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共有不動産の分割-全面的価格賠償の方法1

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平成20年12月22日(月):初稿
「不動産共有とその変更と管理の違いについて2」共有不動産の賃貸は、民法602条短期賃貸借の場合は「管理」、これを超える場合や借地借家法が適用になる場合は原則「変更」ですが多数決で決めることが不相当とは言えない特別事情があれば「管理」に該当するとの裁判例(東京地裁平成14年11月25日判決、判時1816号82頁)を紹介しました。

○各持分3分の1でのA、B、C3名の共有土地(100坪、甲地)の賃貸についてAが自ら社長となって乙株式会社を設立して賃貸ビルと建築して、乙株式会社とA・B・C3名が建物所有を目的とした甲土地賃貸借契約を締結し、地代としてA・B・C各100万円ずつの300万円を甲株式会社が支払っていました。

○ところが不動産不況のため乙株式会社所有ビルのテナントが減り、賃料収入が減ったので300万円の地代を支払うのが困難になりAは地代の値下げをしたいと思っていますが、Cがこれに応じない場合、乙株式会社は、賃貸人に対し以下の借地借家法第11条の規定に基づき地代の減額請求をすることができます。
第11条(地代等増減請求権)
 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。


○しかしこの請求は、「賃料増減額請求の要件-結構厳しい」記載の通り、原則として不動産鑑定士による賃料鑑定費用が必要で結構なコストがかかり且つ容易に目的を達することは出来ません。そこで乙株式会社社長でもあるAは、今後もビル経営を円滑に進めるために何とか甲土地についてのCの持分権を買い取ってしまいたいと思っています。

○Aが甲土地についてのCの持分権を買い取る方法は先ず民法第256条・258条によって共有物分割の請求をします。そして甲土地には乙株式会社の貸しビルが建築されており、どの部分を共有者の誰が取得すると決めるのが不可能なので現物分割が不可能として裁判所に競売を求め、この競売手続でA乃至乙株式会社が甲土地全体を買い取る方法があります。しかし競売には誰でも参加できますので、甲土地について必ずA乃至乙株式会社が取得できるとは限りません。

○このような場合、Aが甲土地についてのCの持分権を強制的に買い取る方法ができればAの目的を達することができますが、残念ながら民法にはこのような強制的買取を認める規定はありません。しかし裁判例で全面的価格賠償の方法による共有物分割が認められた例があり,別稿で紹介します。
以上:1,126文字

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