサイトマップでは平成21年3月23日現在51項目652頁に膨れ上がっています。

○その情報の中には大変参考になるものも多く、以下、意思能力に関する判例を私の取扱例の武器になりそうで備忘録として紹介します。

・平成10年5月11日東京地裁判決(判時1659号66頁)
くも膜下出血による後遺症に罹患し判断能力が減退していた者が銀行から金銭を借り受け、信販会社に保証委託をする旨の契約を締結し、各契約書に自署し、その名下に自己の印章による印影が認められる場合において、各契約書は真正に成立したものでないとして右各契約の成立が否定された事例
精神レベルは、判断力、総合的な企画力、認知力等を司る前頭葉の機能障害の後遺症が残り、平成2年12月28日の時点では、機能回復のため小学校低学年用の算数や国語のドリルをしていたが、①記銘力障害が強く、見当識障害もあり、日時、場所、年齢もわからず、特に作話が認められる、②あいさつ程度の簡単な会話は可能であるが、ある程度の内容のある話はできない、③日常生活はなんとか可能であるが、労働能力はない

・平成11年12月14日東京高裁判決(金法1586号100頁、上記控訴審)
くも膜下出血により前頭葉機能障害の後遺症が残った者が銀行の担当者の面前で複雑な金銭消費貸借契約書に自署し、印章を押印した場合について、日常的に行なわれる金の貸し借り、借りた金は返さなければならないということは理解できたが、高度に複雑な論理的判断をする能力は欠けていたとして、契約を締結する意思能力を否定した事例

・平成16年7月21日福岡高裁判決(判時1878号100頁)
精神障害者がした150万円の借入れにおける連帯保証契約について、意思決定を行う精神能力を有しなかったとして無効とされた事例
精神レベルはIQ値は63(精神年齢10歳)中等度の精神遅滞で、「平成15年9月16日裁判所に提出された同医師作成の鑑定書によれば、控訴人の精神の状態について、次のような記載がある。
 意識・疎通性については、挨拶は可能であるが、簡単な会話でも時間がかかる。少し込み入った話や抽象的なレベルの会話は不可能である。
 記憶力については、氏名、生年月日は正答するが、遠位記憶も近時記憶も不良。
 計算力については、簡単な足し算、引き算、掛け算はできるが、割り算は不能。
 理解・判断力については、乏しく、通常の社会生活に必要なことばの意味を理解していない。したがって、状況の認知は不良で判断力に乏しい。また、金銭の価値についての理解は、簡単な買い物、給料などについては及んでいるが、数百万円以上、あるいは不動産の価値の理解には及ばない。
 知能検査・心理学検査については、言語性IQ58、動作性IQ57、総合54であり、知的能力は低い。言語性IQは「数唱」では高得点を示したが、知識、単語、理解、類似の得点は極めて低い。」

・平成17年9月29日東京地裁判決(判タ1203号173頁)
貸金業者との間の連帯保証契約及び根抵当権設定契約について、連帯保証人兼根抵当権設定者に意思能力がないとして無効とされた事例
精神レベルは、鑑定における検査時(平成16年9月14日)において,知能指数68と正常に比べて低く,軽度の知的障害が認められた。算数に関しては,一桁を指を折って計算することができる程度であり,小学校低学年程度の知的機能。
意思能力とは,自分の行為の結果を正しく認識し,これに基づいて正しく意思決定をする精神能力をいうと解すべきであり,意思無能力があるかどうかは,問題となる個々の法律行為ごとにその難易,重大性なども考慮して,行為の結果を正しく認識できていたかどうかということを中心に判断さるべきもの

・平成19年1月26日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)
被相続人等から本件不動産を相続した原告ら(被相続人の子X1、妻X2、子X3)が、被告ら(被相続人の子Y1、登記簿上の現所有者I、本件不動産の担保権者H)に対して更正登記手続を求めた事案において、Y1が借金返済のため本件不動産をIに売却したと認定した上で、原告らがY1らに各持分を売却した際、1)X2は認知症で自己の経済行為の結果を弁識する能力が失われていたこと、2)X3は統合失調症で後見相当の常況にあったことから、いずれも売買契約自体成立しておらず、仮に成立したとしても意思無能力により無効であり、また、3)X1についても、最終学歴が中卒で、自ら作成した書面の法律効果を正確に理解していたかは疑問であり、かつ、被告らから売買契約の成立要件たる代金額の主張すらないことから売買契約が成立したとは認められないとして、本件各移転登記はいずれも実体上の権利関係に符合しないとし、さらに、被告Hの登記保持権原(権利外観法理)の主張についても、原告らに帰責事由が認められないとして、原告らの請求を全部認容した事例

以上:2,493文字

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