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実刑志願の被告人の希望に如何に応えるべきか1

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平成19年 2月22日(木):初稿
○国選刑事事件を担当していると色々な人生に巡り会えます。ある時以下のような事案を担当しました。事案は実例を元にアレンジしたものです。

・被告人Aさんは、○○駅前キャッシュコーナーガラスを足蹴りして損壊して逮捕され、建造物損壊罪として起訴されました。被害額は9万円です。

・Aさんは、その時50歳になっていましたが、大学卒業後職を転々として定職もなく、勿論、結婚もせず、家族もいません。Aさんが、定職に就くこともなく生活できたのは、7年前に、母親の遺産を3人兄弟で分け、税引き後8000万円を取得し、2000万円の中古マンションを買って以降は遊び暮らしていました。

・3年前にお金が無くなり、マンションを1000万円で売却し、これを数ヶ月で使い果たしてからは文無しでホームレスとなり、2年前までは、僅かのアルバイトと万引きでその日暮らしをしていましたが、1年前からは、アルバイトも全くしなくなり、スーパーからの万引き専門で食をしのいできました。

・Aさんは、酒好きで犯行当日は万引きしたビール、焼酎を飲み酔って気が大きくなり八つ当たりで○○駅前キャッシュコーナーガラスを足蹴りして損壊しました。Aさんの前歴は万引き3回、建造物損壊1回。送検されたのは万引き1回だけでした。両親は死亡し、兄2人とは身元保証で迷惑をかけ、5年前から絶縁状態でした。

・初めて逮捕・起訴されたAさんは、国選弁護人となり接見した私に対し、自分は、今後も仕事をする気は全くなく、兄に援助を求める気もない。釈放されても、又ホームレスでの万引き生活にに戻るだけなので、執行猶予になりたくない。是非実刑にして貰いたい。取調の調書にも食事の心配がないので捕まってよかったとの記述しています。


○Aさんのように家族も仕事もなく財産も皆無で、万引きで生活している人は世の中に一定割合居て、私はそれまでにも国選刑事事件でAさんのような方の弁護を引き受けたことはあります。しかしどんなに苦しい生活をしていても刑務所に入るよりはマシだとして皆さん少しでも刑を軽くして欲しいと願っており、Aさんのように是非実刑にして貰いたいという要請を受けたことは初めての経験で面食らいました。

○確かにAさん本人のためには1年位実刑になって職業訓練を受けた方がよいと思いました。しかし、順序からいえば明らかに執行猶予事案です。それなのに弁護人が、被告人本人の希望だからと言って実刑相当弁論をしてよいかどうか。私は真剣に悩みました。
以上:1,020文字

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