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裁判員制度雑感-担当弁護士の能力と意欲が必要

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平成20年 6月 9日(月):初稿
○私は刑事事件の裁判員制度について当初反対でした。今も積極的賛成ではありませんが、様子を見ても良いとの考えになっています。裁判員制度の登場によってこれまで「傍聴席は蚊帳の外」であった裁判が、「傍聴席も意識」しての刑事裁判に変わりつつあり、これが民事裁判における「傍聴席も意識」した即ち傍聴席でも裁判の中身が判るように情報保障がなされた裁判に変わることの期待を持っているからです。

「記者の目:裁判員制度 重くなる弁護士負担」との記事を書かれた銭場裕司氏は、冒頭で「公判に新しく加わる6人の市民(裁判員)は、成功の鍵を握る存在である。しかし刑事裁判を取材して、公判を担当する弁護士が、成否に大きな影響を与えると強く感じている。新制度でこれまで以上に弁護士の能力と意欲が問われるためだ。」と記載しています。

○私も「初めての公判整理手続事件-調書に代わる尋問に苦労」に記載したとおり、ある国選の傷害致死被告事件で公判前整理手続を経た裁判員制度前提の裁判を経験し、「調書原則却下に面食」らい、慣れていないため大変しんどい思いをしました。

○銭場裕司氏が「新制度でこれまで以上に弁護士の能力と意欲が問われる」と指摘しているとおり、裁判に制度での弁護士は、これまでの「調書裁判」から脱却し、調書は法廷供述裁判のための単なる参考資料に過ぎず、調書を熟読して法廷での供述戦術を組み立てるとの発想の転換が必要で、これまで「調書裁判」にドップリと浸ってきた身には大変厳しい状況になります。

○私の経験した事件は傷害致死事件ですが、事実関係に争いが無く、争いは僅かに被害者遺族の被害感情の大きさだけで、公判も午前10時から午後5時までの1日で終了したもので、裁判員制度前提の事件としてはどちらかと言えば楽な事件でした。しかしそれでも弁護人の被告人本人質問1時間以上、弁護側申請証人3名分合計1時間程度の尋問は決して楽ではありませんでした。これまでのように調書が提出され調書を補充するとの尋問ではなく、調書を使わないでの尋問だったからです。

○これから裁判員制度前提の刑事事件に取り組む弁護士は法廷では調書は使えないとの発想で事件に取り組む訓練が必要であり、裁判員に判りやすい即ち傍聴席の傍聴人にも判りやすい裁判の組み立てを常に意識して取り組まなければなりません。

○ですから一定の訓練が必要で弁護士であれば誰でも取り組めるものではなくなり、私のような草臥れた経験20年、30年以上の弁護士では新たに訓練を受けて取り組む意欲が持てない方が多いはずで、これからの若い弁護士は裁判員制度での刑事事件は新分野と割り切って訓練に励む必要があるでしょう。
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